第20話 訓練
ジャンさんに料理を教えつつ、一週間仕事をしていると料理人のレベル3に上がっていた。
そのおかげか平行して作業をしていけるくらいに体が動くようになった。
職業の恩恵ってこういうもんなのか・・・。
そして、店が休日になり、ジャンさんは俺を店の裏にある広場に連れ出した。
「これからお前に剣士の戦い方を教える。そら、これを受け取れ。」
じゃんさんは木の棒をこちらに放る。
「普通なら、素振りとか型とか教えるんだろうが、俺は冒険者の戦いしか知らない。だから、打ち合って覚えろ!」
こちらが受け取った木の棒を構える前に、ジャンさんが上段に木の棒を構え、こちらに打ち込んでくる。
カン!
なんとか交差するように木の棒を眼前に置き、防ぐことができたが、右肩を前に出すように前進してきて、そのまま体当たりしてきた。
その攻撃でふらついたところで、木の棒で軽く、胴に突きを繰り出してくる。
ズン!
腹に軽く、棒がめり込む。
「ぶっ!」
その痛みに、かがみこんでしまった。
それを見下ろしながら、ジャンさんがいう。
「本来の剣士は剣を軸に戦うから、こういう戦いはしない。これは冒険者の剣。生き残るための剣だ。相手の隙をつくような卑怯なもんだ。だが、それがどうした?いざ、戦いになったら、そんなもんは関係ない。とにかく生き残ることを考えろ。そして、ここに帰ってこい。」
厳しい言い方をしているが、こちらの身を心配してくれるのがよくわかった。
腹の痛みを気合で抑え、立ち上がり、ジャンさんに決意の言葉を放つ。
「お願いします!!」
「おし、いい気迫だ。いくぞ!」
それからの訓練の日々はサンドバック状態だった。
剣の連撃、頭突き、目つぶし、猫だまし、顎へのアッパー、喉突き、肘鉄、ボディブロー、金的、ニーバズーカ、回しげり、かかと落としなどほぼ全身をくまなくやられた。
そのうちにジョブを獲得する
剣士LV1
武闘家LV1
これにより、段々と目と体が慣れていき、対応ができるようになっていく。
そして、訓練開始1週間後。
シルビアさんが回復し、訓練に顔を出した。
「あれ、シルビアさんどうしたんですか?」
「主人が面白そうなことしてるんですもの、私も仲間に入れてほしくってね。」
「シルビア、何言ってるんだ、まだ、全快ってわk」
タン!
ジャンの顔のすぐそばを何かが通り過ぎる。
ジャンさんの後ろをみてみると、そこには木に刺さった矢があった。
「あら、これでも全快じゃないと?」
いつの間にか構えた弓をジャンさんに向けているシルビアさんがいた。
「まあ、確かになまっているかもね、あなた、つきあいなさい?」
「ちょっ、俺持ってるのは木の棒なんだが!」
シルビアさんは次々と矢を放ち、ジャンさんは駆けながら、木の棒で必死にはじいていく。
「ああ、あの二人また始めたんだあ。」
いつの間にか、横に来ていたシャルちゃんがつぶやく。
「またっていうと?」
「お父さんってさ、気にいった子の面倒はよく見るんだけどさ、それで仕事がおろそかになるとよく、こんな感じで喧嘩してるの。」
「過激だね。」
「でも、勘を取り戻すのにいいって言ってたよ。」
夫婦で近距離、遠距離とバランスがいいコンビだったそうで、それがわかる通りに目のまえでどんどん苛烈な戦闘になっていく。
それをみながら、俺とシャルちゃんとのほほんとしていた。
その後、シルビアさんが弓の戦い方を教えてくれるようになる。
訓練は的、動く的、動きながらの弓の扱いを教えてもらっていく。弓の引きは剣士、武闘家を持っているため、難なく引くことができたので後は命中させる努力だけだった。
そして、一週間もしないうちに弓士のジョブを手に入れた。
その後はひたすら、夫婦のしごきを受け、それから2週間ののち、今の取得ジョブが
剣士LV3
武闘家LV3
弓士LV3
料理人LV4
となった。料理人に関しては料理の他に剣での訓練でも対象になるらしく、刃物の扱いがドンドン精錬されていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます