48話 やり部屋スーパーデラックス【先行版】



 四葉が謎のドラえもんに電話を掛けた、その日の放課後。


 諏訪すわ先生の車に乗って、俺たちは、都内某所へとやってきた。


「ここー! ここでいいよ」


 スマホ片手にナビしていた四葉がそういう。

 運転席には諏訪先生、助手席に四葉。

 その後ろに俺、夕月ゆづき


 この【5人】で、車に乗っている。

 ちなみにこれ四人乗りだ。


「あのー……贄川にえかわさん? なに、このものすっごいでっかい建物」


 路肩に車を止めた先生が、正面の建物を見て恐る恐る尋ねる。


「見てのとおり高層マンション。一階がショッピングモールになってるんですぜ」

「マンション……」「ショッピングモールって……」


 困惑する俺達。

 四葉の先導で車を地下駐車場に止める。


「はいはい、みんなー。あたしについてきてー」


 俺たちは車から降りると、階段を使って、エレベーターホールへ。


 どこぞの高級ホテルかと思われるほど、でかい、そして豪華な玄関口。


「はいはい、立ち止まらないでくださーい」


 四葉が大きなキャリーケースを転がしながら、普通にエレベーターに乗り込もうとする。


「お、おい……部外者がこんなとこ来ちゃダメだろ?」

「え、大丈夫大丈夫。ここじぃじのマンションだから」

「「「は?」」」


 なに? じぃじのマンション……?


 ちーん、とエレベーターの扉が開く。


「しんちゃん今日のお夕飯どうする?」「んー、ダリアは何がいい?」


 エレベーターからは男の子が出てきた。2人の女子高生を侍らせていた。


「あーしはカレーかなー」

「おっけー」


 若い男女3人組は、そのまま出ていこうとする。

 そこで、四葉と男の子が目が合う。


「おいっす」

「あれ? 四葉ちゃん、なんで?」


 男の子と四葉は知り合いのようだ。

 みたところ、このマンションに住んでそうだけど……。


 というか、彼が連れてる女子、レベル高いな。

 黒髪の清楚な美少女に、銀髪の背の高い美女だ。


「一身上の都合で、アタシもここ使うことになったんだ」

「へえ! そっか。じゃあ今度遊びに行ってもいい?」

「おー! こいこい、ほんじゃねー」


 四葉と知り合いらしき彼は、美少女二名を連れて去っていった。


「誰だ、あいつ? みたところ、アルピコの生徒みたいだけど」


 全員、俺たちの通っているアルピコ学園の学生服を着ていた。


「親戚」

「あ、あのぉ……贄川さん? ここ使うって……?」


 諏訪先生が恐る恐る尋ねると、四葉があっけらかんと答える。


「え、このマンション、今日からやり部屋に使うんだよ?」


    ★


「「「なんじゃこりゃ……!」」」


 エレベーターに乗って、上層階へと足を踏み入れる。

 そこにはとてつもない広さの、超豪華な部屋があった。


「やり部屋3……否、やり部屋スーパーデラックス!」


 四葉がリビングにおいてある、牛皮のソファに寝そべりながら言う。


「いや、え? ちょ!? え、どういうことなのぉ!?」


 先生が動揺しまくっている。

 そりゃそうだ、いきなりこんな超豪華なマンションに連れてこられて、しかもやり部屋だと言うんだから。


「まーまー、お茶でも飲んで一息つこうぜ。おい先生、お茶出しな」


 平然と先生をパシリにする四葉……。


 ややあって、5人分の湯のみがテーブルの上に置かれる。


「四葉、マジでなんなのここ?」

「うちのじいじ……親戚のちょー金持ちじいちゃんが持ってるマンション、の1つ」


 金持ちじいちゃん……。そういえばこいつの家もめっちゃでかかったしな。

 裕福な家庭なのかもしれんと思っていたが、ここまでとは。


「じぃじにやり部屋ほしいって言ったら、快くマンションの1部屋ぽーんとくれた」


「く、くれたって……え? 貸してもらったんじゃなく!?」


 先生が驚く一方で、四葉は実にあっさりという。


「そ。くれた。好きに使いなって。てゆーか、使いまくりなさいって、めっちゃ進められた。ちょーご機嫌に」


 か、変わり者のじいさんなんだな……。


「つことで、ここみんなで自由に使っていいからね♡ 仮眠とるもよし、やるもよし、セックスするもよし。完全防音だし、電話一本でごはんもくるし、掃除も頼めるんだぞ。すんげえな」


 自分で言ってて驚くなよ、四葉。


「ちなみに1階のショッピングモールにぬれずにいけるから。あとりょーちん」

「なんだよ?」


「じぃじがプレゼント送るってさ」

 

 ぴんぽーん。


「あ、来たみたい。ゆけ、ゆりちゅー。荷物受け取ってくるんだ!」

「あたし贄川さんのポケモンじゃないんだけど……」


 ぶつくさいいつつ、先生は喜んで玄関へ向かう。


 ややあって、大量の段ボールが、リビングに置かれる。


「なんだこれ?」

「じぃじからりょーちんに渡してだってさ」


 面識もないじいさんに、プレゼントもらうの若干怖いんだが……。


 手ごろな段ボールを空けて、中身を改めて、閉じた。


「いやなんでしまうんじゃい?」

「いやこれは……」

「見せてみ? ありゃあ……これは、エログッズだねぇ!」


 段ボールの中には、ものすごい数のエログッズが入っていた。

 さらに精力剤も尋常じゃない数入ってるし!


「こんだけ色々入ってるのに、ゴムが1つもないですぜりょーちん? これはじぃじからの催促ですな」


「さ、催促?」


「そう! やりまくれってこった!」

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