vtuberなんですけど裏アカバレたらバズりました

涼風ろあ

第1話 伝説の始まり

「みんなー!今日も来てくれてありがとーおつころ」


コメント

:乙

:オタ垢バレてて草

:ところで赤ちゃん好き?

:ひん

:純行くわ

:リクエストでドラ○ネ歌ったせいで植民地になってて草

:草って何ですか?

:大麻の隠語やで


 手馴れた手つきで、流れ作業のように配信停止ボタンを押す。

 それと同時にテンションも底辺vtuber最上ころんから一般女性加藤みやこへと変わった。


「私ってセンスないのかな」


 そっとため息を吐きながらそう考えてしまう。

 なぜなら大学生の時から友達もおらず、これと言った趣味も特技も無かった。

 そんな私だが、唯一と言っていいほどの心の拠り所がある。

 

 それはvtuberだ。


 レポートそっちのけで有名vtuber未羽ちゃんのおし○こ我慢テ○リスを見て単位おとしかけたり、リマカーのゴースティングをしたり、vtuber中心の生活を送っていた。

 流石に就職活動の期間になると離れて就職活動に専念したと思うだろうが、生憎vtuberにはまっていて一切就職に向けた準備なんてしていないし、めんどくさいから後回しにしていた。


 いよいよ卒業式が迫り、焦り出した私はバカな考えを導き出す。


「私もvtuberになって一攫千金‼︎ゆくゆくはみはねちゃんとコラボも…むふふふ」


 こんな安易な考えでバイト代をはたいて機材を新調し、赤城康介という絵師様には、黄色いショートカット、小さい胸、背丈は140cmほど、何か闇を感じるミステリアスな目、それに薄着のtシャツ、ムチムチショートパンツの最高のエロガキ衣装を描いていただき、いざvtuberデビュー!! 


 ……したのはいいものの、全く伸びず、デビューから一年経った今でもかたった〜800フォロワー、ようちゅべ900登録の底辺ぶりだ。因みに収益化できていないのに加えて卒業もしてしまったため、ファミレスでバイトはしているもののほぼニートだ。


 そして現在に至る。


「うう、やっぱりただのオタクにはきついのかな…」

 

 そう言いながらかたったーの裏アカを開いた。

 裏アカと言われれば聞こえは悪いが、ただのv豚アカ、いわゆる推しアカというものだ。

 ちなみにフォロワーは2万越え、リスナー界隈では有名人であり、推しや数々のvtuberにフォロバも貰っているほどだ


「リサーチリサーチ〜……ムッ!ライ○オンの心音○雪ちゃんのオリ曲だと⁉︎聞いてみよう!」


〜〜〜〜♪


「……」


 何かを察したように何も語らず私はベットに入り深い眠りについた。


 だが、朝起きてかたったーを確認していた私は唖然とした。

 なぜか裏アカのフォロワーがvtuberアカをフォローしてきていたのだ。

 1人2人なら気にしない、たまたまおすすめ欄に出てきて私の華麗なるビジュアルに翻弄されただけだろうと思うからだ。でも、一気に1万5000人近くの人がフォローしてきている。。


 その中には未羽ちゃん含めて大手vも多く含まれていた。


「わわっ!急にフォロワーさん増えててびっくりだよ!」


 何も理解できてない私は慌ててツイートした。白々しいかも知れないが、親切な人が教えてくれると思っての甘えた行動だろうと今となっては思う。


リプライ

:ふふゆ氏vtuberやってたんですね^^

:ころんちゃんあのツイートって本当なの?

<七瀬未羽>:ころんさん初めまして!何だか私の大ファンのvtuberがいると聞いてきたんだけど本当かな?


 数分としないうちに過去の私ではあり得ないほどのリプライがついたが、それは嬉しい反面とても人間の奥底にある恐怖心を煽られた。

 というかよく見たら未羽ちゃんからもリプが来ていて私の気分はそんなのどうでもよくなってとりあえず絶好調になった。


「未羽さん!?初めまして‼︎確かに大ファンですけど一体どこから漏れたんです

かね…」


 焦りながらも平常心を保っている感じで未羽ちゃんにリプをした。

 正直……嬉しすぎてにやけ顔が止まらねぇ!!!!


:<七瀬未羽>ん〜とね、昨日の歌配信は覚えてるかな?その時に間違ってふふゆのアカウントでかたったー開いたでしょ。それがニュースサイトとかで取り上げられたの。面白いから私も拡散したんだよね〜


 ……状況を整理しよう。


 配信でオタ垢バレるのはわかる、それがどうしてここまでの反響を呼ぶんだ⁉︎

 困惑していると二つのリプライが目に入った。


:ふふゆちゃんvtuberやってるなら教えてくれたらよかったのに

:ころんちゃんさすが〜裏アカで色々な人と交友を持って人気になる作戦か〜


 理由がわかった気がする……ずっとひとりぼっちだと思っていたけど裏アカでは結構友達というか、相互さんがいた。

 夜中までDMのグループでvtuberについて語ってたこともあった。


「みんな……」


 感動した彼女は他にもこういうのがないのか!と思い、リプ欄を漁り始めた。


:ふふゆちゃんはやっぱり底辺でやってたか〜笑

:ただのリスナー(俺たちと同じ)が人気になれるわけ笑笑


 何だこいつら、人が感動して泣きそうになってたのになんてことを言うんだ!

 私のさっきまでの気持ちを返せよガチで許さねぇぞ。


:やほーニュースのトップに『vtuber界隈切手のオタクリスナー裏で隠れて活動するもやはり底辺だった』ってあってさすがに草超えて森

→面白がってみんなrtしてるwwwww


 慌ててやほーニュースを確認するとトップに私の記事があった。最初は嬉しさが込み上げてきてはしゃいでいたが、冷静になると恥ずかしさが込み上げてきた。

 ……仕方ないけどこれも活動のため。

 そう言い聞かせて私はツイートをした。


「ふふゆは今日でやめます、おやすみ〜」


 流石にこのまま続けるのは恥ずかしし、今後の活動に関わって来そうなので最後にこのツイートをしてふふゆのアカウントからログアウトした。


 ちなみにだがころんのかたったーフォロワー数はこの時点で6万5000。ようちゅべ登録数は7万まで伸びている。

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