幕間 〜 狼谷 龍彦/著『人体全書』 〜
生物の精神は、ありとあらゆるものに宿る……
――R・K
時は夕刻であった。 夏も終わりを告げた涼やかな十一月の神野卓也宅には、 珍しく客人達がやってきていた。
客人の名は三島氏と森女史の二名だった。三島氏は持参した缶チューハイにジンを割入れながら、塩菓子をむさぼり、 又澁澤氏の母手製の漬物をシャリシャリとつまみながら、 日本酒を飲むという浮気な飲み方をしていた。
「澁澤よ、 いつも私はお前のわがままや奇行に振り回されておるのだから、 たまにはそのお返しもいただきたいものだな」
「まあまあ三島さん、 少し落ち着いて……」
まだ高校生の森女史は、 いつものように三島氏の酔態を押しとどめていた。 しかし無理もない話だ。事実七尾氏は『慧慈湖』事件や『血染めの森』事件を――後者は解決のためにたいへん骨を折ったとはいえ――己の芸術的欲求のために小説化したことは事実なのだ。
「ふむ……まあ、 良いだろう。 貴君らお二人にも今までたいへんご迷惑をかけてきたのだから、 恐ろしい話の一つぐらい、 語っても罰は当たるまい……」
そういうと澁澤氏は書架の中から、金属製の扉のついた箇所の前に立ち、 そして、ズボンのポケット中から鍵を取り出すと、 そのカギを差し込み、 中から一冊の古ぼけた本を一冊取り出した。
ここで澁澤氏の書架について少々説明せねばなるまい。 彼の書架には、 凄まじい数の書籍が所狭しと並んでいた。 内容としては主に日本文学、米文学、仏文学の三種と、 悪魔学、 人類学の著書、 地方史、怪奇小説の研究書、 小説執筆の手引書が並んでいた。そして、 澁澤氏の書き物机の背後には、 金では贖えぬほど貴重な奇書――著者である瀧川勝氏から贈られた奇書『海洋奇形学集成』、今は亡き和歌山の自称「魔女」から遺贈された、 恐るべき『地虫の知恵』上中下巻、 今は存在しないあばら家にて発見しそのまま持ち帰った著者不明の『螺湮城』、 三島氏と共に森女史の依頼のため奔走した先で強奪した、忌まわしき『うわばみ覚書』、 さる邪教信者との死闘の末に手に入れた、 口にするのも躊躇われる『円環秘法』、澁澤氏の高祖父である澁澤十四郎氏の備忘録である『永代記録』及び大南市の怪異伝説を収集した『大南怪異伝説譚』、そして先日澁澤氏が依頼者より譲り受けた(というより押し付けられた)奇書『海妖集全釈』――などである。無論少なくない金と時間を費やし、澁澤氏は慄然たる知識の宝庫を蒐めに蒐めたわけではあるが、その半分以上は冒涜的な知識を備えた澁澤氏を見込んで送られた物が多い。そして今しがた澁澤氏が鉄の小扉付の一隅から取り出した、 最も悍ましき書物……儀式のために母親ごと嬰児を殺害し【悪魔様】に捧げていたという昭和の怪人、 R・Kの手記、呪われた『人体全書』――が収められていた。
「この『人体全書』については、 お前さんも聞いたことがあるだろう、 三島」
「ああ、その本と、 著者の【悪名】についてはかねがね聞き及んでいるぞ……それまでの所有者が、 何人も惨殺されていることも含めて、 な」
「惨殺!?」
森女史は耳慣れない「惨殺」という剣呑な単語に、思わず驚愕の声を上げる。
「それまでの所有者は、 この本の秘密について何一つ理解していなかったのさ。 この秘密に気付いたのは、 おそらく僕一人だろう……呪いを仕掛けたR・K以外はね」
「呪いだと? 縁起でもない!」
「ところが、 冗談でもなければ、嘘偽りでもないのだよ、これが」
澁澤氏は『人体全書』を三島氏の前に置くと、 それを机の反対側からパラパラとめくりだした。
「別段、 クトゥルフ神話やゴシックホラー作品によくある人皮装丁本でもなし、 陳腐な怪奇小説のように文字が血で書かれているわけでもない、 何の変哲もない本だがね。 内容も儀式でどんなことをやったか、 自身の生贄を殺害する際の手順や、自身の殺人の哲学はどんな風かを書き連ねたものに過ぎない」
「なら、 なんでこれを所持していた人間が、 次々と惨殺される? しかも、 いまだに殺害方法や侵入経路がわからないそうじゃないか!」
「まあそう慌てるな。 それにはある条件があるのだ……だがその話に移る前に、 R・Kについて、 私なりの取材と研究の成果をお話しておこう
「まずR・Kの半生と罪状についてだ。 彼は戦前に生を受け、 学徒動員のために、 軍事工場で兵器の生産をおこなっていた。 しかし戦後になって日本から姿を消した。 中国大陸に渡ったという人もいれば、 何処かの伝手を経てヨーロッパ大陸に渡ったという話もある。 この手記に書かれてはいないから、 謎のままだがね。 そして、 1950年代前半に日本に帰ってきた彼は、 【S教団】なる宗教組織を結成し、 同士を少しずつ集め始めた。 どうもこの組織、 麻薬密売や鋼材密輸を行っていたらしく、 少しずつ資金もため込んでいたらしい。 本格的に活動を開始し始めたのは50年代後半だ。 組織の規模も大きくなり、 【悪魔様】なる崇拝物に、 血なまぐさい生贄を捧げ始めた。 最初は路上をうろつく浮浪児や、 乞食同然の浮浪者を生贄にしていたらしく、 警察には目を付けられなかったと云う……思うに警察に賄賂でも渡していたのではないだろうかね。
「しかし、 彼はあまりにも行動の常軌を逸し始めた。経済の安定し始めた60年代に、 夜闇に乗じて人々を攫い始めた。 揚句にはさる議員の娘も、 どうやったかは知らないが邸内から攫ったこともあった。
「公権力も彼を見つけ出そうと躍起になった。 幸いにして彼の隠れ家の一つとしていた信者の家の地下で、 胎児ごと惨殺された女性の遺体をはじめとする惨殺死体の山が発見され、 そこから芋蔓式に彼と彼の教団の悪行は明るみに出始めたのだ」
「それが幸いかどうかは私にはコメントできんな……しかし、 そこまで悪行が明るみに出て、 どうして捕まらなかったんだ」
「間一髪のところで、 彼は隠れ家の中で忽然と姿を消したのさ。 入口は全て捜査員たちが抑えていたが、 彼が姿を表すことは二度と無かった。……煙のごとく消えたのさ。 隠れ家は隅から隅まで捜索されたが、 発見されたのはおぞましい儀式の小道具と惨劇の跡、 そしてこの『人体全書』だけだったのさ」
「なんともまあ胸の悪くなるような話だ。 しかし、どうしてそんな遺留品として真っ先に押収されそうなものが、巷に出ているんだ」
「警察に任せておけなくなった前述の議員が、 警察に働きかけて『人体全書』を買収したのさ。 流石に娘が解体された揚句に頭を……嗚呼、 恐ろしくてとても口に出せない。 子飼いのヤクザまがいの私兵や金で雇った調査員どもに木島の捜索をさせるために、手記を買い取ったのだろうさ。 それが、 命取りになるとも知らずに」
「……その議員さんは、 どうなったんですか?」
青ざめた顔の森女史が澁澤氏に聞いた。
「密室になっていた私室内で何者かに、 鋭利な刃物でめった刺しにされて亡くなったそうだ。 犯人の侵入経路は不明。 しかし、 その死体のそばには、 この『人体全書』が転がっていたそうだ」
「ひぃっ!」
澁澤氏の言葉を聞くと、 森女史は『人体全書』の置かれた机からのけぞるように離れた。
「その後、 その議員の息子が、 あるオカルティストにこの手記を売り払ったそうだ。 無理もないわな。妹だけじゃなく父親まで殺されたと逢っちゃあ、 そんな恐ろしい代物、 手元に置いておきたくないだろう」
「それで、 その手記を買い取った奴も……」
「そう、 その議員と同じく、 鋭利な刃物にめった刺しにされて亡くなったそうだ。 その次の持ち主は、 厳重に施錠した金庫の中にこれをしまっていたそうだが、 巡り巡って僕が大枚叩いて買い付けて、 今ここにあるというわけだ」
話疲れたのか、 澁澤氏は机の上に置かれたコップに日本酒を注ぐと、 一息に半分ほど飲み干した。
「お前はこの本を持っていて、 何かおかしなことは起こらなかったのか?」
「起こったさ……一度だけ、 な。 ここからが本題なのだ」
そういうと澁澤氏はコップに残った日本酒をすべて飲み干し、 口を開いた。
◇
原稿の終わらぬ夜ほど精神が高ぶり、 かつ恐怖するものはない。結末までの見通しは見えないし、 第一怪奇小説なんぞを書いていると、 集中すればするほど神経がおかしくなりそうだ。 窓ガラスに女の幻覚を見たり、小さな家鳴り一つにさえ叫び声を上げたくなる。
僕はその夜、 『人体全書』をはじめとした奇書を、書き物机といわず、 床といわず、 部屋中に散らかして執筆作業に赴いていた。
「まったく、 いつになったら終わるものやら……」
寂しい夜中に独り言をブツブツと呟いてしまうのは誰にでも覚えがあるだろう。 半ば譫妄状態で、 長時間キーボードへ指を走らせながら書籍にも目を走らせていたのだ。
「……今日はもう休んだ方がいいな。 もう何も浮かばん」
キーボードから指を話すと、 僕はそう呟いて、 シャットダウン作業に移ろうとした。 その時、 背後でバタン、 と何かが床に落ちる音がしたのだ。
「なんだ」
後ろを振り返っても、 誰もいなかった。 しかし、棚に無造作に突っ込んでおいたはずの『人体全書』が、 ページが開かれて床に落ちていたのだ。
「おかしいな、 きちんと立てておいたはずなんだが」
そういいながら、 僕は『人体全書』を持ち上げた。そのとき、 見開かれたページのある一説が目に飛び込んできた。
「滅びる魂あり。 滅びぬ魂あり。 その違いの秘、未だ我には判らず。 さりとてこれだけは言える。 生物の精神は、 ありとあらゆるものに宿るものであり……」
「精神はありとあらゆるものに宿る、 かね。 殺人鬼の手記にしては、 なかなか形而上学的なことだ!」
僕はそう吐き捨てると、 再び『人体全書』を棚に突っ込み、 電気を消して布団の中に潜りこんだ。……愚かな話だが、 僕はこの時きちんと小扉を閉めていなかったんだ。 無論、 歴代の持ち主のこの本の取り扱い方と、 取り扱いを間違えた人々の末路については熟知していたし、 『人体全書』を売った奴からも、 この本の保管方法については耳にタコができるくらい、 五月蠅く注意を受けてもいた。 ……全ては寝ぼけていたせいでもあったし、 『人体全書』の伝説を莫迦らしい迷信だと僅かながらも侮っていたせいだとも言える。 まあ、 こうしてお二方と談笑できているのは、 ひとえに運が良かったためだ。
話を戻そう。 普段の不眠が嘘のように、 僕は速やかに眠りに落ちた。 普段の僕ならば、 怪奇小説を書いた後なんぞは神経が昂るか、 恐ろしい現象に恐怖して眠りに落ちるまでひと苦労するものなのだ。『人体全書』がひとりでに床に落ちなんぞしたら、その一晩を眠れずに過ごすだろうね。 しかし僕は眠りに落ちた……もしかしたら、 この不自然な睡眠も『人体全書』の巻き起こした現象なのやもしれんが。
眠りに落ちてどれほど経ったのだろうか。 何時間も経っていたのかもしれないし数分しか経っていなかったのかもしれない。 体感時間については全く自信が持てないが、 ふとバタン、 と何かが床に落ちる音がした。 僕はその音で目を覚ましたのだ。
その時は「また『人体全書』が床に落ちたのか……おかしいな。さっき奥のほうに立てておいたはずなんだが」と呑気なことを考えていた。
しかしそんな呑気な考えもすぐさま吹き飛んだ。その直後に何かを引きずるような音が聞こえてきたんだ。
もう遅かった。 明らかに先ほどの『人体全書』の落ちた箇所からその音は聞こえてきていたのだ。 僕はもはや眠気なんぞ吹き飛んでしまった。 身を起こさねば、 と決心したが、 どうにも体が動かなかった。恐ろしいことに、 人生で初めて金縛りにあったのだ。
これほど恐ろしいことがあるだろうか! 床から不気味な音が聞こえてくるのに、 身じろぎ一つできない! まるで、己が調理されるのをただ茫然と眺めることしかできない俎板の上の鯉の様ではないか!
僕は薄目を開けて暗い床を見つめた。 暗闇に段々目が慣れてくると、 その床を這いずっているものの正体がわかったのだ。
『人体全書』のページ部分を下にしながら、 背表紙の部分から、 一本の右手(仔細に観察したから、確かに右手だと断言できる)が生えて、 細いアイスピックのような刃を手に、 肘の部分で床を張ってこちらへ近づいて来るではないか!
窓の外から、 外の街灯が部屋の中を薄らと照らしていた。 そのわずかな光が、 赤黒く錆びた刃を鈍く光らせてより一層不気味さを引き出していた。 もしもこの怪現象が自分の身に降りかかっていなかったとしたら「聊か狙いすぎた作用ではないかね」と小莫迦にしていただろう。
『人体全書』が少しずつ近づいて来る。 ついにベッドの下部分に到着し、 マットレスの部分に手を掛けなんとしていた。 僕はその慄然たる光景を前に、悲鳴すら上げられず、 ただ目を見開きながらその進行に見入っていた。
その時だった。 奴の刃がマットレスを貫いて、 肘の部分がベッドの真横の移動椅子にのしかかって上がってくる拍子に、 移動椅子に積んでいた書籍の山が、 奴の上に崩れ落ちたのだ。
『人体全書』はその腕ごと床に転がり落ち、 かつ所蔵している本の中でも特に重たい悪魔学の書籍に押しつぶされて身動きが取れなくなってしまったのだ。
それと同時に金縛りの解けた僕は、 急いでベッドから跳ね起きると、 枕元に立てかけておいた木の棒で『人体全書』から生えている腕を叩きのめしたのだ。
……気が付くと、 床の上には悪魔学の書籍が散乱し、その下に『人体百科』がページを下にしたまま転がっていた。
僕は急いで『人体全書』を戸棚に放り込み、 小扉を閉めた後鍵を掛けた。
もはや興奮して眠るどころでも、 書籍を片付けるどころでもなくなってしまった。 僕はベッドに倒れこみ布団をかぶって、 『人体全書』を閉じ込めた本棚の箇所を、 一晩中見張り続けていたんだ……
◇
「これが事の顛末だ」
そう澁澤氏はつぶやくと、 再びコップに日本酒をついでゆっくりと啜り始めた。
「なるほど、 どうやら、 この書物はろくでもない呪いがかかっているようだな」
三島氏はそう云うと、 『人体全書』を澁澤氏の方向に押し返した。
「まあ、 こいつが夜に這い回ることは二度とないがね。 しかし、 どうにも無造作に本棚に突っ込むような気分にはなれんから、 未だにこんな鍵付きの箇所に保管しているのさ」
「じょ、 除霊でもしたんですか?」
おずおずと森女史が云った。
「除霊なんぞする必要はない。 僕はこの『人体全書』の秘密を理解した、 とさっき言ったろう」
「では、 その秘密とはなんなんだ」
三島氏はそういうと、 中身の大半を飲み終えた澁澤氏のコップに日本酒を継ぎ足した。
「これさ」
澁澤氏は、 今は空っぽになっている『人体全書』の入っていた棚の奥に手を突っ込み、 先ほどとは別の鍵を差し込んだ。
カチリ、 と鍵の開く音がした。 澁澤氏が奥から何かを取り出した。 その手の中には赤黒く錆びついた小さなアイスピックのような小さな刃の付いたナイフと、 本のカバーが握られていた。
「それは?」
「『人体全書』のカバー部分さ。 書籍本体とこのカバーは、 最初はぴっちりとくっついていたんだが、 先ほどの事件の後調べてみると、 何か糊のようなもので後付けされていたんだ」
澁澤氏はそういうとカバーを机の上に置いた。
三島氏がカバーを手に取り、 その内側を目にすると、ギョッとした表情を浮かべ、 カバーを床の上に叩き捨てた。
「……なるほど、 そういうことだったのか」
「ど、 どういうことなんですか?」
三島氏のつぶやきに森女史が疑問を呈した。
「これを見てみろ」
三島氏がカバーを端の部分をつまんで、 内側の部分を森女史に見せた。 森女史は見せられたものを目にし、 息を飲んだ。
「これって……血、 ですか?」
カバーの内側には、赤黒い血がべったりと付着してい、背表紙の部分だけ、何か細いものを引きはがしたようにやや血がはがれていた。
「そう。 誰の血か、 まではわからんが、 その血で書籍本体とカバーをまるで糊付けするようにぴっちりとくっつけていたのだ。 しかも、 ご丁寧に背表紙の内側にこんなナイフまで塗りこめてね」
澁澤氏はそういうと、カバーとナイフを手に取り、再び棚の奥に仕舞い込み、 ゆっくりと扉を閉めると扉に鍵を掛けた。
「しかし、 『生物の精神は、 ありとあらゆるものに宿る』か! 右腕だけでもこんなものの中に塗りこめて生きているとは、 大した奴だ。 全くもって、昭和の怪人の名に相応しい奴だ……しかし、 そうなると少し気になることがある」
「なんだ? もうお前は『人体百科』の秘密は解き明かしたのだろうが」
「『人体全書』についてはな。 しかし、R・Kについては未だにわかっていない部分がある……右腕をここに隠したのなら、 残りの部分はどこに隠したのだろうなあ……ヒッヒッヒ」
澁澤氏はそうつぶやき、 息を吸うようにして発する引き笑いを発すると、 日本酒を啜った。
「もしかしたらだが ―― 体の残った部分を奴は回収して、 未だにどこかで生き続けて【悪魔様】とやらに生贄を捧げているのかもしれん。 この現代社会でも行方不明になった奴や、 未だに犯人のわからない殺人事件は、 ごまんとあるのだからな。 狂信的な【S教団】の信者は今でも存在していると聞くし、 名前を変えて信奉者を集めている可能性も、 十分にある」
「じゃあ、 もしかしたらその人は……」
「そうだ、 森君。 いつかこの場所に、 奴は現れるかもしれないな。 この『人体全書』と右腕を取り返しに……そして、 『人体全書』とR・Kの秘密を解き明かした、 我々の命を消し去るために、 ね……」
そういうと、酒で微かに顔を赤くした澁澤氏は、再び小さな引き笑いをした。
そのいつまでも終わらない笑い声を、 三島氏は、 つまらなそうな様子を隠さない顔をしながら聞き、 森女史は、 青ざめた顔をしながら聞いているのだった。
(了)
◇選評:佳作
◇編集委員Aからの選評
短編の怪奇小説である。荒唐無稽なストーリーながらもリアリティをもたせながら読ませることに成功しているのは、作者に構成力と発想力が兼ね備わっている証左であろう。
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