第25話 魔導具?

「たまにあるのじゃが、魔法を内包したもの魔導具と言われる物品にはな意思がやどることがある。例えば、何年か前にあったじゃろう魔剣にかかわる事件が。」

 「ああ、あの事件か。普段温厚だった男が人が変わったようになって、夜な夜な、人を切り裂くようになった事件。

あの時に確保に立ち会ったがかなりやばかったな。人の動きには見えない剣技できたから肝を冷やしたぜ。

なんとか数人で取り押さえて、剣を押さえたら、今度は押さえたやつが攻撃してきてと大変だった。

その後、教会の連中が魔剣だと断定して封印した後、教会預かりになったとか。

あの後、犯人は人を切ったが殺してはいなかったんで、いくらか罪が軽くなり、借金奴隷ですんだな。で、この本がそれと同じだと?」

 「いや、わからんよ?ただ、その魔剣ほど危なくはないじゃろ。

こうして、触ってもなんもないんじゃから。

よかろう、これをカサネに託すとしよう。」

 「いいんですか?」

 「どうせ、ワシ達にはなんもできんじゃろ?

それにお前がここに来た意味がこれかもしれんしの?」

 「意味?俺は依頼を受けただけですが?」

 「実のところ、依頼は出さないで、近所のわかもんに手伝ってもらおうことしてたんじゃが、なぜか不安にかられてのお、金の絡んだ依頼をした方がいいと思ったんじゃ。」

 「それで冒険者に依頼を。」

 「そうじゃ、依頼した翌日に来るとは思わんかったがな。これは運命かもしれんな、カサネとこの本はあうべくしてあったと。」

 「運命・・・。」

 「まあ、そんな固くなることもないじゃろ。そこまでお膳立てされたもんに害なんてないじゃろうし、さて、本棚の確認でもしようかの。」

おじいさんが俺の整理した本棚に向かい、確認する。

本棚はあいうえお順で並べたが、これで良かったらしい。

しかもアイテムリストを経由したことで汚れや埃もついていないということで、満足された。

後はギルドカードに依頼完了のタッチをしてもらい、店を出る。


ギルドに戻った俺たちはリナさんに依頼の報告を行う。

 「リナー、帰ったぞー!」

 「あら、お帰り、もう終わったの?」

 「はい、カードの確認お願いします。」

カードを受け取ったリナさんはカードを水晶にかざす。カードが光り依頼の確認がおわったようだ。

 「確認終わりました。これで冒険者としての登録は終わりになります。では、こちらが報酬です。」

そういって渡されたのは銀貨2枚。

 「あれ、銀貨一枚多くないですか?」

 「これは依頼人からの追加報酬です。」

 「追加報酬ですか。」

 「依頼人が大変満足したとのことで、追加で銀貨一枚くださったというワケです。」

 「なんか悪いですね、この本ももらってしまったので。」

 「この本ですか?」

リナさんに本を渡し、見てもらう。

 「うーん、表裏に何も書いてないし、開きませんね。」

 「俺でも開けられなかったからな。」

 「力づくでもダメならわかりませんよね、これは依頼人からのプレゼントだと?」

 「俺もその場にいたから証言しよう。あのじいさんがプレゼントした。」

 「わかりました。本人同士で納得しているのであれば、ギルドとしては問題ありません。」

リナさんが本を返してくる。

 「ありがとうございます。じゃあ、店の手伝いがあるので、これで失礼しますね。」

 「ご利用ありがとうございます。」

 「カサネ、明日の朝また、俺もつきあうから装備を見に行くぞ。」

 「はい、また明日よろしく。」

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