第19話 ※スミレside 傲慢な勇者

召喚された次の日、先輩がいなくなっていた。

その事実を知らされたのは朝食の席。

本当は一緒にいきたがったが、私が一緒に行くと先輩の身に何があるかわからない。

今は、相手の言う通りにして、実力をつけないと。

 「あいつ、追放されたのか・・・。ざまあ!」

 「ほんと、あいつ、店員のくせして反抗してきたから、せいせいしたわ。」

 「www」

にしても、この三人と一緒なのは不安しかない。適度に距離をとらないと・・・。

そして、朝食が終わり、広い広場に兵士に連れてこられる。

 「勇者様方には今日から訓練に入ってもらいます。」

 「訓練?俺達にそんなのいるかよ。」

 「そうよ、この騎士なんて相手にならないくらいにね。」

 「そーそー。」

早速、文句をたれる3人。その言葉に訓練予定の騎士と魔導士は青筋をたてながら前に出る。

 「勇者だからといって、訓練も無しに強いなど驕りが過ぎる!」

 「その自信、折らせていただく。」

 「後悔しなさい。」

 「へえ、ずいぶんとでかい口たたくじゃんか、じゃあ、俺たち勝ったら訓練無しね。」

 「ついでに、アクセサリーもらっちゃうお。」

 「イケメンもねー。」

高校生3人は自信満々で前に出て、試合をすることになった。

 「それでは、これより3対3の試合を行います。では、はじめ!」

はじめの合図を出したとたん、タクヤとミサキはそれぞれ、騎士の懐に入っており、右手の模擬戦用の剣を横なぎに放っていた。

その一撃はつけていた鎧をへこませ、騎士達は後方の壁へとくの字になって飛んでいく。

 「は?」

詠唱中の魔導士はそれに唖然とし、詠唱を破棄していた。ふと我にかえった時にはすでに遅く、眼前にはマホの放った火球が迫っていた。

 「ぎゃあああああ!」

火球にさらされた魔導士は火だるまになる。その様子を呆れてみていたマホは仕方ないとばかりに水球をひだるまになった魔導士に放つ。

火は消えたものの水球の衝撃で気絶した魔導士、壁にぶつかった後、そのままの姿で動かない騎士の姿を見て、審判は勇者側の勝利を告げた。

 「なんだよ、余裕じゃんか。こんなんで指導しようとかないわー。」

 「マジ。何してきたのこの人達」

 「ザーコ。」

挑んできたもの達を笑いながら、広場から出ていく高校生3人。

スミレは一番酷い怪我をしている魔導士を自分の感覚に頼りながら治療していきながら、3人の去っていった方向をにらめつけていた。

 (私はあんな人達とはやっていられない!)

いずれ、ここを脱走するときのために自分の身を守る術、体術と魔術の訓練に積極的に通っていった。



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