第22話 実技試験

俺たちギルドの裏にある広場につく。

広場は木の壁に囲まれていて、ベンチなどが置かれた、公園のような施設だった。

そのベンチにはさきほどまで模擬戦をしていたのか他の冒険者の姿がチラホラと見える。

 「ん?アインこんなところにどうしたよ?」

 「おう、これからこいつの実技試験なんだよ。」

 「あ、おやっさんのとこのボウズじゃねえか。冒険者になるのか・・・。」

 「面白そうな試験になりそうだな、ガンバレよ。」

 「はい、ありがとうございます。」

よく見てみると店の常連さん達だった。

俺が激励を受けているうちにアインは広場に面した壁に置いてある多種多様な木製の武器から木剣を二つとり、一つをこちらにわたした。

 「じゃあ、やろうか?」

 「合格基準は?」

 「うーん、俺に一撃入れたらかな。」

 「それでいいんですか?」

 「ほお、自信満々だな。」

 「あの二人に鍛えられた実力みせますよ!」

俺はその言葉を言った直後にアインさんに向けて走り出し、横なぎに木剣を振るう。

アインさんはなんなく、剣で受け流した。

俺は受け流されたいきおいで右手を地面につき、左足を振りかぶり蹴りを放つ。

が、左手で足首をつかまれ、そのまま投げられる。

空中で回転し、地面に着地すると今度はアインさんの足元に突きを放つ。

アインさんは前にジャンプをして回避しながら、こちらの顔めがけてとび膝蹴りをしてくる。

それを体をよこにそらして回避し、地面を横向きに転がり、態勢を整える。

 「ほお、やるねえ。」

 「鍛えられましたからね。」

 「じゃあ、こっちからもいくか!」

今度はアインさんがこちらに攻撃を仕掛ける。

アインはどんどんと剣を繰り出し、こちらはそれに剣を合わせ、そらせ、はじいていく。

 「受けてばかりだな。」

 「そうですね、でも!」

俺は手の空いている左手から隠し持っていた小石を親指ではじく。

その小石はアインの目をめがけて飛んでいくが、間一髪回避される。

アインは切り札を切らせたとにやっと笑う。が、狙いはそうじゃない。

俺が破れかぶれに見えるように大ぶりで木剣を振りかぶる。

アインはそれを防御するように剣を前に構えていた。

 ピシッ

剣同士が当たった時、アインの木剣が折れる。俺はそのまま、勢いでアインの頭に剣を振り下ろすが、寸止めの状態に抑え、後はコンとアインの額に当てる。

 「これで俺の勝ちですね。」

 「驚いた。もしかして、武器破壊が狙いだったか。」

 「都合のいいように剣で攻撃してきてくれましたからね。」

剣が折れた理由、それは料理人のジョブが上がった影響で刃物を持つと物の刃物を通しやすい部分がわかりやすくなった。

それを利用して、剣で打ち合っている間にそのもろい部分を中心に打っていき、後一撃で折れるように調整、最後に小石で油断を誘った。

 「いやあ、やられたやられた。」

 「いえいえ、アインさんは凄いですよ。本気じゃなかったですよね?」

 「まあ、これでもAランク、加減ができないと潰しちまうからな。」

 「前は加減できなくて、後輩ずいぶん泣かせて、リナに怒られてるからなこいつ」

 「それは言わないでくれよ・・・。」

 「「ははははは!」」

こうして、実技試験は笑いに包まれて終わった。


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