51話 文化祭の準備【先行版】



 10月も終盤にさしかかってきた。


 にかわに、学校内が活気だってきた。

 俺たちの通うアルピコ学園の、文化祭が近づいてきたからだ。


「いいんちょー。買い出ししてきたよー」


 クラスメイトの女子が買いものから戻ってくる。


「サンキュー。それをあっちの作業してるやつらに持ってって。あとレシートくれ」


「あいあーい」


 教室の中ではベニヤ板に色を塗ったり、衣装合わせしたりと、みなが頑張って準備をしていた。


「へいりょーちん」


 声をかけられ、振り返ると、そこには婦人警官姿の四葉が居た。


「どうどう?」

「ああ、まあ似合ってるな」


 活発な四葉に、婦人警官の姿はとても似合っている。


「やっすいコスプレパブみあっていいよね♡」


「おまえほんとJKなん?」


 女子達が各々、コスチュームに身を包んでいる。


 俺たちのクラスではコスプレ喫茶をやることになっているのだ。


 正直、よくこれで企画が通ったなって思う……。


「いいんちょー。こっちの看板、こんな感じで良いかみてー?」


 また声をかけられる。やれやれ……疲れる……。


「りょーちんたいへんそーじゃん?」

「ああ……」


「もう一人の委員長……あ、セックスモンスターは?」

「やり部屋2」


「っかー。あいつほーんとキャラチェンしたよね。委員長がひとりでがんばてるっつーのに」

「まったくだ……」


 優等生の天使から一転、みしろは授業はサボるし、委員長のくせに仕事には参加しないしで、問題児になっていた。


 みんな彼女の変化に戸惑いつつも、みしろのまとう危ういオーラに気圧され、誰も声をかけようとしない。


 結果、俺に全部仕事が回ってくる。


「仕事しないとえっちしないぞって言ってやったら?」


「そんな単純なことで言うこと聞くかね?」


「聞くっしょ。ほら、いこいこりょーちん」


 とりあえずさっきの生徒には、少し待ってもらうよう言って、俺はやり部屋2こと保健室へと向かう。


「いらっしゃい……って、あら? あなたたち……」


 諏訪先生が俺らを見て目を丸くする。


「文化祭の準備してるんじゃなかったの?」

「人手が足りなくて」

「封印されしエグゾディアをとりにきたのー」


 はぁ? と先生が首をかしげる。


「ヒント、セクモンげっとだぜ」

「ああ……梓川あずさがわさんね。というかセクモンって……」


 しゃっ、と四葉が保健室のカーテンをひっぱる。


「あれー? ゆりちゃん先生、セクモンは?」


「隣の部屋よ」


 保健室の隣には、資材を置いてある準備室がある。


 俺たちがはいると……。


「ん゛ぅーーーーー! んん゛ぅうーーーーーーーーーーーーー!」


 口に猿ぐつわ、手足と目を布で縛られ、逆エビの体勢の……。


 梓川あずさがわみしろがそこにいた。


「なんこれ? そーゆーぷれい?」


「ち、違うわよ! みしろさん……もう禁断症状でてるみたいで、外に出してるとその、刺激が強いから……」


「それで緊縛プレイとは……」


 俺が言うと、先生が首を振る。


「あ、あたしはもちろん駄目って言ったわ! でもこの子があんまりにも……その……お下品で……だから……」


「なるへそ……よし、出番だ。ゆけディカティンポモン」


「おまえが本気でJKか疑いたくなるよ……!」


「わはは! アタシの股間にはついてませーん!」


 四葉がそう言うと、その後ろで先生がなぜか、深々と溜息をついていた。


「とにかく、そこのセクモンもいないよりいたほうがマシなんだから。ちゃちゃっと手名付けて労働力ににしてちょ、外で待ってるから」


「そうだな……」


 四葉が先生を連れて部屋を出て行く。


 準備室には俺と、緊縛プレイ中のみしろがいる。


「ん゛う! ん゛ぅううううううううう!」


 びくんびくん、とみしろが体をけいれんさせる。


 とりあえず、口だけ自由にさせるか。


 俺は猿ぐつわを外す。


「ご主人様! ご主人様そこにいるんですよねぇ!」


 目隠しされているが、さっき俺と四葉がしゃべっていたから、俺がいたことがわかったのだろう。


「わかります! ご主人様の××××のかぐわしい匂いで! ああ……匂いだけで××んでしまいそう……!」


 ……こいつ。

 俺らの声が聞こえないレベルで、頭の中×××だらけになってるのか。


「×××! ご主人様! ×××を!」

「うるせえ、黙れ」


 ばちんっ!


「~~~~~~~~~~~~~!」


 彼女はケツをたたかれて、びくんびくんと体をけいれんさせる。


「とりあえず話を聞け」

「×××ぉ~……」


 ばちんっ!


「×××ぃいいいいいいいいいいいいい!」


 とりあえず何発かケツをたたいたあと、一発屋って、性欲を解消させる。


「はぁ……ハァ……こ、ここは……? わたしは一体……」


「また性欲に頭を支配されてたんだよ」


「そ、そうですか……ご迷惑をおかけしました。ご主人様……」


 ナチュラルにご主人様って言ってるな……。

「要件を手短に言う。文化祭が近い。が、進みが遅い。今はセクモンの手でも借りたい」


「せく……? 状況は理解しました」


「わかってくれたか」


「はい。わたしはご主人様の性欲のはけ口になればいいのですね?」


「全然分かってない!?」


 こいつ何を聞いてたの!?


「文化祭の準備が上手く進まずいらついてるご主人様のストレスと性欲を……みしろにぶつけてくださるんて……ああ……光栄です……」


「ちっげーよ! 仕事が進まねえから手伝えっつてんだろ!」


「? だから肉人形となることで、お手伝いを……」


「普通に手伝え! ばか!」


「ありがとうございますぅう!」


「なんで!?」


 くそ……! このセクモン……全然言うこと聞かねえ……。しかたない。


「おいセクモン」

「はいぃ! セックスモンスター、略してセクモンですぅう!」


「……俺を手伝え。でないと、おあずけだ」


「そ、そんなぁ……!」


 この世の終わりみたいな表情で、みしろが叫ぶ。


「ご主人様はみしろに死ねとおっしゃるのですか!?」


「そこまで言ってない」


「では、じらしプレイをすることでみしろに精神的肉体的に苦痛を与えるという新感覚プレイをすると?」


「そこまで言ってねえ!」


 俺はみしろのケツを蹴飛ばし、ぐりぐりと踏みつける。


「××! ××! ××ぅううううううううううううううううううう!」


 背筋をエビのようにそらして気持ちよさそうに叫ぶ。


「良いかよく聞け……その、め、雌豚」


「××ぉおおおおお! ×××ぅううううううううううううう!」


 こいつ雌豚って言われただけで……いや、もういいや。


「おい雌豚。働け」

「はい! はい! わかりました! 雌豚みしろ働きます!」


 しゅぱっ、とみしろが緊縛状態のママ立ち上がる。器用だなおまえ……。


「文化祭の準備をつつがなく進めろ。それまでお預けだ」


「夜もおあずけなのですか!?」


「当然だ。嫌ならさっさと進めろ。いいな?」


「×××……!」


 みしろが×××を×××しやがった……!

 そんなにこいつにとって、乱暴にされるのがいいのか!?


「りょーちん話済んだ~? って、なんじゃこりゃ」


 ドン引きしてる四葉。

 だよな……俺もだよ……。


「性奴隷にやらせようぜ。おーい、ドレイモン。みしろんが粗相したから、拭いといてー」


「だ、誰がドレイモンですかっ。先生をなんだと」


「悪い、先生。頼む」


「わかりました~♡ はい喜んで~♡」


 ……なんか俺、どんどん普通の青春から、遠ざかってる気がする……。


 

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