49話 おい、デュエルしろよ【先行版】



「おい、決闘えっちしろよ」


 やり部屋3こと、超高級マンションにて。

 

 あらかたの説明を受けた後、四葉がそんなことを言った。


「ストレートすぎんだろ……慎み持てよ」


「うるせえ! あたしら性欲溜まりまくってやばいんだよ! 飢えた獣なんだよ!」


 ら?

 ……よく見ると、先生も顔を赤くして、俺に熱烈な視線を向けている。


 夕月もふーふー、と荒い呼吸を繰り返して……。


「みしろは……?」


 俺たちの視線が、キャリーケースに集まる。

 がたっ! がたたたっ!


「セックスモンスターもやりたいってさ!」

「あのね、贄川にえかわさん……先生ね、こういうの良くないと思うの。人をキャリーケースにぶち込むなんて……」


 そう、四葉が持ってきたこの、巨大キャリーケースのなかには、俺の元カノ・梓川あずさがわ みしろが入っているのだ。


「しょーがないじゃん。首輪と鎖でつないでても騒ぐし暴れるし。ところ構わずりょーちんを襲うとするし」


「もう完全に扱いが動物ね……」


 がたん! ばたん! とキャリーケースがめちゃくちゃに動き回る。


「ということで、飢えた獣が4人。おいしそうなお肉が一人。おっけー?」


 ……状況は、理解できた。


 昨晩はあいりちゃんが来た関係で、こいつらとできてない。


 昼休みも、1時間しかないのだ。

 全員とできるわけもなく、回数だって、1回くらい。


「1回やっただろ……? それじゃ我慢……できませんかね?」


 がちゃん!


「よ、四葉……? なんで無言で俺の両手を、手錠で拘束したんですか?」


「亮太君、あいりちゃんは安心して。わたし先に帰って面倒見てるから」


 ニコッと笑う夕月。

 まずい……これは、逃げられない……!


「ゆづちゃん、はいこれスペアキー」

「ありがとう♡ じゃ、亮太君♡」


 ぽんっ、と夕月が俺の肩をたたく。


「遅くならないうちに、帰ってきてね♡」


 それだけ言うと、夕月は部屋を出て行って、カギを閉める。


「あ、あの……みんな、冷静になろう」

「おまえそれ、サバンナでも同じ事言えるの?」


 どういうこと!?

 いや、でも飢えた野生動物たちがいるフィールドって意味じゃ……サバンナか、ここ?


 ばごんっ!


「×××ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「うお! 野生のポケモンがモンスターボール破壊して、飛びかかってきた!」


 目を♡にして、よだれをたらしたみしろが、俺を押し倒してくる。


「ちょうだい! ×××ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「みしろんステイ! ここまだ全年齢版だから! 野生解放するのは完全版でだから!」


「×××ぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 体を発熱させ、理性を失ったモンスターに、俺は襲われる。


「よ、四葉……たすけ……」


「ぼろん。はむはむ」

「おまえもかぁーーーーーーーーーー!」


「ご、ご主人様……ごめんなさい……あたしにも……」


「あんたもかよぉーーーーーーーーー!」


    ★


 数時間後。


 キングサイズのベッドの上には、四葉、先生、みしろの3人がぐったり倒れていた。


「はぁー……りょーちん、すっごかった。最高だよ、あんたとのデュエル……」


 両手を投げ出して、笑顔の四葉。


「具体的に何がどうって書くとBANされっから、察してな」


「おまえは本当に何言ってるか分からん……」


「一本満足ってやつだ! いやぁもう、立てませんわ。今日は泊まってこー」


 四葉が仰向けに寝そべったまま言う。


「しっかしりょーちん、またパワーアップしてるね」


「そうか?」


 俺は着替えながら答える。


「そうだよ。だって飢えた狼3匹を相手に余裕の立ち回りだったじゃん。やっぱ経験値詰んでるからかな?」


「そうなんじゃないか? わからんけど」


 初めてのセックスから、まだ1ヶ月とチョットしかたってない。


「どーてーから1ヶ月でここまでってことは、あと数ヶ月したら立派な決闘者やりちんだな」


「おまえ本当に女子なの?」


「おうよ! アタシの股間に何も生えてないだろう? りょーちんの生ハム原木みたいなやつが!」


「そんな化け物みたいにでかくねえよ!」


 着替え終わった俺は、部屋から出て行こうとする。


「そんじゃな」


「おーう。あ、テーブルの上にカギ置いてあるから、それもってって」


「あいよ」


 四葉が手を持ち上げようとして、ぱたん……と力なく、ベッドの上に手を投げ出す。


「あはは……全く力、入らないや。やっぱうん、あんたすごいよ。上手すぎ」


 セックスが上手って言われても、素直に喜べないな。どうにも。


 俺は四葉に手を振って、外に出る。


 ほどなくして、俺は自宅へと到着する。


「おかえり、アナタ♡」


 俺を出迎えてくれたのは笑顔の夕月だった。

「早かったね。日付またぐかと思った、3人相手だし」


「まあ、なんとかなった」


 夕月が玄関先で、俺に抱きついてくる。

 そして熱烈なキスをする。


「あいりちゃんは、寝たよ? だから……ね?」


 夕月が俺を押し倒し、耳元でささやく。


「子供に隠れて……しよ?」

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