大自然との仁義なき戦い!草刈り

 こんにちは&こんばんは。

田舎の嫁初心者の小烏です。


 うっかり農家の長男に嫁いだのは気が遠くなるほど昔ですが、長らく通い嫁だったので農家のお仕事は「お手伝い」程度でした。

庭や畑の草取りにしても草刈り機を振り回す(青々しい青春時代まさかゆくゆくは草刈機を振り回すとは想像もしていませんでした)にしても、野菜の収穫にしても長くても半月で終わる「お手伝いでしかありませんでした。

それが、コロナで延期になった東京オリンピックが終わる頃にIターンで完全同居となった日からは、「お手伝い」では済まなくなったのです。


 義母は由緒正しい農家の出なので、畑や田んぼの有り様については「斯くあるべき」理想像を持ってます。


 田んぼの稲はキチッと真っ直ぐ隙間なく整然と植わっていなければいけません。あぜの草は常にチラホラ地面が覗く程度の短さが理想です。田んぼの中の雑草など言語道断!見つけ次第直ちに抹殺です。

水の管理も大切で、どのタイミングでどのくらいの深さの水が必要なのか、稲作を農業法人に委託した(ので、地主は作業に関われない)今でも毎日田んぼを眺めては、水の管理の杜撰さを責め、すべき作業を呟いています。


 今日も朝から縁側で(縁側から見える場所に一番大きmy田んぼがある)、

「苗を植えるのが雑だけん、あげんなるだ!こう△△を□□して、こげんしとかんといけんに!」と申しております。

素人の小烏には、「あげん」も「こげん」もわからないので、青々としたいい田んぼに見えています。


 一方畑の方は家族でやっているので、義母の理想が追及できます。


 農家の理想。それは作物は定規で測ったように真っ直ぐに植えられ、それ以外は草一本もない畑です。

青々と繁るべきなのは、今ならキュウリであり、ピーマンであり、キャベツ、カボチャ、さつまいも、茄子、ゴーヤ、ズッキーニ、モロヘイヤ、ネギ、オクラ、里芋とトマト。 


 バジルとパセリは嫁が植えたので管轄外ですが、それ以外の野菜の周囲に生える名もなき草は許しません。

少なくとも生活道路から見える範囲の雑草は根こそぎ取ろうと、義母は嫁を動員してほぼ毎日(翌日寝込むことになったとしても)軽量鋤で地面を削るように雑草を抹殺していきます。この暑いなかの根気よさは尊敬します。


 軽量鋤を買う前は、鎌で地面を削るように(鎌は草の根元を切る道具で、地面を掘る道具ではありません。よいこはマネしないように!)草引きをしていたので、我が家には刃の潰れた鎌が大量に存在しています。千手観音様から何かの拍子に草刈りをしたいとお申し出があっても、おそらく困らないと思います。


 さて軽量鋤で土を削るより、草刈り機を振り回すほうが性に合っている嫁は、畑以外の雑地の草刈りがおもな担当です。 


 面積的には北海道のとてつもない広さに比べると、ちっちぇーものではありますが、あちこちに点在している雑地やら茶畑やら、果樹の下草を刈り取ります。

マイ草刈り機は義母から受け継いだ年代物なのでなかなかエンジンがかからず、苦労します。以前紐を引き続けて背中が筋肉痛になったこともありました。JA(農協)の修理部門に何度も入院を繰り返している古参です。

あぁ、スイッチ一発の電動の草刈り機が欲しいなぁ。


 さて、修理を繰り返した草刈り機でブイブイやっているとドキッとすることもいろいろ起こります。


 石垣の近くをブイブイやっていると石垣に回転する刃が当たって、ビュカーンという不愉快な音と刃が跳ね返る反動でドキっとします。

草むらをブイブイしていると各種虫が逃げ惑い、よりによってこちらへ飛んで来ることもあります。これまたドキっとします。

茶に木や果樹のなかにはスズメバチが巣をかけていることがあります。不用意に近づくとハチのほうから

「あんたさ!うちに近いんだよ!

これ以上近づくなら、

      刺すよ!」

と警戒音を出しつつ左右に飛んでアピールしてきます。が、どちからというとコチラは回転する刃のほうを注目しているので、せっかくのハチがわざわざ目の前で注意喚起しているのに気づくのが遅れるときもあるのです。小烏も一度刺され痛い目に合いました。


 草刈り機が進んだあとはエサが取りやすいのか、振り返ると鳥が群れていることもあります。刈り残しのひょんと立ち残っている草に鳥が上手に止まっているのは可愛らしい姿ですが、「ここ、刈り残してやんの!」と指摘されている気分にもなる、複雑な光景です。


 また、ご存知のように草刈り機は左右に振りながら前進するのですが、実はほぼ惰性でやっています。そこために進行先の草叢にカエルなど発見してもすぐには止められない場合もあって、ドキっを通りすぎてヒャッからの、ごめんなさい!!のときもあります。


 先日、夫がよりによってなんとマムシをあの世へ送ってしまいました。

それをどこかで見ていたのか、サッと黒い影が飛んできてマムシを咥えて去って行きました。

カラスでした。

処分しなくて良くなって助かったのですが、自然世界の弱肉強食を目の当たりにした一瞬でした。


 このように草刈りといえども、いろいろと油断なりません!

しかし一番恐ろしい風景は、恐らく草抜き、草刈りをする全人類共通。

春から秋にかけて、全草刈り民の衝撃と悲痛な叫び。

それは、

 

 『振り返ると草がある!』 


数日前に草刈り(草抜き)をした場所を振り返ると、なんと!また草が生えている!

やったのに!数日前にやったのに!

(泣き崩れる草刈り民)


 草、奴らはしぶとく逞しいです。

ひ弱な人間など、嘲笑うかのように日々成長し全てを覆い尽くしていきます。

そこに『自然の保護』なとど生ぬるい気持ちを持ち込むと、農地はすぐに草に征服されてしまいます。

ヤるか?ヤられるか?

農家と草との戦いは続くのでした。




追記

雑草ひとつなく美しく茶色の畑となった翌日、警報級の大雨が降りました。

うちの畑はゆるい傾斜地なので雨水が畑の土を押し流し、茶色の泥水となって通路を駆け抜け下の道へと出て行ってしまいました。

大雨の度に畑の土が減って行くので、草を生やしていた方が流れ出し防止になるのではないかと提案しているのですが、義母には聞こえないようです。



近況ノートに相棒の写真があります

https://kakuyomu.jp/users/9875hh564/news/16817139557623470712#comment-16817139557632939449











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る