3

「出て行って。」

短い台詞は、明らかにレイジ一人に向けられていた。二人の男の眼差しが一瞬交差し。またすぐにルイに戻される。

「レイジこそ、商売以外でこの部屋に入る資格なんてない。私が誰と寝ようが私の勝手でしょ。仕事に穴開けたわけじゃないんだから。」

ルイの肩は震えていた。怒りと涙にがたがたと震えながら、彼女は火のような眼差しで兄を睨みつけていた。

「私はこれからミンジュに抱かれるの。抱かれたいから抱かれるのよ。あんたにそこにいられると邪魔だから出て行ってよ。」

身を反転させてルイに向き直った蛇男の、鱗で覆われた右の手が、そっと彼女の両目をふさぐ。そしてもう片方の手は、彼女の折れそうに細いのに溶けるように柔らかい腰を抱く。

ミンジュに目をふさがれたまま、彼女は彼の肩に顎を乗せるようにして身を預けた。熱を出した幼い子供が母に対してするみたいに、高価な売り物である全身をミンジュの身体の凹凸にぴたりとはめ込むみたいに預ける。そして薄く開かれて溜息を吐いた唇が、長いキスでふさがれる。

目も口も封じられた彼女は、両手を伸ばして自分に口付ける男の顔に触れようとした。しかしその手も二本の男の手で片方ずつシーツの上に抑え込まれる。

長いが浅いキスが終わり、ミンジュの手がルイの瞼から離れた時、部屋にはもう蛇男とルイ以外誰もいなかった。

瞼を開いても、ルイの視界はぼんやりと霞んだままで、そんな自分の感傷は彼女を強く苛立たせた。

「早くしてよ。」

涙を拭いもしないまま、ルイは荒っぽくミンジュの腕を引く。

「私の言う事ならなんでも聞くんでしょ? 早く抱いてよ。」

ミンジュは引かれるままにルイの胸に掌を這わせながら、短く息をつく。

「聞くよ。聞くけどな。聞きたくないこともあるんだよ。」

ミンジュの言葉はルイの耳には入らない。ミンジュとてそれを知っている。知っているから口に出すのだ。知らなければ彼は黙って彼女の望みどおりに動くだけだ。自分との性交が彼女にとって、手首を切ることや多量の睡眠薬を飲んでみることと変わらないことを知っているから。

壊れたドアの向こうに、人の気配はない。足音もさせずにレイジは階下に降りて行ったのだろう。それでもルイの両目はずっとドアの向こうの暗闇に向けられていた。どんなふうに組み敷いても、犯しても、なだめても、すかしても、次から次へと湧いてくる涙を流しっぱなしにして、じっとドアの向こうを見ていた。

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