81話 四葉と一緒に登校



 文化祭二日目の朝。

 今日も早くに学校へ行こうとしたそのときだ。


 ぴろん♪


「ん? ラインに通知……?」


『くーる、きっとくるー』


 四葉から謎のラインが来ていた。


『なんだよ?』

『これから学校いくかんじ?』


『ああ』


 人気ラノベ・僕心ぼくここのマルコイのラインスタンプが送られてきた。

 

『何でマルコイ?』

『好評連載中だから』


 なんのこっちゃ……?



 僕心ぼくここはデジマスと並んで、日本でかなり有名なラノベだ。


 二作品もヒットさせるんだから、作者のカミマツ先生は凄いと思う。


『いーからさっさと出てこいや』


「なんなんだ……?」


 着替えて外に出ると、門柱によりかかるようにして、四葉が待っていた。


「おっぱよーん」

「おっぱ……なにそれ?」


「え、コロコロで読んだことないの?」

「コロコロ?」


「まさか貴様ボンボン派だとは」

「わけわからん。てかおまえこんな朝っぱらからどうしたよ?」


 四葉が照れくさそうに頬を指でかく。


「りょーちんと、一緒に登校したくって」

「お、おう……」


 急に乙女モードになるなこいつ……。


「ほらいこいこ」

「ああ」


「いくいくぅー」

「なぜ言い直した……」


 俺たちは並んで歩いている。

 四葉はバスケ部のエナメルバッグと、あとバッシュケースを持っていた。


「大荷物だな」

「まねー。今日復帰戦だから」


「復帰戦?」

「おいおいりょーちん、今日のメインイベントお忘れかい? バスケ部は卒業生呼んでの、OGOB戦だぜ?」


 そうだった。

 毎年うちのバスケ部は、卒業生を呼んで、簡単な試合を行うのだ。


「あ、そっか。りょーちんレギュラーじゃないから知らないのか」


「すみませんね戦力外で」


「だいじょうぶ! ベッドの上では最強エースだから!」


 なんか微妙にうれしくない……。


「というか……そうか……おまえ……もう足治って復帰するんだな」


 四葉は二学期になってから、足を捻挫していた。


 その間もリハビリを続けていたらしく、少しずつバスケができる体になっていてらしい。

「ん。足はぱーぺきじゃ。これで……部活に復帰よ」


 なんだかさみしそうに四葉が言う。


「一緒の時間……少なくなっちゃうね」


 今まで四葉は足を怪我していたから、バスケ活動より俺とのセックスに時間を割けていた。


 でも彼女はレギュラーで、全国を狙うアルピコ女バスの主戦力だ。


 今まで見たいにやりまくりサボりまくりはできないだろう。


 さみしそうなのは、それがいやなんだろうな。


 ……俺はどうだろう。

 やっぱり……四葉と疎遠になるのは、いやだった。


「そんなさみしそうな顔すんなよ」

「りょーちん?」


 四葉が立ち止まって俺を見上げる。


「足けがしてないときでも、俺ら結構一緒に居ただろ。それに……おまえと俺は幼なじみだ。そこはこれからもずっと変わらんよ」


 四葉が目を丸くして、小さく微笑む。


「そか」

「おう」


「っかー、りょーちんも女の子にフォローできるようになったかー。成長したのはちんちんだけじゃないみたいだね」


 えへへと四葉がうれしそうに笑う。


「ちんちん以外成長してないと思うけどね俺は」


「うん、お世辞だから。真に受けないように」


「お世辞かよ!」

「もー、ちんこばっかり成長しちゃってー、下半身に栄養全部吸い取られてるんじゃないの?」


「男キャラでその表現使われてるのはじめてきいたぞ!?」


 普通巨乳キャラにとかじゃないの!?


「ま、りょーちんがアタシのこと、ちゃんと女として求めてくれてるのわかったから、うん、ま、うん……まあ……その……あれだ……」


 四葉が顔を赤くして、しどろもどろになる。

「あ、アレ? あ、あはは……なんだろ……顔、赤くて……なんか……にやけちゃうな……」


 自分の顔を両手で隠してしゃがみ込んでしまう。


「うー……こんなの四葉さんじゃないやい」

「いや、割と昔から照れ屋だぞおまえ」


「う、うっせー! おりゃ!」


 四葉が俺に抱きついてくる。


「はい学園までおぶっていくことー」

「えー、重いんだけど……いたたた」


「チンコもぐぞうー?」

「わかったから離せって!」


 フラつきながら俺は学校へと向かう。


「あんさー」


 四葉が何気ない調子で俺に話しかけてくる。

「あたし、宇宙一……りょーちんの事すきだわ」


 ぎゅっ、と四葉が俺のことを抱きしめてくる。


 好き、か。昨日の放課後もこいつはそう言っていたな。


「りょーちんがどう思ってるかしらんけど、アタシはちょーすき。ずっと好き。マジで好きだから……。だから、まあ……ゆづちゃんとのデート、ほどほどにね。駄目とは言わんけど」

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