54話 義妹メイド【先行版】



 文化祭の準備を終え自宅に帰ってきた。


「お帰りなさいませ、ご主人様♡」

「……は?」


 一瞬、フリーズする。目の前にいるのは、ギャル(メイドさん)バージョンだ。


 ふわっとした髪の頭頂部に、ヘッドドレス。

 ミニスカタイプのメイド服姿。


 スカートから伸びるのは、少しむちっとした、白く柔らかそうな太もも。

 胸元は大きく開いており、彼女の大きな乳房がのぞいている。


 ニコニコと笑いながらたたずんでいるのは、俺の義妹、夕月ゆづきだ。


「今日もお仕事お疲れ様でした♡」

「お、おう……」


 現在時刻は20時。

 クラス委員としての仕事、そして【もう一つの仕事】をこなして戻ってきた。


 しかし何だ、どうして夕月はこんな格好を?


「あー! ぱぱー! おかえりなさい!」

「あいりちゃん……」


 義妹2号こと、あいりちゃんが笑顔で近づいてくる。

 ぴょん、とジャンプしてきたので、正面からハグする。


「きょーは帰りがはやいね! おしごとおはやくおわったのー?」

「ま、まあね……」


「わぁやったー! ぱぱとゲームするー!」


 あいりちゃんが、いつも帰りが遅いパパが、今日は珍しく早く帰ってきて、喜ぶ娘ムーブしてる……。


 も、申し訳ない……。

 文化祭の仕事は、もうちょっと早く終わってるんだよ。


 でもセクモンと、セフレと、性奴隷の相手があって遅れたんだよ……。

 なんて、言えない。


 ややあって。


 リビングには俺とあいりちゃん、そして夕月がいる。

 夕飯を食った後、あいりちゃんとゲームしている。


「そのかっこ、文化祭のだろ?」

「そう。似合う?」

「ああ、すっごく」

「ふふ、やったぁ♡」


 くるん、と夕月がその場でくるっと回る。

 ケツが見えるくらいのミニスカートなので、当然、彼女の白い下着と尻が見えた。


「おまえそれで接客するなよ」


 ほかの男に見られるのは嫌だ。


「♡」


 夕月の顔が一瞬で、義妹から、女に代わる。


「あいりちゃん♡ そろそろおねむのお時間だよね?」


 あいりちゃんのそばに座って、夕月が微笑みかける。

 普段のいい女の顔じゃない。


 その瞳の奥には、隠しきれない欲望の炎が燃え滾っていた。


 なんだ、急にスイッチがはいったぞこいつ?


「えー、あいりまだパパとゲームしたい!」


 口を3にして、あいりちゃんが駄々をこねる。


「パパは次は、ママと【ゲーム】するんだ」


 ゲームってなんだよ、ゲームって……。


「そっかー! いいよ。あいり、こーたいする。あそんでもらったから!」


 この子、純粋に俺と夕月がテレビゲームすると思っているらしい。

 なんだこれ申し訳ないな……。


「あいり、ねます!」

「いい子ねあいりちゃん♡ じゃお布団いこうねー♡」

「うん! ぱぱー、おやすみー!」


 部屋を出ていくあいりちゃんに手を振りながら、夕月の表情を伺う。

 なぜか知らんが、完全に発情していた。

 露出している白い肌が真っ赤に染まっている。


 こ、これは……やるきだ。

 今のうちに逃げておこう。

 もちろん夕月が嫌いなわけじゃない。


 普通に好きだし、えっちもしたい。

 が、今は文化祭の準備中だ。


 遅くまで準備でへとへとで、明日も重労働が待っている。

 今、夕月はやる気に満ち溢れている。


 夕月は否定するだろうけど、セクモンことみしろと、あいつは同じ血を引いている。

 結構同じくらい、あいつは性欲が大きい(みしろほどイカレてないけど)。


 飢えた獣にむさぼられた状態で、明日の準備をしたら、体力が持たない……。


 こっそりと部屋を抜け出して部屋の鍵を閉める。

 すまん、夕月。


 ベッドにもぐりこもうとしたその時だ。


 がちゃん!


「ご主人様ぁ~……♡」


 とろんとした瞳をした、義妹メイド夕月が部屋に入ってくる。


「おま、どうして……?」

「あは♡ 部屋の鍵は、10円ですぐに空くんだよ? もう忘れたの?」

「しまった! そうだった! 久しぶり過ぎて!」


 そういえば初期のころは、あいつこうやって鍵を空けて、勝手に入ってきていたっけ。


 途中から鍵をかけなくなったから……すっかり忘れてた。


「ご主人様♡ どうしてお逃げになられるんですかぁ~♡」


 夕月はベッドに四つん這いになって、まるで獣のように、ゆっくりと俺を追い詰めてくる。


「ゆ、夕月さん。俺、今日疲れてるんですが」

「問題ないですよぉ♡ 疲れてても大丈夫な感じに、しますから♡」


「何するんだよ!?」

「ご奉仕ですよ♡ ご・ほー・し♡」


 メイド服夕月が、ふふっと笑いながら俺に覆いかぶさる。

 スカートから伸びる、二―ハイソックスのざらついた感触。


 仕えるメイドに襲われている、という背徳感。


「あは♡ ほらぁ♡ ご主人様ってば、疲れてるっていう割に元気じゃないですか♡ そんなにわたしにご奉仕してもらいたいんですか?」


 夕月はやる気満々の様子だ。

 荒い呼吸を繰り返し、ぺろりと舌なめずりをする。

 ああ結局こうなるんだよなぁ。


 と、俺が考えていると、ふいに、夕月が寂しそうな瞳になる。


「……みしろはしたくせに」


 確かに俺は昼休みと、そして放課後、みしろの相手をした。

 それが夕月的には嫌だったのだろう、姉の方を優先されたと。


「おまえのエッチなご奉仕の方が、元カノとのセクモンバトルよりずっと好きだよ」


 元カノとのあれは、バトルだよ完全に。

 荒れ狂うモンスターを力でねじ伏せる感じ。


 一方夕月とは、コミュニケーションの一種だ。

 互いの心と体の交流。それが夕月とのセックスだ。


「じゃ、ご奉仕してもらうかな、エロ義妹メイドに」

「うん♡ うん♡ たぁっぷり、ごほーしさせてもらいますね、ご主人様ぁ♡」

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