第17話 お兄ちゃんの慰安デート

あお「起きてっ。たっくん」


私は朝早く起きて白色のニットとブルーのチュールスカートに着替えて、たっくんにこう言った。甘えん坊の私は、デートの日に可愛い服を着てたっくんを起こして、たっくんに髪を整えてもらってるの。愛央がチアを始めてからたっくんはずっとポニーテールを作ってくれたり、高校の時はハーフアップやツインテールを作ってくれたり。そのくらいたっくんは上手いの。自分で出来ないけど、たっくんなら可愛い髪にしてくれるから好きなんだ。


あお「たっくん。おーきーてっ♡」

たく「ん・・・あれもう朝?」

あお「おはよう♪ねぇ、ハーフアップ作って?」

たく「よいしょっと。また愛央に起こされちゃったな。じゃあ後ろ向いて」

あお「うん!」

たく「デートっぽくくるりんぱする?」

あお「うん!あとポニテ風にして!」

たく「チアをやる時のやつか・・・」

あお「出来た?」

たく「はい、デートチア風ハーフアップ完成」

あお「ありがとっ!(´。>ω<)ぎゅー♡」

たく「さて行くかぁ。どこ行く?」

あお「昨日言ったクレープ屋さん!」

たく「んじゃもうちょっとしたら行くべ」


たっくんはスマホ右手にパソコンをいじりだした。愛央は朝ごはんをたっくんの横で食べてたんだけど・・・


たく「あれ・・・これって・・・」

あお「なになに?」

たく「全商品330円はアプリ会員限定となりますだって。あれ?アプリあったかな」

あお「アプリ?わかんなーい」

たく「入れとくか。念の為に」

あお「あ、あった!」

たく「あったの!?」

あお「見て!」

たく「じゃあこれでいっか。時間的にちょうどいいし。ほんじゃ行くべ」

あお「うん!」

たく「あいちゃーん。お留守番しててねー」

あい「はーい!」


私はいつものようにたっくんの後ろをついて行った。たっくんらしく、途中線路沿いで立ち止まってカメラを向けて写真を撮ったり。私もたっくんみたいにお出かけした時の楽しみがあるといいなぁ・・・。


あお「たっくんあれなに?」

たく「おぉ珍しい。工臨ではないか」

あお「こうりん?」

たく「工事臨時列車の略だよ。道路と同じで整備しないと電車も走れないからね。だけど珍しいな。工臨遅発してんのか?」

あお「なんでだろう・・・」

たく「工臨返却なら分かるけどこれ出発便だからなぁ」

あお「珍しいの見れてよかったね!」

たく「愛央もね」


たっくんは愛央に優しいの。なんでって?それは愛央にも分からない・・・。でも、なんか優しいの。愛央がいつもたっくんを頼るからかな?


たく「イオン木更津経由木更津西口行きがーこれか。9時10分」

あお「やったね。ねーたっくん。愛央の服いいでしょ?」

たく「どうしたのそんなに可愛くなって」

あお「たっくんがずーっと無理して愛央たちのために頑張ってたから、たっくんを癒してあげようって思って、あいちゃんに選んでもらったの」

たく「んじゃあ後であいちゃんにおやつ買ってってやらんとなぁ・・・」


たっくんはそう言ってバスに乗ったの。愛央はPASMOのお金が足りなくて、結局またたっくんにおねだりしちゃってた。


あお「うぅ・・・たっくんどうしよう・・・」

たく「あに」

あお「おかねたりない。ぴえん・・・ぐすっ」

たく「ちょっと待ってね泣くなよ。あれ?えーとどこだ?予備のICOCA」

あお「ごめんね・・・」

たく「ほれおいで。あ、あった。これ昨日チャージしといて正解だったな。俺はSuicaに金あるから、愛央はこれ使って」

あお「ありがとう」


愛央は結局甘えてたっくんに借りちゃった。無記名だから誰が使っても問題は無いんだけど、たっくんになんか悪いかなぁ・・・。


あお「たっくん」

たく「どした」

あお「愛央、たっくんに甘えてばっかりだよね」

たく「うんそれが」

あお「私、ほんとにこれでいいのかな?」

たく「愛央っぽくていいんじゃない?愛央らしいって言うか」

あお「えっ・・・」

たく「愛央がさ、真面目に応援してくれて俺はすっごい気が楽になるんだよ。でも時々、ほぼまいんちだけど甘えてきてさ、それが俺の癒しなんだよ。愛央がツインテ作ってハーフアップ作って見てみて可愛いでしょってのも同じよ。愛央がそうやってくれるから、今の俺があるんだよ。ね?だからよ、このままでいた方が俺はいいと思う。愛央らしくて可愛いんだからな」

あお「ぎゅっ♡たっくんありがとう!」


それから私はたっくんにずーっと(´。>ω<)ぎゅー♡ってして気づけばイオンモール木更津に着いていた。たっくんから渡されたICOCAの残りは・・・え!?15000円!?


あお「たっくん!どうしてこんなにあるの!?」

たく「えーあーこれ?」

あお「うん」

たく「俺帰りの電車賃もまとめてぶち込んだから」

あお「たっくん助かる〜♡」


あと3日でどれだけ回復するかは私に分からないけど、できるだけたっくんを休ませたい。だから出かけたけど、手間だったかな・・・


あお「たっくんせっかく頑張ってたのに木更津のイオン来て大丈夫・・・?」

たく「うん。ちょっと動かないと俺ダメだからな」

あお「ここでクレープ買えるかな?」

たく「うん。アプリ出しといて」


たっくんはそう言ってカバンの中から財布を取りだした。意地でも私に出させないのかな?


あお「たっくん、愛央が出すからいいよ」

たく「え、愛央払わんかと思った」

あお「いつも頼ってばかりだもんね。今日はうちが自分で払いたいから大丈夫」


わたしはこう言わないと、たっくんにずっと甘えちゃう。たまには自分で出さなきゃね。


パクっとクレープを食べて、イオンの中を巡ってるとたっくんが途中椅子に座り込んでしまったの。やっぱり無理させちゃったんだ・・・。


あお「たっくん大丈夫?」

たく「うん・・・少し休めばね」


無理してるたっくんをこれ以上連れ回すと倒れ込んじゃうかも。愛央は決心して家に帰ることにした。


あお「帰ろっ。たっくん」

たく「帰んの?」

あお「これ以上無理させたくないの。ね?」

たく「昼食ってないから単純に腹減って死んでたんだけど」

あお「そうなの?」

たく「そりゃだってさ。愛央たち寝てる間仕事してたから」

あお「じゃあお腹空くよね。食べよっ」

たく「だね」


お昼を食べてたっくんと話していると、たっくんがずーっと黙ってスマホをいじり始めちゃった。


あお「たっくん、何やってるの?」

たく「ごめん今仕事の連絡きちゃった」

あお「愛央も手伝うよっ♪」

たく「愛央が手伝ってくれるとありがたい」

あお「とりあえず帰ってからそれやろうよ!愛央、たっくんとまだ遊びたい!」

たく「じゃあ服買いに行くべ」

あお「うん!」

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