第24話 白い本

おじいさんがカウンターに行くのを見送りあたりに誰もいないことを確認する。

「アイテムリスト」

 後は簡単、崩れた本を片っぱしからアイテムリストにつめ、整理。

リストには上からあいうえお順で表示されるので、それをうえから取ってい、本棚に入れていくだけ。

そして、この本の山は歴史、魔法関連のようで、本を戻す際にパラパラと捲りつつやっていく。


歴史については魔王と勇者を中心に見ていく。

勇者は魔王が出現した際にしか召喚されないらしい。

多分、侵略、暴虐などの私利私欲に使わせないためリミッターのようなものなんだろう。

そして、勇者が元の世界に帰ったという記述はない。

後は考察のようなものがある。

魔王という存在は抑止力なのではないかと。

大きな戦争というものは魔王との間でしか行われていない。

世界、神が人々が争わないために仕込んだ世界の楔・・・

この間あった神様はそんなこと言わなかったからどうなんだろうか?

なお、勇者召喚の魔法陣はこの国「グランバニア王国」の首都「グランノーブル」にしかないらしい。

なぜ、こんなところにしかないのかは色々と疑問である、女神様に今度会ったときにでもきいてみようか。


次に魔法について

魔力があれば、誰でも使うことができるのが魔法。

基本の魔法は2種類。

魔力を体にまとわせる身体強化。

手のひらにためた魔力を打ち出す魔弾。

後は属性適正があれば、属性をまとわせた魔法を使うことができる。

火なら、こぶしに火をまとわせたファイアナックル、火球を放つファイアボール。

水なら、氷爪を爪から伸ばしたアイスクロウ、水球を放つウォーターボール。

などが代表例。他の魔法は自分独自で見つけ出すしかないとかかれていた。

どちらにしろ魔力のない俺では魔法は使うことができないので関係ないが・・・。

いやいや、何があるか知るだけでも違う。常に考えないと・・・。


気になったものを見つつ、本を本棚にしまっていると、ある白い本を見つける。

その本はどう見ても新品で、表裏を見ても何書かれておらず、開けようとしてもビクともしない。

そして、一番の疑問がアイテムリストにはいらなかったこと。

いままで、入らなかったものは生き物や汚れ。

では、この本はなぜ入らないのか?

生き物とでもいうのか、魔物が化けている?

警戒してアイテムリストの範囲内の一番離れた場所から解析で見てみる。

 名前 ???

 ×× ???

 ××× ???

何もわからない?気味が悪いと思う一方、ひきつけられる感覚がある。

とにかく、依頼を終わらせて、2人に相談してみよう。


そして、本棚の整理が終わる。本棚にはピッタリと本が収まっている。そう、一冊の余裕もなく・・・。

俺は白い本を持って、二人の元へ向かう。

 「終わったよ。」

 「おお、ずいぶん早く終わったな。」

 「こういうの得意なんでね。」

 「俺なんて、数ページみてると瞼が重くなるんだよなあ。」

 「お前はそれでもAランクの冒険者なのか?」

 「俺に頭脳担当なんてあわないだろ?そういうのは他の奴に頼むよ。」

 「ん?カサネや、その本はなんじゃ?」

 「この本、余っちゃったんですよ。」

 「余った?あそこの本は入れ替えしてないはずじゃから、そんなことないはずなんじゃがな?」

 「近所の小僧が悪さしたんじゃねえか?」

 「それはないじゃろ?新品の本をいたずらに使うほどのガキなんぞ、おるか。」

 「ふうん、ちょっと貸してくれ」

 「はい。」

アインに本を渡す。もし、魔物でもAランクの冒険者なら大丈夫だろう。

アインは本のあちこちを見て、表裏に何も書かれていないこと確認した後、本を開こうとする。

 「ん?ぐぎぎぎぎ!なんだこれ、開かねえぞ!?」

 「ふむ、本に見せかけた置物なんじゃなかろうか?」

 「でもよ、それなら、中の部分を紙にする必要ねえよな?」

 「そうじゃの・・・。どうするか・・・。」

 「あ、あの。その本、俺にくれませんか?」

 「この本をか?鈍器にしかなんねえぞ?」

 「本を鈍器にしようなんざ、お前ぐらいじゃぞ?で、なんでほしいんじゃ?」

 「何かあるってワケじゃないんですが、手放したら後悔すると思ったからですね。」

 「ふむ、これは選ばれたのかもしれんな。」

 「選ばれた?」

 

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