82話 夕月と学祭デート




 文化祭2日目がスタートした。


 学祭は二日に分けて行われる。 

 うちのコスプレ喫茶のシフトは、1日目と2日目とで別れている。


 ようするに1日目働いた人は、2日目遊べる。そのまた逆もしかりってことだ。


 初日働いた俺は今日、フリーとなる。

 だが心配だった。


「本当に大丈夫なのか、おまえ……」


 コスプレ喫茶のなか、俺は元カノの梓川あずさがわに言う。


「ええ、問題ありません。現場監督はお任せください」


 クラス委員であり現場責任者の俺は、この場を離れて良い物か迷っていたのだ。


 本当なら2日目はフリーだけど、でも、2日目の責任者がみしろなのはやっぱり……。


「不安だ……」

「大丈夫です。昨日いっぱい、ご主人様に可愛がって貰ったので……♡」


 性欲大爆発させたからか、みしろは人間の言葉をしゃべれるようになっていた。


 まあしばらくは大丈夫だろうけど……。


「がんばったら、ご褒美いただけると……♡」


「ご、ご褒美って……」


「それはもう♡」


 ……言わずともセックスのことだろう。

 本当にセックス中毒者だな……。


「他にないの? ご褒美って」


「ないですね」


 きっぱり。


「ご主人様のお×××で、生娘だったわたしを×××漬けにされてしまったので……♡」


「自分で生娘言うなよ」


 ……まあ、ご褒美でやればちゃんとやってくれそうなので、任せるとしよう。


「我慢できなくなったらすぐ連絡しろよ」


「はい♡」


 俺は教室を出ると、夕月ゆづきが待っていた。


「お待たせ」

「ん♡ どうだった、あの雌豚は」


「いや雌豚って。あんたの姉ちゃんだろうが」

「記憶の中の綺麗な姉さんはもう死にました。あそこにいるのはただの雌豚セクモンです」


 ひっでえ言われようだなおい……。


「それより……どう? 今日のわたしは?」


 冬服姿の夕月ゆづきが俺の前でくるんと回ってみせる。


 袖の長いセーターに、赤いスカート。


 今日は黒のタイツをはいており、すらりと伸びた健康的な足が、いつもより美しく見える。


 タイツって新鮮だよな。いつも生足だからこそ目立つというか。エロいというか。


「ふふ……♡ ありがとう」

「いや俺何も言ってないけど……」


「ここを見れば一発だよ♡」


 ぺろん、と夕月ゆづきが俺の股間を手で触れる。


 ちょっ!


「ふふ……♡ タイツで足××とか、考えてたんでしょぉ♡」


「いやさすがに……♡」


「それはあとでのお楽しみ♡」


 さぁっ、といって夕月ゆづきが俺に手を伸ばしてくる。


 俺はその手を取って歩き出す。

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