61話 四葉さんのやきもち【先行版】



 文化祭がいよいよ近づいてきたある日。


 準備期間に入ってるため授業は無し。


 朝来てクラスメイト達に作業の指示をしていたそのときだ。


「おいっすー! りょーちん」


 ショートカットの美少女、贄川にえかわ四葉が登校してきた。


「最近ちょっと出番がなくて不満だった四葉さんだぞ」


「出番ってなんだよ」


「まさかあたしの居ない間に書籍化が決まるなんてな。よくぞゴーサインが出たもんだ」


「書籍化ってなんだよ」


 まあまあ、と四葉が流す。


「ところでさ、さっき乗鞍のりくら先輩と会って、りょーちん連れてこいって言われたよ」


 乗鞍先輩とはバスケ部3年生の先輩で、男バス女バスの総合キャプテンだ。


「なんだろう?」

「部活サボってやりまくってるから怒られるんじゃね?」


「う……あり得そう……」

「いこうぜりょーちん。さぁさぁ」


 ぐいぐい、と四葉に手を引かれて俺は教室を出る。


「というか乗鞍先輩に呼び出されのは俺なので、別に四葉がついてくる必要ないんじゃ……」


「まあまあまあ」


 俺たちが向かったのは部活棟……じゃなかった。


 5階の多目的トイレだった。


「おいここって……」

「まあまあまあまあ」


 四葉に背中を押されて俺はトイレの中に入る。


 結構久しぶりに使う5階の多目的トイレに、俺は嫌な予感しか覚えなかった。


 がちゃん。


「ぐへへ~これでもう逃げられないね~おじょうちゃーん」


 ぺろり、と舌なめずりしながら、四葉が俺に近づいてくる。


 やっぱりか! こいつやる気だ!


「ま、待ってくれ四葉。落ち着け。話し合おう」


「口ではイヤイヤいいつつも、君もここに来た時点で期待してたんだろうぉ~?」


「いやほんと待てって……今日は文化祭の準備進めないと……」


「うるせええ! いいからさっさと着てるもん脱いで股開けやぁ!」


「きゃーーーーーーーーー!」


    ★


「あー……余はまんぞくじゃー」


 便器にぐったりと寄りかかって、四葉が満足そうな顔で言う。


「俺最近セックスしかしてない……」


 下半身丸出しの俺たち。

 俺は四葉に後ろから抱きついてる状態。


「久しぶりのりょーちんとのえっとちょーきもちよかった~」


「久しぶりって……昨日もやっただろうが」


「数日くらい出番なかったじゃん。久しぶりじゃん」


 だから出番ってなんだよ……。


「まったく……そろそろいくぞ」


 俺が四葉を離そうとすると……。


「だめー」


 四葉が俺の手をつかんでロックする。


「もうちょっと、こうして後ろから抱きついてて」


「いや、はいってるんですが……」


「栓しとかないとこぼれちゃうので♡」


「いや妊娠したらどうするんだよ」


「今更散々おなごに出しておいてなーに常識人ぶっとるんじゃい」


 ぐうの音もねえ……。


 四葉の要求通り、俺は彼女を後ろから抱く。

 スポーツごりごりにやってるわりに四葉は筋肉があまりついてない。


 腰回りは人形みたいに細い。

 下腹部はぷにっとしてる。


「あたしの体きもちいい?」


「ああ、まあ……」


「5人のセクモンのなかで誰が一番抱いてて気持ちいい?」


「そりゃ……ちょっと待て、5人ってどういうことだ?」


 夕月。みしろ。先生。四葉。で四人のはずだろうが。


「あいりちゃんとついにやったって聞いたけど?」


「やってねえよ!」


 またその話かよ!


「誰から聞いたんだよ!」

「グループラインで……あ」


「あってなんだあって!」


 四葉が気まずそうに目をそらす。


「ご、ごめん……グループライン入ってなかったね……」


「やめて気まずそうにしないで!」


「よかった……りょーちんも、は、はいる? あたしは良いと思うけど、うん」


「いいよ! 別に! 気を遣わなくて!」


 しかし女子たちのグループラインなんてあるのか……。


「そこでりょーちんが小学生を抱いて『全く小学生は最高だぜ』って言ったって」


「ねつ造なんだが……」


「前半部分? 後半?」


「全部だよ全部!」


 あはは、と四葉が笑う。


「だよねー」

「……おまえ、わかってたのか。やってないって」


「ったりめーよ。どんだけ付き合い長いと思ってるの? こちとらあんたの幼馴染みなんだぜ?」


 そういえばそうだった。


「りょーちんとは長い付き合いなんだからさ、わかるよ。幼馴染みが嘘言ってるかどうかなんてさ」


 けたけたと四葉が笑う。


「じゃあなんで、嘘までついて俺呼び出したんだよ。小学生とやったかどうかを問い詰めに着たんじゃないんだとしたらさ」


 四葉がぽりぽり……と頬をかく。

 顔を赤くして、照れたように言う。


「……まあ、その、あれだ。りょーちんの女が新しく増えるかもって思ったら、さ。その……もやもやってしたわけよ」


「もやもやって……?」


「だから……その……まあ、その……1人増えたら、あたしにかまってくれる時間、その分減っちゃうじゃん? だから……それはやだなぁ……って」


 ……ようするに、嫉妬してくれていたってことか。


「うー! 今の無し! おいのび太! セックスしようぜ!」


「誰がのび太だ。四葉ジャイアン」


「うるせえ! おまえはおれのもの! おれはおまえのものじゃい!」


 なんか色々間違ってるような……


 しかし嫉妬か。四葉も可愛いところあるんだな。


―――――――――――――

【★あとがき】


昨日はたくさんのおめでとうコメント、ありがとうございました。


めちゃくちゃ嬉しかったです。やっぱり感想もらえるとモチベーションがあがります。


打診が来たのは、ここでツッコミや感想書いてくださってる皆様のおかげです。

皆様からのリアクションがなかったら、たぶん途中で書くのやめてたと思います。



改めて、皆様のおかげで書籍化しました。応援本当にありがとうございました。


引き続きヤンデレ義妹をよろしくお願いします。

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