52話 なんだかんだ優秀ではある、優秀では【先行版】


 文化祭の準備が進んでいく。

 少し遅れていた作業だったが……。


「梓川さん、衣装直したいんだけど、どうすればいい?」

「被覆部へ行ってください。話は通してあります」


 教室では、みしろが中心となってクラスメイト達を回している。


「レシート忘れちゃったんだけどぉ」

「買ったものをリストにして提出してください。あとでレシートをもらってきます」


「マッキーなくなったんだけど新しいのってどこに?」

「これ使ってください」


 事務処理能力が高いみしろは、クラスメイト達からの雑用を、そつなくこなしている。


 最近様子のおかしかったみしろ。

 クラスメイト達は避けていたものの、やはり頼りになるということで、少しずつ彼らと接せられるようになった。


「…………」


 その様子を、じっと見つめているのが、義妹の夕月だ。


「気になるのか?」

「ま、多少は。でもどうでもいいよ、あんな汚物」


 汚物って……。


「仲良くする気はないのな」

「ないよ。当たり前じゃん」


 先生を交えて、みんなとやるようになった。

 四葉、先生、夕月は、比較的、仲良いように見える。


 だがみしろと夕月……というか、みしろがほかの連中と上手くやろうとしない。

 まあ、目的が俺とのセックスだからってのもあるだろうけど。


「梓川さん! 大丈夫!?」


 うずくまって、みしろが震えていた。


「行ってくる」

「…………」


 夕月が頬を膨らませて、きゅっ、と俺の腕をつかむ。


「いってほしくないよ」

「まあ……だがあのままほっといたら、教室がやべえことになるから」


 すでに顔が赤くて、はあはあ言い出してるからな、あいつ。


「俺があいつを好きになることはないから」

「……うん、わかったよ」


 とはいうものの、一切納得してるようには見えない顔で、夕月が俺を見てくる。


 俺は彼女の頭をなでた後、みしろのもとへ。


「梓川は体調が悪いようだから、俺が保健室連れてく」


 俺はみしろを立ち上がらせる。

 保健室へと連れてこうとすると……。


「…………」


 ふと、俺はクラスメイトと目が合った。


 背が高く、イケメンで、良く知ってる相手だ。

 バスケ部で一緒の……たしか、戸隠とがくしだったか。


「なんだ、戸隠とがくし?」

「…………」


 彼は何も言ってこなかった。

 ふいっ、と目線をそらすと、自分の作業に戻る。

 なんなんだ……?


「はぁ、はぁ……ごしゅじんさま……×××ぉ~……」


 やばい、もうすっかり発情しきってやがる。

 俺はみしろの腕を引っ張って、廊下に連れ出す。


 保健室へと連れていく。


「先生。すみません。ベッド貸してください」

「あ、う、うん。どうぞ……」


 俺は諏訪先生に入り口のカギを閉めてもらい、ベッドへ。

 到着するなり、みしろは俺に襲い掛かってきた。


 事後。


「えへへ~……♡ ごしゅじんさまぁ~……♡」


 ヘロヘロの状態で、みしろが【掃除】をしながら、俺を見上げて笑う。


「みしろ……どうしたぁ? がんばってますかぁ~?」


 四つん這いの状態で、丁寧に【掃除】するみしろ。


「ああ。まあだが毎回発情するのはやめろ。少しは我慢しろ」

「それはむれすぅ~……♡」


 掃除を終えたみしろが、口元をぬぐって笑う。


「これでもいっぱいいっぱいです……本当は24時間繋がってたいくらいなのにぃ……♡」


 俺はため息をついて、立ち上がる。


「あ、もっと……」

「体力が戻るまでそこで寝てろ。俺は準備があるから」

「はひぃ~……♡」


 俺は諏訪先生に挨拶をした後、保健室を出る。


 やれやれ、セクモンの相手は疲れる……。


「ちょっと、いいかな?」


 保健室を出てすぐ、俺に声をかけてくるやつがいた。

 同じバスケ部の、戸隠だった。


「なんだ? 戸隠とがくし

「ちょっと君に、話があるんだけど」

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