こわいゆめをみた  2022.2.8

 次の日は朝早いから、早く眠らないと。

 そう言っていたのに、時計は午前三時半すぎを指している。

 

 一緒に眠りたいと言われたから、早く眠ろうと言った。すると、何故か理不尽に怒りだした。途中わたしを嘲り笑いながら怒り、罵倒された。

 どうにか色々言い募り、反論するものの意に介さず、跳ね除けられる。

 ものすごく悲しくなって、子供のように泣いた。


 その自分の泣き声で目を覚ました。

 夢から目覚める瞬間は、訳がわからないのが常で、夢で見たものが現実であるかのように頭がクラクラする。

 そのうち本当に悲しくなって涙が溢れてしまった。


 結果もう一度いつの間にか眠ってしまって、寝坊もした。夢も悲しければ、現実も悲しい。


 いつかの恋人だと、夢の中では思った。ただ、目を覚ましてみると、あれは恋人ではなかった気もしている。

 想いびとがいる時は、いつだって悲しい夢を見た。恋人と楽しく過ごし、一緒のベッドで眠った夜でも必ず怖くて悲しい夢を見た。

 むしろ素敵な日を過ごした夜こそ、いつもよりおそろしい夢を見る気もする。


 現実の恋人たちは等しくわたしに優しく、甲斐甲斐しく、夢の一切とは無関係のような人種ばかりだったが、何故かわたしの夢の中ではいつも極悪非道なのである。

 容赦がない。

 夢を報告するたび、いつもそんな酷いことしないのに、と悲しそうに言われるのだった。

 

 夢占いを見たところで、吉夢だとあったりトラブルやストレスの前兆、などと

てんでバラバラのため、いつの間にか夢占いも見なくなった。


 まず、恋人の夢に限らず、いい夢をそもそも見ない。

 誰かに追いかけられて、思いっきり走っているはずなのに、足が前に進まない。

だとか、集団の中にいるのに誰も気づいてくれない。だとか、古い日本家屋の中にいて、襖の向こう側に何かが動いて、ホラー映画ばりのカメラアングルでリアルな描写で、描かれる。だとか、パニック映画の如く、空から降ってくるスライムのような大小さまざまな塊に、触れれば死ぬ。だとか。

 キリなく思い出されるのは気分の良くない疲れる夢ばかりだ。


 たまには、心地よくて、天にも登るような気持ちになる夢をみたい。


 と、までは言わないので、せめて、なんの夢だ?と思うくらい内容が無いものにして欲しい。

 枕の下に写真とかを入れたら好きな人が出てくるとか、そういうのもやり尽くしたから(どうせ出てきても悪夢なのだ。)もうお手上げだ。


 頭の中を整理する為の夢だと聞くが、殺伐とした夢を見なければ、頭の中は整理出来ないほどごちゃごちゃしてるんでしょうか?と、誰かにお伺いを立てたい。

 眠りを研究したい専門家とか脳の専門家とか、サンプル欲しいならわたしを!是非に!と声をあげたい。わたしも自分の頭の中がどんなことになってるのだか、とっても気になる。


 いっそのこと、

『貴方はどこかの次元に迷い込んでいて、その世界の住人と眠っている時だけ入れ替わっています』

 などと言われて、

『…漫画の主人公じゃん』

と、言いたい。


『登場している人物は、恋人であったり友人や家族のように思えるでしょうが、それすらも、彼らが見せている幻なのです』

『…先生、彼らとは…一体!!』

と言いたい。


ただ、おそらくきっとそのストーリーの結末も鬱エンドになる可能性が高い気がするのである。



     

        2021.1.10 アメブロエッセイを加筆修正しております。

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