第23話 初依頼

実技試験が終わった俺はギルドの中に戻り、次は依頼の手続きに入る。

 「後は依頼一つで完了なんですが、どれにしますか?」

依頼の内容は

 下水道の掃除 報酬 銀貨2枚

 迷い猫の捜索 報酬 銀貨1枚

 本整理 報酬 銀貨1枚

となっていた。

 「採取依頼はないんですか?」

 「採取依頼は街の外で行うため、仮では出られないんですよ。」

 「なる程。」

さて、下水道掃除はヘドロをくみ上げ、その後ブラシで磨くためにかなりの重労働、帰ってから店の手伝いもあるから却下。

次に迷い猫に関してはこの街にまだ慣れてないから、ミイラ取りがミイラになる可能性があるんで、これも却下。

となると、最後に残った本整理。なんでも本棚が倒れて、本が散乱してしまった古書店のおじいさんが依頼らしい。これなら、アイテムリストを使ってスムーズにいけるか?ヨシ!

 「では、本整理の依頼を受けます。」

 「はい、わかりました。では、ギルドカードを失礼します。」渡したギルドカードは水晶にかざされ、光る。

 「では、こちらのギルドカードに依頼情報が入れられました。後は依頼人が完了したと判断し、手を触れると依頼完了。ギルドで手続きして依頼達成となります。」 

 「わかりました。古書店はどこにありますか?」

 「入り組んだ場所にありますから、案内が必要ですね。じゃあ、アインよろしくね。」

 「え、俺?」

 「どうせ、暇でしょ?」

 「わかったよ、おやっさんにも頼まれてたしな、じゃあいくぞカサネ。」

 「はい、わかりました。」

そうして、アインさんに連れられ、古書店に歩いていく。

その道中。

 「なあ、カサネ。いっとくことがある。」

 「なんですか?」

 「冒険者はな、相手になめられちゃいけない。特に同業者にはな。だから、依頼人以外には丁寧な言葉はいらない。」 

 「そうなんですか。」

 「だから、ここからはタメ口な。」

 「え、でも」

 「でももない。」

 「わ、わかった。」

 「それでいい。」

路地裏を抜けていき、目的の古書店につく。

古書店、中には年代物の本がズラリとあり、古本特有のにおいで満ちていた。

 「おおい、じいさん!依頼うけてきたぞ!」

 「おお、待っておったぞ!」

店のカウンターで待っていた腰の曲がったおじいさんが現れる。

 「こいつが依頼を受けたカサネだ」

 「どうも」

 「アインのボウズが連れてきたやつじゃ、問題ないだろうが文字は読めるか?」

 「はい、大丈夫です。」

転移したおかげなのか、文字に関しては不思議と読めた。

 「じゃあ、俺はここで茶でもしてるぜ、本なんか見てると眠くてたまらん。」

 「お前は本くらい読んでみろ、そんなんだから、リナの嬢ちゃんを口説けないんじゃぞ?」

 「っつ、リナなんて関係ねえし」

アインは顔を赤くしながら、店の奥の休憩室に向かっていった。

 「まったくあいつはしょうがないのお、じゃあ、カサネじゃったか、ついてきなさい。」

 「はい。」

おじいさんは奥へと歩いていくと段々と崩れた本の山が見えてくる。およそ、100冊といったところだろう。

 「これがその本の山じゃ。わしはこの通り、腰が悪いんでな、本を片づけるのがつらいんじゃよ。」

 「なるほど、元々おいてあった本棚もけっこう高いですね。」

上には俺が背伸びして届くくらいなので、おしいさんには大変だろう。

 「では頼んだぞ、できたらカウンターまできてくれ。」

 「わかりました。」

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