第26話 ふたりのChristmas

あお「寒い〜。たっくんぎゅーさせてー!」

たく「ほれおいで。クリスマスだから寒いよそら。家に帰ったらまた応援するんでしょ。服汚す前に帰ろ」


俺らは今年も毎年恒例のクリスマスデートを執行していた。2年連続で地元君津のドライブデートである。まぁ毎度のことですがうちの愛央はやだやだといいながら出てくるんですわな。兄のためなら何でもする気かよ。この娘。


あお「あったかい・・・」

たく「寝るなよそのまま」

あお「うん・・・」

たく「クリスマスだから全身白でかつ赤いバックにしたとはいえど寒すぎだろそれはよ。コート着てるからまだいいとはいえどさ」

あお「だって・・・たっくんとイルミ見たいんだもん!ぐすっ・・・」

たく「ほれ泣くなよ。今18時だしご飯食べに行こうか」

あお「うん!」


腹減ったからって単純な理由で飯を食べに行く。こうすることで夜も余裕なのだ。ちなみに今宵も俺が運転。愛央は免許持ってないし、天然過ぎてオートマすら取れないやつである。さらに愛央はあくまで俺のサポート役だって。かわいいなぁ。今日は袖ヶ浦近辺でメシを食ってそこから木更津のイルミを見に行くことに。


あお「(´。>ω<)ぎゅ〜♡♡♡」

たく「カイロあげる。寒いでしょ」

あお「ありがとう!」

たく「飯食ったら帰ろっか。帰って寝て、明日ケーキ。今日イブだから別にいいかな?」

あお「うん!たっくんと食べるケーキって絶品だもん!」

たく「全く・・・まぁいい」


俺は左手をシフトレバーに当て、ひたすら2速3速4速のチェンジを繰り返していた。愛央はその手さばきに追いつけないようで。


あお「たっくん。すごーい・・・」

たく「でもなげーよな。ゆっくり行こか」

あお「うん!」


車の中でケーキ食えよ愛央。ったく、そこだけは変わんねぇんだから。


あお「ぷにぷに♡」

たく「何やってんだよ」

あお「甘えてるの。クリスマスくらいいいでしょ?」

たく「365日ほぼ甘えてるあんたが言えるかよ」

あお「いーじゃん!たっくん大好きだもん!」

たく「はいはい」

あお「明日はたっくんとお買い物行ってー、あいちゃんとお出かけしたい!」

たく「じゃそしよか。あ、今年のクリスマスはこれな?後ろにおいてある」

あお「これって・・・服?」

たく「開けてみろよ。高速乗って君津から帰るまでにな」

あお「なんでこんなにたっくん服買ったの!?」

たく「愛央が目を輝かせてまで欲しがってた服を全部俺の現金で払った」

あお「たっくん・・・かっこいい!」

たく「アホ。事故るから後でぎゅーしてくれ」


俺はそう言いつつ、富津の方まで車を走らせた。最終目的地は君津の隣、富津公園だ。


あお「富津公園行くの?」

たく「久しぶりにな」

あお「うん!」


富津公園の先に富津岬がある。俺と愛央の思い出の場所だ。何が思い出かって?それは秘密。


時刻は深夜2時を回ろうとしていた。富津岬に着いて愛央と二人で砂浜に座る。極寒の砂はひゃっこい。でもそれが君津に来たときの楽しいもんだ。愛央のほっぺたが冷えてる。流石にもう帰るかぁ。


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