第20話 久しぶりの長期休み

春もだいぶ過ぎたであろう4月28日。朝早くうちの妹愛央が髪を結ばずに40万で買ったチアユニ「だけ」を着て俺の横にきた。


あお「おきて♡ちゅっ♪」

たく「朝からあじしたの。つか「起きて」からキスはあかん。でなに、ポニテかハーフアップ?それかツインテール作って応援したいの?」

あお「たっくんのために愛央がとびきり可愛くチアやることにしたの!」

たく「それはいいとしても髪あじすんのよ」

あお「たまにはこのままチアやるっ!」

たく「えーまじか」


愛央が普段チアダンスを踊るときは、ポンポンを両手に持って、ツインテールかハーフアップを揺らすはず。ってかポニテなんか高3以来作っとらんし、なんで今更髪下ろすんだ?


たく「ほんとにツインテもハーフアップも作らんでいいの?」

あお「髪下ろしたままでも可愛いでしょ?」

たく「まあ・・・」

あお「明日から君津に帰るし、とびっきりの可愛い応援見せちゃうよ!がんば!たっくん!」


愛央はポカーンとしてる俺をそのままに可愛く応援し始めた。最後の最後でぎゅーって抱きついてくるし。さすが愛央、容赦しないな。


今日から長期休み。いわゆるGWなわけだが、俺と愛央とあいちゃんは相変わらず遊んでる。今日の夜に君津行くんだから準備くらいしろよ・・・


あお「あいちゃん!おばあちゃんのお家に行ったら何したい?」

あい「あいたんあしょびたい!」

あお「たっくんと遊ぼっか!」

あい「きゅぴー!」

たく「愛央たちいい加減準備してくれって。もうちょっとで帰るんだから」

あお「デートコーデ3着入れてくれたらあとは愛央持つよ!」

たく「あっそ。んじゃ詰めとくかな」

あお「(´。>ω<)ぎゅ〜っ♡♡♡」

あい「(´。>ω<)きゅぴ〜♡♡♡」

たく「おいおいまじかぁ」


ふたりはやっぱり甘えん坊。甘えだしたら止まりません。あこれいつものことか。


あお「愛央着替えてくるから、そろそろ行こっ!」

たく「とーちゃーん。いくってよー」

昭仁「あいよー」


俺は先に荷物をぶち込み、あいちゃんをだっこして愛央を待っていた。愛央はパステルピンクのニットと白のチュールスカートを着て出てきたので結局ハーフアップを作ってやることになったわけだがな。


あお「おまたせっ♡」

たく「可愛すぎん?」

あい「あーおー、だっこー!」

あお「うん!」

たく「それで何、作るの?」

あお「うん!デート服だから」

たく「はーあ。動くなよ」


さっさとハーフアップを作って車に乗り、俺らは君津へひとっ飛びした。俺は寝てたが、愛央とあいちゃんはずーっと俺にぎゅーって抱きついていたらしい。


君津に着くと愛央が優しく起こしてくれた。俺はよっぽど疲れてたらしく爆睡していたようだ。


あお「たっくん」

たく「ん・・・・?」

あお「ついたよ!愛央たちの地元、君津に!」

たく「帰ってきたんだなぁ・・・・」


愛央とあいちゃんは相変わらず大はしゃぎ。ばあちゃんにぎゅーってしたり、俺に甘えてきたり?


あお「おなかすいた~」

たく「あんかくうべ。そろそろ昼だし」

祖母「愛央ちゃんたっくん、昼あに食うんだ?」

たく「おらたちゃあんでもいいけど。ね?愛央」

あお「うん!」

あい「たたったたーたたったたー!きゅぴぴぴぴ!」

たく「15年前に遊んでたなこのおもちゃ。あいちゃん持って帰る?」

あい「あい!」

あお「あれ、これなんだろう・・・たっくーん。これ見てー」

たく「なぁにこれ?」

あお「愛央たちのアルバムかなぁ?」


愛央が懐かしいものを拾ってきた。俺とあいちゃん、そして愛央はこういった。


あお「愛央たちの小さい頃?」

たく「ぽいね・・・」


俺らはアルバムをあいちゃんと見ていた。あいちゃん、なんか愛央にそっくり?


あお「愛央とあいちゃん、似てる?」

あい「ほんとだー、あいたんとねーねーにてるー」

たく「さすが姉妹だな」

あお「もーっ。たっくんたら」

たく「でもさ、姉妹だから似てておかしくないよな」

あお「たっくん・・・」


休みとはいえいつもの光景。久しぶりではないけど、でもなんかいつもと違う気がする。

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