電車に乗ると 2022.2.6
ぽかぽか陽気が気持ちいい午後の電車に乗っていると穏やかな気持ちになる。最近はもっぱら地下鉄ユーザーだが、日中の閑散とした電車の中で、陽の光に当たるのが
好きだ。
以前同窓会で実家に帰った時だった。久しぶりに会った同級生に、東京に住んでいると、電車移動ばかりで大変じゃないかと、聞かれたことがあった。
私の地元は一家に一台車があるのは当たり前で、免許を取れる年齢になれば、直ぐに免許を取る。車がないと全く移動にならないようだ。確かに実家に帰ると、車が多く走っている。ドライブは大好きだけど免許は持っていない。
中学校を卒業し、すぐに上京した私には免許は必要なかった。車関係の会社で父が働いていたこともあり、車は好きだし、運転もしたいと思ったが、東京で免許を持っていても身分証明書くらいにしかならないから、必要に迫られることもなく、今の今まで免許を取ろうとしなかったのだ。
確かに朝の満員電車は辛い。このご時世で人混みが苦手になってからは尚更だ。ただ、今まで、私の生活ルーティン的に、殺人的な混雑に巻き込まれることはなかった。
私は結構電車が好きだ。周りの景色が流れ、面白そうなお店が目に入ったり、電車の中でうつらうつらとしたり、イヤフォンをつけ、音楽を流し、電車のドアに映る自分の姿でミュージックビデオごっこをしてみたり。
電車の中でうとうとしていると、不意に枕木がカタカタと鳴って、目を開けた時、自分はどこに向かっているのか一瞬わからなくなって、だんだんと現実に戻る感じや、知らない駅に降り立った時のあの不思議な気分。
その中でも好きなのは、車窓から眺める夕陽だ。景色が流れるのと同じく、空も色を変え、だんだんと薄闇に向かう所が儚くも美しいと思う。
目的地につくと、あっという間に夜になった時の少し心細い気持ちも切なく心に迫るものがある。
一定の室温の車内から外に出た瞬間、その時々の季節を強烈に肌で感じるのも、電車ならではのものだと思う。
状況が落ち着いたら、鈍行電車で遠くまで行きたい。
春には花々を眺めて、夏には海を見て、秋には紅葉を、冬には雪景色がみたい。
電車だからこと感じられる季節の旅を、五感全てで、満喫したいと思うのだ。
2021.1.13 アメブロ掲載のエッセイに加筆修正をしております
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます