第9話 銀狼の休み処

「銀狼の休み処・・・。」

さきほどのギルドよりも古い木造だが、落ち着いた雰囲気のする外見だった。

 「おやっさん、きたぞ!」

 「あ、アインさんいらっしゃい!」

店に入ると銀髪をポニーテールにした10才くらいの女の子が迎えてくれた。

 「アインさん、食事にする?」

 「いや、シャルちゃん、今はいい。それより助っ人を連れてきたぞ!」

 「もしかして、そちらのお兄さんですか?」

 「あ、始めまして、カサネといいます。どうぞよろしく。」

 「はい、私はシャルっていいます。よろしくです。じゃあ、お父さん呼んできますね。」

お互いにお辞儀して挨拶すると、シャルは厨房の奥へと入っていく。

 「お父さあん!アインさんが助っ人連れてきたって~!」

 「おう、ちょっと待ってな。」

厨房でかがみながら仕込みでもしていたんだろう人物が立ち上がり、こちらに来る。

その人物は引き締まった筋肉をもつ銀髪をオールバックにした長身の男。

 「おやっさん、こいつがその助っ人、カサネだ!」

 「ど、どうも、カサネです。」

 「おう、俺はここの店主ジャンだ。で、カサネって言ったか。あんま、鍛えてなさそうだが、大丈夫か?」

 「働く時は一日5時間くらい動きっぱなしの時もありますから大丈夫だと思います。」

 「後、ここは冒険者の客がほとんどだ、見たところ貴族関連のとこで働いていたんだろ?我慢できるのか?」

 「確かに礼儀など叩きこまれましたが、堅苦しいのは苦手です。なのでこの店の雰囲気が性に合うと思います。」

 「じゃあ、とりあえず、早速午後からの様子を見て、それでよければ、採用しよう。」

 「ありがとうございます。」

 「じゃあ、おやっさんこれで俺は失礼するぜ。」

 「おう、カサネが使えるようなら奢りで食べさせてやるよ。」

 「やりー、じゃあ、これから依頼片付けて、夜にまた来るよ。カサネ、俺もためにも頑張れよ?」

 「ははは、頑張ります。」


その後、昼になるまで説明をされて、注文と配膳を今日はやることになった。

客もジャンさんの顔見知りがほとんどで乱暴なマネをするような人はあまりいなかったのもよかった。

ただ、酒を飲んで絡んでくるのはやめてほしい。

冒険者は体格のいい人が多いから、その手で背中をバンバン叩かれたり、肩を組まれるとかなり痛い。その度、ジャンさんが睨んだり、シャルちゃんが仲裁してくれたりしたのでなんとかなったが。

そして、ピークも過ぎ、暇になったころ

 「おーい、カサネ、シャル。これを上にもっていってくれ。」

ジャンさんに呼ばれ、渡されたのはごろっとした具材の入ったスープ。

 「これは?」

 「ああ、俺のカミさん用のスープだ。」

 「それって、病気で寝込んでいるっていう。」

 「そうだ、動けないほどではないんだが。念のため、自室で喰ってもらってる。シャルと一緒にいってきてくれ。」

 「わかりました。」

 「じゃあ、カサネさんいきましょう。」

俺はスープの入ったおぼんを持ってシャルちゃんに続いて、2階にあがる。

2階には5部屋ほどあり、階段から2番目のドアにシャルちゃんがノックする。

 「はーい。」

 「お母さん、ご飯持ってきたよ。」

返事が来てから、ドアを開けて、中に俺も一緒にはいる。

そこにいたのはベットから上半身を起こした銀髪の女性だった。

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