第10話 助っ人の手助け(3)
「よし!先輩がフル無視されちゃったんで別の作戦を練るとしましょうか!」
「余計な一言が入ってたけど‥‥」
学校から帰ってすぐに俺の家に来た美咲ちゃん。
美咲ちゃんは習い事や部活などは一切やっていないため暇をしている。
「あのさ、美咲ちゃん」
「ハイ、何ですか先輩」
「‥‥何してんの?」
「寝てるだけですけど何ですか?」
俺の部屋につくなりベットでくつろぎ始めた美咲ちゃん。
昔は可愛い妹のように思っていたので何にも思わなかったが、最近になって成長した美咲ちゃんに俺はそんな妹のようには思えなくなった。
‥‥セクハラまがいなことをしてくるのもあるが。
「普通人の部屋に来るなり人のベットで寝る?」
「いやーどうですかね?確かに先輩が急に私を襲ってくる可能性だってあるわけですもんね。いやー怖い怖い」
「そんなこと心配しなくても大丈夫だぞ。今まで彼女も出来たことのない俺だから」
「‥‥そんな張り合い方されても先輩が虚しく見えるだけですからやめてくださいよ‥‥」
「とにかく!人様の、更に男子のベットで寝転ぶな。もう昔じゃあるまいし」
昔はよく二人でゲームしたり本読んだりしてた思い出。
今となっては垢抜けした美咲ちゃんを前に少し昔と比べて距離があるように思えた。
「なんで嫌がるのー。せんぱ、圭君変わったよねー」
「いちいち言い直さなくてもいい‥‥」
やっぱりこの間の靴下の時の油断さといい、このSといい、本当に困る。
* * *
「それで、次はどんな作戦で行きましょうかね~」
結局美咲ちゃんは作戦会議をしに来たという事もありさっきの俺へのセクハラを終えて真剣にしている。
「美咲ちゃんから見て今日の小松さんってどう思った?」
「いや、まぁ先輩が棒立ちの時しか見てないからあれなんですけどね‥‥。私からすれば無視をするってもしかしたら向こうは意地を張ってるだけなのかな~って感じですね」
「意地か‥‥」
向こうが意地を張ってたら何にも進まないし、やはり恵理に聞くのが一番いいのかもしれないな‥‥
「向こうが意地張ってたら終わらないよな」
「そうですね。あの感じだと先輩が積極的に行かないと終わらない気がします」
「だよなー」
かと言ってもあんな様子じゃ‥‥
「あ」
「どうしたんですか?」
「美咲ちゃん、奥の手を使ってみようと思うんだけど」
「奥の手‥‥ですか?」
俺はスマホを美咲ちゃんに見せた。
奥の手は恵理のことだ。
恵理なら小松さんのすぐそばに居るからあいつなら頼りになるだろう。
もちろん見せている画面には恵理の連絡先を映してある。
「誰ですか?小山恵理‥‥」
「小松さんの友達だ、まぁ俺に昔から優しくしてくれてた子でもある」
「その人が先輩の奥の手ですか」
「なんだ、恵理のことが不安か?」
「いや、なんにでもないです。まぁ一度先輩がしたい通りにしてみましょうか」
「ああ、一回は任せてくれ」
* * * * *
『ちょっと助けてくれませんか』
美咲ちゃんが家に帰って部屋には俺一人。
時間帯的にも流石に恵理は家に帰っているだろう。
『どうせ佐那ちゃんのことでしょ』
思った以上に早くに返信が来た。
しかも内容見抜かれてるし‥‥
『そうなんだよ。恵理も見てただろ今日の小松さんの反応』
『なんか大変だね。まあ原因作ったのは圭祐だからねー』
『そうだけど、俺は早くこの関係、距離を終わらせたいんだ』
(怖いよ!そんなの怖くないわけないじゃん‥‥)
他の誰も知らないあの時。
あの時の小松さんは俺に不安を吐いてくれた。
あんな小松さんを見るのは初めてで、嬉しかった。力になれたんだと。
俺はこれからも小松さんの力になりたいのに‥‥彼女を傷つけたんだ。
『その気持ちが伝わらないと意味がないからねー』
『だから困って恵理に頼んでるんだよ』
『圭祐は私に何がしてほしいの?』
『相談』
『相談って、それこそよくわからないんだけど』
『アドバイス』
『アドバイスね、アドバイスかー。それだったら、一回二人っきりになるためにセッティングしようか?』
『してくれると助かるんだけど‥‥』
『任しといて。また連絡するから』
『ありがとう恵理』
『どういたしまして』
恵理は本当に話が早くて助かる。
『あ、それと!聞きたかったんだけどさ』
終わったと思ったら恵理から一つのメッセージが来ていた。
『圭祐さ、一年生の子と帰ってたけどあれって誰なの?圭祐にそんな人居たの?』
まさかの美咲ちゃんのことについてだった。
まぁ今日で初めて美咲ちゃんを見たはずだからな‥‥
『後輩だよ後輩』
『そんな後輩って居たんだ』
『お隣さんだからまぁ』
『お隣だからってあそこまで仲いいのっておかしくない?』
仲いい‥‥か。
仲がいいだけじゃないって事は絶対言えない。
『そりゃ引っ越してからずっとお隣だから。家族ぐるみもあったし』
『あーそういう事ね。良かった、佐那のことでそんなこと言ってたのに彼女だったらどうしようかと思った』
『俺に彼女なんて居るわけないだろ』
『確かにそうだったw』
―おい。
『それじゃ私これからすることあるから返信出来ないよー』
『ありがとうな』
『はーい』
美咲ちゃんも大物助っ人だったが、相手と一緒に居るという超大型助っ人だ。
どっちかというと恵理も協力的なので他人の力とも言えるが早く小松さんと普通に戻りたい。
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