違和感(自己紹介編)

『――僕の名前は書読太郎かくよむたろう。人呼んでさすらいの小学生探偵さ』


 のような。冒頭から差し込まれる、よくある一人称テンプレみたいな自己紹介がありますよね。

 それは最初から主人公の名前を植えつけるのに都合がよく、使い古された手法だと言えます。


 しかしながらですよ。

 待ってください、それって誰に向けての自己紹介なんですか!?

 基本的にしゃに構える私はこう思ってしまうわけなんです。

 まあ十中八九、読者に向けてなのでしょう。ですがそのようにして始まった作品は、例外はあるものの、以降外向けの描写が一つも登場しなくなる事もしばしば。

 何故はじめだけそちら側に向いていたのか、と考え出すと気になってしまいます。

 細かいですか? すみません、性分なもので。


 他方で私のよくやる書き方を例にあげるならば、主人公は誰かに呼ばれるまでは謎の人物であり続けます。

 ゲーム的に言うと名前欄が『????』のまま物語が進むようなイメージですね。

 これって書き手側からすると結構面白いんです。登場人物達に意図的に呼ばせないようにして、最後まで名前を明かさずに終わったり、最後の最後で名前を明らかにさせるような事ができます。

 え、そうする意味?

 ……自己満足です。つまり『なんかカッケーから』です。


 でもまあ、そうしたほうが自然じゃないかなぁとは思うところもあります。前述の突っ込みも生まれにくいですし、物語そのものの流れにリアルさが増す気がするというか。

 けれど結局は作者の拘りに過ぎませんし、結局は書き方の癖みたいなものなのですが。

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