高2の冬が懐かしい
「あ~。もう学校かよ~。めちゃくちゃだるいんだけど……」
冬休み終わりの学校で私は自分の机に突っ伏していた。今年は正月も家でダラダラしていただけだが、それでも休みというものが恋しくて恋しくて仕方がない。だからこそ授業が始まる手前のこの瞬間まで現実逃避しておきたいのだ。すると友人の明美がこちらに近づいてきた。
「涼子、なんかいつにもまして憂鬱そうじゃん。私で良ければ相談受けるよ?」
「いや……、そんな真面目なことで悩んでないから別にいい……。ていうか、私に何の用? 今は少しでも眠ってたいんだけど?」
「なんかね、うちの学校の近くに教会があるんだけどそこで聖書に手を当てると不思議な出来事が起きるんだって。だから涼子も早く学校が休みになるように願ったらいいんじゃないかと思って」
「別にそこまでする必要はないよ。いうても私も授業が始まったら観念するから」
「まぁ、確かに今日はなんとかなるかもだけど明日はどうだろうね~。涼子は知らなさそうだけど、明日は大事な大事なテストがあるんだよね……」
明美に言われてはっとした私は周りを振り返る。クラスメイトは皆必死に勉強していた。これはまずい。このままじゃ、私はまた先生に怒られて……。
「ちょっと……、今日願掛け行ってくるわ……」
「おぉ、頑張ってね~」
放課後になって私は古びた教会の中に入っていた。中には誰もいない。一体聖書はどこにあるんだろう? そう思って進むと祭壇に埃をかぶった本が置かれていた。
「は? こんな汚れたので願いが叶うわけ……」
一応、やっておくか。楽しかった冬休みが戻ってくるように真剣にお願いをする。すると目の前の聖書は光り、私は気を失った。
「もしかして願い叶っちゃった?」
あんな不思議なことが起きといて、願いがかなわなかったはずがない。私はうきうきでスマホを見る。しかし、私はそのスマホを地面に落とした。
「え、一年経ってるんだけど……」
一年経ったということはあと1か月で受験。当然私は受験の準備をしていない。神様のばか……。私はより絶望的になった自分に涙を流したのだった。
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