優秀な時計
おっぱい。それはでかければでかいほど良いものである。自分が包まれるような大きさのおっぱいを自由にできたのなら男の誰しもが狂ったように喜ぶに違いない。そんな巨大なおっぱいが俺の目の前に現れていた。
「これが……、おっぱいか……。ほ、本当におっぱいなのか……?」
自分の身長ほどの大きさのおっぱい。明らかにおかしい。どう考えても現実ではありえない大きさだ。しかし、そんなことを考えていたらいつまでたってもこのおっぱいを触ることはできない。おっぱいはデカければデカいほど良いんだ。これでもし死んだとしても男としての誇りのためならばいいじゃないか。俺は変な決心をして真っ直ぐにおっぱいへと突き進んでいく。おっぱいは貧相な自分の語彙では言い表せないほどの透き通った光の神々しさで魅力しか感じさせなかった。
「よーし。触る、触るぞーー」
なんの罠かも分からないのに俺は躊躇なくそのおっぱいを揉みしだく。その瞬間、パシーンというゴムの弾けるような音とともにピンクに輝く欲だらけの夢から目が覚めた。
「痛ててて……、何だよ、一体何が……」
周りを見渡すと、肌色のゴムの破片が飛び散って、ベッドから俺の体が吹き飛ばされているのが確認できた。そうだ、絶対に目を覚ます目覚ましを俺は昨日自分でセットしていたのだった。
「はぁ……、なにが最高の目覚めをあなたにだよ……」
男の夢とはくだらなくも全力で見るもの。それが弾け飛んだ現実では達観して死にたくなってしまう。俺は賢者モードで掃除機をかけると、ため息をつきながらスーツを手に取る。早く、起こしてくれる彼女をつくろう……。甘い幻想から目を覚まさせてくれた時計はとても優秀だな。俺は自分で自嘲するとまたため息をつき、髪をセットしに洗面台へ向かった。
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