第2話 騒動後の配信1
実はあの後恐る恐るエゴサをして見たのだが、好意的な発言はあるものの、誹謗中傷と取れる発言は少なかったし、何ならふふゆモードで配信して欲しいという意見が後を立たなかった。
一回だけ素を出してみようかな……
「よし……」
私は覚悟を決めた。
少し怖いが、配信開始ボタンをクリックする。
しようとしている。
だが、恐怖心が勝ってしまい、どうしても押せない。
ああ、もうこれから配信は2度とできないのか、もう何もできないのか、またあの時のように生きがいを失ってしまうのか。
諦めかけていたその時、昔の友人のある言葉を思い出した。
「やりたいことをするのはすごい事なんだよ。好きなことをするのとも得意なことをするのとも違う。やりたいことなら苦手なことでもやる。これがやりたいことをするってことなんだ。」
今の私のやりたいことは配信……でも責められたりいじめられたりするのが怖い……
ああ、そう言えば彼女にこう言われてからやりたいことを一生懸命してたらいじめられなくなったな……
あの子の名前は確か……みはるだったよね、みはる、ありがとう。
君の言葉でまた救われたよ。
そうして恐怖心に勝ったころんは開始ボタンを押した。
「こんころ〜最上ころんだよ〜」
:え、誰ですか
:やあ
:どりゃあああああ
:vを見て涎垂らしているふふゆを返せ
:無かったことにするつもりか?
:あれ、今日は限界オタクになってないんですね
コメントが既にこれまでの10倍はあろうスピードで流れていく。
こんな早いなんて未羽ちゃんの配信でも週に一回あるかどうかなのでわかる人にはわかる凄さだ。
「みっ、みんなどうしたの?ころんはふふゆって人知らないなー…」
苦し紛れだとわかっているけどここで違うと言っておかないと未羽ちゃんとのコラボの夢がなくなってしまう可能性があるし今後の(以下略)
:声優志望とか言って声乗せてましたよね^^
:瓜二つですね!
:双子かな
はぁ、もうこれをするしかないか。
ころんはそう言いながら王者でもないのに王者の風格を醸し出すような感じで髪をかき上げた。
そして、満を辞してその口からこう発せられた。
「わかったよ‼︎認めるからいじめないで;;」
ころんモードのなきべそ発動!見た目がエロガキJ Cだからこれまではこれをすれば何でも許されてきし、何なら一部の変態を除いてごめんね…とか許すよ、ばっかりだった。
たまにもっといじめたくなるとか言ってた人もいたけれど大抵の人は優しかった。
はずだった……
:は?
:かわい子ぶるな
:ふふゆの過去の呟き「エロガキはいじめて服従させるのが義務、服従させた後もいじめぬこう」
:過去の呟きにいじめられてて草
:素……出してええんやで
:そこに愛はあるんか。
:愛のあるいじめはやっていいって誰かが言ってた
:いいゾもっとやれ
これまでのような擁護コメントが一切見つからないところか罵詈雑言の嵐だ。
「はいはい、わかりました私がふふゆです、隠れてvtuberやってて何が問題なんですか?」
吹っ切れることにした。
このまま反論しても千日手になるのは丸わかりだしね。
「せっかく未羽ちゃんとコラボできるようにかわいこぶって清楚路線で有名にな
ってやろうと思ってたのに何だお前ら!」
:出たわね
:正体表したな
:即落ち2コマ
:初めてバズった瞬間を観たのかもしれない
:僕の可愛いころんちゃんを返せカオナシ!
:もっと粘れよクソ雑魚
「誰がクソ雑魚なのよ!千日手になる位なら白状したほうがマシでしょ!馬鹿なの!?」
:千日手なら負けじゃなく同じ局面が続くことになるから頭が良かったら粘るんだよな…
:やっぱりクソ雑魚だった(定期)
<七瀬未羽>:ふふゆちゃん!そんなにコラボしたいならしてあげるゾ!可愛い後輩だからな!
「未羽ちゃんの偽物とはコラボしないわよばーーーーか」
:あ
:まずい
:俺の未羽ちゃんに何いうんだあああああああああ!許さないいいいいいいい
一瞬でコメ欄が荒れに荒れまくり、混沌とした空気が場を支配している。
よーくコメントした人の名前を見てみると…『七瀬未羽』と書いていた
「えっ、もしかして本物……?」
血の気が引くとはこのことだろうか。私は初めて身をもって経験した。
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