83話 夕月と学祭デート2



 文化祭2日目。俺は義妹の夕月ゆづきと一緒に、学校内で学際デートに興じることになった。


 俺の隣を歩くのは、冬服姿の夕月。

 クリーム色のベストに赤い色のスカート。

 そこから伸びるのはタイツに包まれたすらっとしたおみ足。


 自然な感じのメイクをしつつ、髪色を校則に違反しない程度に茶色く染めて、ふわっとカールさせている。


 胸は大きく、歩いているだけで揺れるほどだ。


「うわ、すっげー」「めっちゃ美人じゃん」「かおっちさ、胸でけえ」

 

 道行く男たちが皆振り返る。

 それはもう、驚くほど、全員が全員振り返るのだ。


「アルピコって女子のレベル高いな!」「ああ。さっきのボクっ娘だったり、銀髪の小さな女の子だったり」「あの子はそんななでも群を抜いて美人だぜ!」


 男女問わず、老若男女とわず、夕月は視線を集めていた。

 本当にモデルみたいな見た目とスタイルしてるからなぁ。


「亮太君どうしたの? わたしのこと、じーっと見つめちゃって♡」


 夕月と目が合うと、くすくすと笑う。

 その姿も品があるんだよな。周りの男どもが一瞬で顔を真っ赤にするくらい。


「あ、いや……おまえ、きれいだなって」

「あはは♡ もぉ♡ 亮太君ってばお世辞上手だなぁ」


「いやお世辞じゃなくて、マジできれいだよ」

「いやいや、わたしなんてまだまだ。四葉ちゃんや先生と比べたらね。……まああの汚物もいちおう見た目だけはきれいだけど」


 怖い、怖いよ目が……。


「ね、亮太君。私きれい?」


 前かがみになって夕月が尋ねてくる。

 ぷるん、と重力にしたがって彼女の大きな胸がゆれる。


 少し空いたボタンの隙間から、彼女の胸の谷間がのぞき、目がそちらにいってしまう……。


「ふふ♡」

「あ、いや、すまん……」


 夕月が俺と目を合わせると、うれしそうに笑う。


「いいよ♡ 亮太君なら、嘗め回すように私の体、あますところなく見ていいよ♡ てゆーか、見てほしいなぁ~♡」


 なんで笑顔でそんなことを……?


「……ちっ!」「……くたばれ」「……モブ男が」


 周りにいた男たちから怨嗟の声が聞こえてくる!

 そ、そうだよな。夕月はこんなにかわいいのに、そばにいるのがこんな特徴のないモブだったら……そりゃ嫉妬されるよ。


「…………」


 しかし夕月の目が一瞬で、険しいものへと変貌する。


「……亮太君の価値も分からない、無知蒙昧の駄馬が」


「ゆ、夕月さん闇が、闇が漏れてます」


 一瞬で夕月が表情を切り替えて、俺に笑顔を向けてくる。


「さ、亮太君♡ 校内を練り歩こう♡」


 彼女は俺の腕をつかんで体を預けてくる。

 べったりとくっついて、笑顔を向ける夕月。


 男たちのことなどまったく気にしてない様子で、俺にべたべたしてくる。


 ……男どもからの恨みつらみの声と怨念が伝わってくるが……。


 ともあれ、俺たちはデート開始するのだった。


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