第2話 召喚

光が収まるといままでいた場所とは違う。

まるで西洋の城を思い浮かべるようなつくりの広間。

俺の回りにいるのはさきほどの高校生3人と後輩のスミレ。

そして、俺たちを囲むように整列した甲冑をきた騎士達。

いきなり、知らない場所にきて、囲まれている状態に声もなく、震えていると

 「よくぞ!参った異世界の戦士達よ!」

騎士達の後ろから声が聞こえ、騎士達が左右に別れ、後ろに下っていくと豪華な衣装に身を包んだふくよかな男が現れた。

 「ワシはこの国グランバニアの王グラントである。どうかこの国、いや、世界のために力を貸してくれないか?」

 「え?ナニコレ、なんかの撮影?俺、主役?おお、テンションあがるわ!」

 「マジ?じゃあ、スマホに書き込もっと。ん、ここ電波ないじゃん!」

 「え、どんな田舎よ!」

お願いされていい気になっている男子学生とスマホを見ながら文句をいう女子学生二人。

そっちはどうでもいいとして、お願いしてるけどもお辞儀もしないし、恰好も困っているようには見えない。胡散臭い・・・。

そんな考えをしていると、隣にいたスミレが小声で言ってくる。

 「これってどういうことですか?」

 「うーん、どうもこれは異世界召喚というやつじゃないかな?」

 「異世界召喚?」

 「色々と妹のためにゲームとか小説とか詳しくなったんだけどさ、展開はそれそっくり。」

 「この後どうなるんでしょう?」

 「とにかく様子を見るしかないけど、ろくなことにならなそうなんだよなあ・・・。」

特に否定の意見がないことを確認してかつづけて王が言い出す。

 「この世界アルグリードに今、魔王の存在は確認された。これにより魔物が凶暴化し、世界に混乱が起きておる。

もちろん世界各国も魔王の討伐のため、兵士を派遣しているが、戦況は押され気味なのだ。

そこで、この国に伝わる本よりもたらされた召喚の儀式により、そなたたちを召喚したのである。」

 「で、俺たちに協力してほしいって対価はのか?」

 「地位、名誉、宝物など用意できる最大限のものを用意しよう。」

 「お!ということはこの国の姫さんとかどうよ?」

 「よかろう、アリス来なさい。」

 「はい。」

王の後ろから声が聞こえ、王の横へ出てくる。その様相はまるで西洋人形のような美貌の金髪碧眼の少女だった。

 「始めまして、アリスと申します。」

半分冗談で言ったのだろうか、あまりの衝撃に声もでない男子高校生。だが、徐々に興奮してきたようだ。

 「おおお、いいじゃないか!」

 「じゃ、じゃあさ、私にはイケメンの執事つけてよ!」

 「あ、私も私も!」

 「ふむ、魔王を倒すと約束してくれれば、かなえよう。」

報酬につられる3人。そんなことよりも気になることがある。

 「俺からもいいでしょうか?」

 「なんじゃ?」

 「元の世界に帰れますか?」

 「元の世界に帰れる手段それは、魔王を倒すことだ。魔王を倒すことで解き放たれた魔力により、帰還の魔法陣が起動すると本にあった。」

 「その本は見れますか?」

 「残念じゃが、厳重に封印された本であり、今はまた封印されておる。魔王を倒すことができた時のみ、その封印が解けるとあった。」

 「わかりました、ありがとうございます。」

そこまで確認して隣のスミレに小声で話しかける。

 「あちらに都合が良すぎる。嘘をついているかもしれない。」

 「え!?じゃあ、帰還方法はないんですか!?」

 「ないとも言い切れない。魔王を倒さなくてもいいという可能性もある。今はしたがっておこう。」

こそこそと話しているうちに広間につながるドアが開き、水晶玉が載せられた台が運び込まれた。

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