第3話 MOPでできた“親友”

 新聞記者。あの人は一体何なんだ。よくよく考えれば、自分がいつ新聞に載った

ことがあるのかを考えればわかるな。新聞に載ったのはギターコンテストと、学校

イベントのインタビュー。あと他にもあったっけな・・・・・。

「ん・・・・・・・!!!!!!」

「なあ」


あった!!これを忘れてはいけない。あの日だ。ピアノで載ったんだ。その時に大手

新聞社が何人も来たが・・・・・。その時にあんなのいたっけ。

キャップを深々と被り、デコが広く、泥棒髭。ジャージを着ていて、靴は運動靴。

服は砂ぼこりでおおわれていた。会見の時はそんな格好だったが・・・・・。

「なあ」

絶対新聞記者の格好じゃねぇ!!普通ネクタイ締めてスーツで髭は沿っていて、

キレイな革靴を着用している――イメージ。

「なあ」

だが、僕には心当たりがあった。あの日、大人っぽい服装の中に一人だけTシャツで

来ていた泥棒髭の男を。タオルを首に巻いていてキャップを逆にかぶっていた。

「あいつ絶対新聞記者じゃないだろ」

あの時もそう思った。今からグラウンドでサッカーでもしてきたらどうだ?と

感じたのを覚えている。


「なあ!!」

ビクッ!!!!

「りょーへー君、すごいボーっとしてたぞ。しっかりしてくれ」

一本杉さんだ。

「すみません。そうは言っても、記者会見なんか初めてで疲れたものですから」


「そうか、分かった。それじゃあ、今からみんなで飯行こうか」

「飯?誰と?」

「班だ。この事務所にはそれぞれ班分けされてあるから、そのメンバーで食おう」

「へぇ。あとで会わせてくださいよ」

「いいよ」


 会った。結局はみんないい人っぽかった。1人目は、班のリーダー格の人物。

名前は、楠原禮次郎くすはられいじろうというらしい。年齢は24歳。

若かった。ニンジンくらいの細さで、眼鏡をかけていた。鼻筋がシュッと通って

いて、モデルみたいに指先が細い。ココだけ見れば、すごいイケメンのように

思えるが、髪と髭が整っていないことでグッと「イケメン度」が落ちている。


2人目は、班のムードメーカー的存在の女子。名前は郁乃田可愛子いくのだかわいこというらしい。

可愛子という名前は、生まれたときが可愛すぎた・・・・・という親の感想から

つけられた名前だという。そして、郁乃田という、パソコンの入力候補に出てこない

名字。なかなか珍しい名字だ。口癖は、「行くのだ~!!カワイイ子!!」

体型は禮次郎よりは太いが、まあ細いほうである。顔は・・・・・カワイイと

言えばかわいいけど、不細工と言えば不細工という感じだ。口紅の量が異様に多い。

趣味は、自分のビデオカメラで映画を撮ること。

「私の映画売れないなんておかしいじゃない!!世間は見る目がなさすぎるわ!!」

と1人で勝手にキレている。そして、自称恋愛マスターで何百回もキ〇やセ〇〇スを

やったという。まさしく、「変人」、いや、「超変人」だ。年齢は18歳という。


そして、3人目は・・・・・小っちゃい!!年齢は12歳。つまり・・・・・僕と同じ

小学校6年生だ。名前は叶野優理かのうゆうり。僕と同じくらいのイケメンで(?)ギターが上手い。僕のライバルのようなものだろうか。フルートもできるらしい。さらに、もう1つの主力楽器がピッコロである当時は最年少だったので、すごく歓迎されたそうだ。しかも、MOP(ミュージックオフィス♬ピッコロの略)に入るということで主力がピッコロとなると、だいぶ話題になったようだ。僕も一度ニュースで見たことがある気がする。


このような、個性的な仲間の元で、今日から頑張らなければいけないようになるらしい。ま、いっちょ行きますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る