【第12話】逃避行
【第二章二幕三節】逃避行
フォルトゥナステーションを根拠地とした俺たちは、マーニとソールの二人が考えてくれた偽名、『キング・バーミリオン』を名乗り、改めて傭兵稼業を再開した。
ちなみに名前の由来を聞いたら、
「ジャックとくればクイーンとキング。キングのほうがカッコイイから」
「バーミリオンって、なんかカッコイイでしょー?」
と双子の(元)女神が答えてくれた。
個人的にはマーニたちと同じようにカッコイイと思っている。
中二病臭いのも、それはそれでよし、だ。
偽名を使って傭兵ギルドの依頼を順当にこなしていき、今ではジャック・ドレイクの時と同じようにDランクにまで上がった。
拠点を出て一ヶ月なのだから、なかなか順調なランクアップと言える。
そんな訳で今日も今日とて違法者狩りを行っていたのだが――。
「どうだミミ。標的は見つかったか?」
「ううー、ダメニャ……見つからないニャーッ!」
レーダー端末にかぶりつき、目を皿にして周囲の状況を探っていたミミは、うまく標的艦を探知できずに癇癪を起こしていた。
「焦るな焦るな。ミミは探知スキルを持っているんだから、うまくスキルを使えば簡単に見つけられるはずだぞ」
「うー、だってだって、スキルを使うっていうのがミミにはいまいち分からないのニャ」
「あー……まぁ今まで使ったことがないんだから、すぐには無理か」
「ううー、どうして上手くいかないのかニャー……」
「例えスキルを持っていたとしても、上手く使うには慣れが必要だしな。それにおそらく魔力の使い方がまだ未熟なんだろう」
「使い方ニャ?」
「ああ。探知スキルは周囲に魔力を広げていって、その反応を的確に読み取るスキルなんだ。まず、マギインターフェースに手を置いてみて」
「わ、分かったニャ」
「マギインターフェースに手を置きながら、頭の中で自分を中心にして円状に魔力が薄く広がっていく様子を想像するんだ」
「…………」
俺の指示に従おうと、ミミはマギインターフェースに手を置いて、目を瞑って意識を集中する。
「水面に雫が落ちた後のように、広く、薄ーく魔力が周囲に広がっていく様子をイメージするんだ」
「や、やってるニャ」
「いいぞ。今、ミミが頭の中に描いているイメージ。それをマギインターフェースを通して
「ニャニャッ!? なんだかすごく広い空間を感知してるニャ!」
「AIによってアルヴィース号を中心にして宇宙空間に魔力の波紋が広がった証拠だ。どうだ? 感覚は分かるか?」
「す、すごいのニャ……ずっとずっと、何光年も先の宇宙空間の様子が手に取るように分かるニャ……っ! でも……」
「情報量が多すぎて、何がなんだかって感じだろう?」
「その通りニャ」
「そこから取捨選択していくんだ。例えば人工物と自然物では、広げた魔力への引っかかり方が違うって感じない?」
「あ……た、確かにそうニャ! 人工物は固く、自然物は柔らかく引っかかるような気がするニャ!」
「すごいじゃないかミミ! もう感覚を掴めてる。その感覚を覚えておけばスキルを使いこなせるようになるぞ」
「分かったニャ! ご主人様、ありがとうニャ!」
「よし。じゃあ引き続き、標的の捜索を頼む」
「標的はシャトル型が四隻。常に集まって行動してるから、引っかかるところを重点的にすればいけそうニャ……」
マギインターフェースに手を置いたまま、ミミは意識を集中して周囲の探知を試みる。
やがてミミの耳がピクンッと動き、何かを見つけたらしいミミが艦長席に座る俺を振り返った。
「ご主人様見つけたニャ! 十一時の方向、艦影四なのニャ! 標的は多分これニャ!」
「よし! 偉いぞミミ、良くやった! エル、アルヴィース号の艦首を十一時の方向に向けろ! 隠蔽魔法は使えるな?」
「う、うん! ソールさんにちゃんと教えて貰ってるよ!」
「なら隠蔽魔法を使って接近するんだ」
「りょ、了解!」
「ドナは戦闘準備!」
「は、はいっ! ですが本当に私が攻撃を担当するんですか? ご主人様のほうが的確じゃ――」
「大丈夫大丈夫。ドナならうまくやれるって信じてるから」
「はぁ~……そういうの、プレッシャーになるからやめてください」
「応援しただけだろ。もしものときはフォローするから、安心してぶっ放していいぞ」
「ううっ、頑張ります……」
ブリッジクルーに指示を出していると、ガンドが欠伸をしながらブリッジにやってきた。
「なんだよ騒がしいな。何があったんだ?」
「標的を見つけたからな。戦闘準備真っ最中だ。ガンドはまた昼寝か」
「まぁアタイの仕事なんて、戦闘が終わった後のゴミ拾いぐらいだしよ」
「それも充分、有用な仕事だぞ」
「でも艦の残骸の回収なんて、ご主人の魔法で一発だろ? ほら、あのー、なんだっけか」
「『
「そう、それだ。それで一発なのになんでわざわざ時間を掛けてまでアタイに回収させるんだか」
「そりゃガンドに宇宙空間での活動に慣れて欲しいからな」
「はぁ~……面倒臭ぇな」
「まぁこれも仕事だと思って諦めてくれ」
「へいへい」
「ご主人様、標的を確認できたよー! まだバレてないみたい」
「よし。一定の距離を保っておいて。ドナ、魔法攻撃の準備」
「は、はいっ! マギインターフェース展開します」
端末を操作するドナの両脇に光球型のインターフェースが出現する。
「ミミにも言ったようにマギインターフェースは術者とアルヴィース号を繋ぐ要の端末だ。マギインターフェースを通して術者が発動する魔法を統合管制AIが読み取って艦にフィードバックする。それは理解しているな?」
「はい!」
「なら、マギインターフェースに手を置いて体内にある魔力を高めながら、使う魔法を頭の中でイメージするんだ」
「イメージ……」
「そう。詠唱して行使すると威力は上がるが発動が遅くなる。だから戦闘時では無詠唱で魔法を行使する必要がある。で、その方法が魔力を高めながら頭の中で行使する魔法をイメージすること」
「はい。その辺りはマーニさんに叩き込まれましたし、実際に使えるようにはなっています」
「さすがドナだ。優秀だね」
「そ、そうでしょうか……」
「優秀さ。じゃあそんな優秀なドナに問題だ。宇宙空間で使う魔法は何が最適だと考える?」
「ええと……宇宙空間では氷属性の魔法が扱いやすい、とマーニさんから教えられていますね」
「正解。土属性の魔法も使いやすいが、触媒となる物質が少ないから威力はあまりでない。火と風も使えないことはないが、対艦向きではない。だから質量によってダメージを与えやすい、氷属性の魔法が効的だ」
「はい。その辺りもマーニさんから教えられています」
「よし。じゃあ改めて氷魔法を発動しようか。そうだな……まずは初歩的な氷属性魔法『
「じゅ、十ですかっ!? 練習のときには三つがやっとだったのですが」
「魔法陣を同時に三つ構築できたのなら、十個も簡単さ。構築した魔法陣に一定の魔力を注ぎ込みながらキープして、それを数回繰り返せば良いだけだし。なっ? 簡単だろ?」
「言うのは簡単ですけど……っ!」
「大丈夫。ある程度は統合管理AIがフォローしてくれる。それにドナなら必ずできるよ」
「はぁ……なんとか頑張ってみますけど」
励ましの言葉に特に何の反応も示さず、ドナは淡々とした様子で魔力を編み上げていく。
少し悲しい。
「魔法の準備、完了しました」
「はいよ。エル、隠蔽解除」
「う、うん! 隠蔽解除っ!」
エルの声と同時にアルヴィース号にかけられていた隠蔽魔法が解除され、突如現れた艦の姿に標的たちが慌てた様子を見せる。
「こっからは時間との勝負だ。ドナ、機関部を狙えるか?」
「や、やってみます!」
「ミミは周辺宙域の確認を。援軍はないと思うが、気を引き締めてチェックしておいて」
「分かったニャ!」
俺の指示に従ってきびきびと対応するブリッジクルーたち。
そこへ夕食を作ってくれていたリリアがやってきた。
「みんな、すごく頼りになりますね」
「ああ、そうだな。すごく助かってるよ」
マーニやソール、それにリリアといった、俺との付き合いの長い面々との連携とほぼ同じ程度には素早く動いてくれるようになっているのだから、みんな成長したものだ。
「標的反転! 艦首をこっちに向けてるニャ!」
「一隻だけと分かって迎え撃つつもりだろうな。ふむ……エル」
「は、はいっ!? なにっ!?」
「敵の攻撃を全部回避して」
「はーっ!? そ、そんなのエルには無理無理無理無理!」
「大丈夫。エルならできる。それに万が一被弾しても、アルヴィース号の結界が抜かれることはないから安心して回避してくれ」
「だったらわざわざ避けなくても良いじゃない!」
「ダメ。『古き貴き家門』の攻撃が二代目アルヴィース号に直撃したのを忘れたのか?」
「それは、そうだけど……」
「なら操縦技術の鍛錬だと思って頑張ってみてくれ」
「うー……わ、分かった。なんとか頑張ってみる!」
無茶振りなのは重々承知しているが、強いからといってその環境に居座っていては何の成長もできない。
今、俺たちに必要なのは経験なのだ。
「敵艦エネルギー反応増大してるニャ! くるニャ!」
「よし。戦闘開始! ドナは俺が合図するまで待機!」
「りょ、了解です!」
「敵艦砲撃開始したニャ!」
「エル、回避運動!」
「やってるってばーっ!」
敵艦から殺到するレーザー砲撃。
その砲撃を掻い潜るように、エルはアルヴィース号を操縦する。
「いいぞ、エル。うまいうまい!」
「へ、へへー! 当然だよ! 操縦技術はソールさんに叩き込まれてるんだから!」
「慢心は禁物だぞ。しばらくは回避に専念!」
「わ、分かってるって!」
俺の応援に応えながらエルは操縦に集中する。
「ううっ、エルちゃん、大丈夫でしょうか……」
俺の横でリリアがハラハラした表情でエルを見守っていた。
「ううー! くっ……よっしゃー! 全部避けたよご主人様!」
「ナイスだエル! ドナ、攻撃開始!」
「は、はいっ! 『
俺の指示に即応したドナが体内の魔力を高めて魔法を発動する。
その発動を読み取った統合管制AIが、アルヴィース号に追従する魔法陣を宇宙空間に構築した。
「『氷弾』発射!」
ドナの声と共に魔法陣から現れた『氷弾』が宇宙空間を滑って標的に殺到する。
その『氷弾』を回避するために四隻の艦は分散するが、統合管理AIによって誘導された『氷弾』は艦を追尾して逃がさない。
標的の艦はロックオンから逃れようとレーザー攪乱膜を張るが、『氷弾』はそもそもレーザーではないし、光学的な追尾機能など搭載していない。
あっという間に艦に追いついた『氷弾』は、俺の求めた通りに標的の機関部に着弾して爆発を起こした。
「全弾命中したニャ! 標的の四隻、全部中破したのニャ!」
「やったなドナ! いい魔法制御だったぞ」
「いえ。誘導は全て統合管理AIがやってくれましたから、決して私の腕が良かった訳じゃ……」
「それでも充分、すごい成果だ。やるじゃないかドナ!」
「……はい」
俺の褒め言葉にドナははにかみながら微笑みを浮かべた。
これで少しは自信が持てると良いんだけど。
「ミミ。標的にこちらの所属を伝えて武装解除を通達してくれ」
「了解ニャ!」
「ガンドは出撃準備。標的の無力化を確認した後、艦の残骸の回収に向かって欲しい」
「やっとアタイの番が来たか。ご主人、棺桶の準備を頼むぜ」
「おう」
ガンドの要請に応えるためにマギインターフェースを起動させ、『無限収納』から空間騎兵用兵装をアルヴィース号のすぐ横に出現させた。
「後は頼むぞ」
「了解してるよ」
ブリッジを出て行くガンドの背中を見送ったあと、俺はメインモニターに映る四隻の艦を凝視した。
ミミの武装解除を受け入れるのなら、白旗なり降伏を伝える通信が入るはずだが――。
「敵艦より通信がきたニャ! 降伏するって言ってるニャ!」
「よし。ミミ、付近の警備隊に違法者引き渡しの通信を送ってくれ。アルヴィース号は現宙域にて待機。標的を見張る」
「了解なのニャ!」
「警備隊がきたら今日の仕事は終了だ。集中力を切らさないように頼むぞ、みんな!」
標的を警備隊に引き渡した俺たちは、ギルドに依頼達成の報告をしたあと艦首を拠点に向けた。
拠点を出て一ヶ月。
久しぶりの凱旋だ。
先日の依頼を無事に達成できたことで、直近で必要なクレジットは稼ぐことはできた。
だがそれでもまだまだ金が足りない。
拠点で初代アルヴィース号の整備をした後は、再び宇宙の海に漕ぎだして違法者との追いかけっこが始まるだろう。
――と、そう思っていたのだが。
「ご主人様。ご主人様、起きて下さい――」
俺の身体を揺すりながら優しく起床を促す声に、意識を覚醒させた俺はゆっくりと瞼を開いた。
「おはようございます、ご主人様」
「ああ、おはようリリア」
挨拶を返しながら、隣で寝ていたリリアの胸に顔を埋めた。
ふわりとした乳房が頬にあたり、ポヨポヨとした感触に幸福を感じる。
裸のリリアの肌から伝わってくる体温は、起床したばかりらしく、とても温かった。
「うーん……このまま二度寝したい……」
おっぱいに埋もれながら呟く俺の頭を撫でつけながら、
「ダメですよご主人様。マーニさんから通信が入ってるみたいです」
リリアが優しく起床を促す。
「マーニから? そりゃ起きないとなぁ」
「はい、起きて下さい。ふふっ……♪」
シーツをめくって起き上がると、隣で寝ていたリリアの裸が視界に飛び込んでくる。
「……」
「……もう。ご主人様、そんなにジッと見られたら恥ずかしいです」
俺の視線から逃れるようにリリアは裸体をシーツで隠す。
「ごめんごめん。綺麗だなーって見惚れてた」
「マーニさんを待たせてるんですから、お早く、ですよ?」
「へーい」
リリアに促された俺は椅子に掛けていた服を纏った後、艦長室を後にしてブリッジへ向かった。
「悪い、待たせたなマーニ」
『ん。別に良い。それよりも――』
「?」
『昨晩はお楽しみでしたね』
「ブッ……っ!? な、なんでぇ!?」
『エルたちに聞いた。戻ってきたらマーニとソールお姉ちゃんを可愛がる義務が生じるので忘れないように』
「わ、分かったよ。……ったく」
チラッとエルたちに視線をやると、空口笛を吹きながら我関せずな素振りで明後日の方向を向いていた。
全く。
プライバシーの侵害も甚だしい。
「ところで明日には到着する予定だったのに突然通信してくるなんて、何かあったのか?」
『あった。今、拠点化しているこの資源惑星が宝の山だということが判明した』
「ん? どういうこと?」
『拠点化のために改造している最中に新しい金属鉱石を発見した。今、サンプルデータと今後の計画書を送る』
「マーニさんからのサンプルデータ、受け取りました」
「メインモニターに回して」
「了解です」
ドナが端末を操作すると、ブリッジの中央に存在するメインモニターに鉱石の情報が映し出される。
「この金属鉱石がなんだっていうんだ?」
『成分を解析したところ、この金属鉱石の硬度は通常の石と比べて少し硬い程度。輝度も高くはなく、貴金属としての価値は低いと判明』
「つまり鉱物としては微妙ってことか。でも、それならマーニがわざわざ通信してくるはずないよな?」
『色々と調べてみたら、この鉱石。魔素の吸収率が既存のどの鉱石よりも遥かに高い数値をたたき出した。つまりこれは――」
「もしかして魔石かっ!?」
『その通り。そもそも今の時代、魔素という存在自体が認識されていない。そのためにこの鉱物の特性を見つけられなかったのだとマーニは思う』
「確かに。だけど魔石があれば……っ!」
『アルヴィース号を更に強化できる。で、プランを準備しておいた。ジャック様は拠点に戻るまでに目を通しておいて欲しい』
「そういうことか。分かった。目を通しておく」
『ん。通信は以上。ジャック様、早く帰ってくる。お姉ちゃんと二人で待ってる』
「ああ。できるだけ早く戻る」
俺の返事に満足そうな微笑みを浮かべ、マーニは通信を切った。
「早く戻るんだったら転移しようよー」
「いや、しないぞ。通常航行も立派な鍛錬になるんだから、手を抜かずしっかり頼む」
「はーい。ちぇー、楽できると思ったのにー」
「これも私たちのことを思っての計らいでしょう。あと一日、頑張りましょう」
「頑張るけどー。はー、ガンドさんはずーっとお昼寝してていいなー」
「ミミもお昼寝したいニャ……」
「拠点に帰ったら三日ほど休みをやるから、今は頑張ってくれ」
「分かったニャー……」
「ドナ、艦長室の方に受け取った計画書のデータを送っておいて」
「了解しました」
マーニとの通信を終えた俺は、艦長室に戻った。
すでに服を着ていたリリアが淹れてくれたお茶を飲みながら、端末を操作してマーニの計画書に目を通す。
「二代目アルヴィース号改造計画、か。魔石が調達できるなら、確かにもっと改造できそうだ」
「ませき、って何のことですか?」
「ああ。魔石っていうのは――」
魔石とはそもそも何か。
それは魔獣や魔物が大気中の魔素を吸収して魔力を得て、その魔力を体内で結晶化させた鉱石のようなものだ。
ちなみに魔物とは魔素が凝縮されて生まれた存在を指し、魔獣とは野性の生物が魔素の影響で凶暴化した存在を指す。
ジーク・モルガンの時代、魔獣や魔物から得られる魔石は、社会のインフラの充実や魔道具作成のために無くてはならない資源だった。
だが今の時代、魔獣や魔物は発見次第、すぐに排除される害獣扱いだし、人類の生存圏が広がって以降、魔獣や魔物たちが生存できる場所が殆ど消滅してしまっていた。
今や魔獣や魔物に類する生物は、辺境宙域に居る宇宙生物のみだ。
それに加えて魔石を使う技術も衰退しているため、生まれてこの方、魔石や魔道具を見る機会など無かった。
だが、その魔石が見つかったとするならば、アルヴィース号を更に強化することができるはず――。
「魔法に頼り切ってる攻撃面も汎用的なものに切り替えられるし、空間騎兵用兵装の装備も充実させられそうだ」
元々、魔石は魔力の少ない人、魔力を持たない人たちでも魔法の恩恵に預かれるように俺を含む仲間たちが完成させた技術だ。
時代の流れに飲み込まれ、その役目は科学に取って変わられたが、科学が隆盛を極めている今の時代だからこそ、魔石の発見は新しい可能性を生むことになるだろう。
「科学と魔法、そして魔石を使った魔道具。その三つが融合すれば一体どんなことができるんだろうな……!」
オラ、わくわくしてきたぞ。
「ふふっ、ご主人様、楽しそうですね」
「え? あ、ああ……色々と考えなくちゃいけないこともあるけどさ。俺は本来、何かを作るために色々と考えているほうが性に合ってるからね」
戦いたいとは思わない。
誰かを踏みにじりたいとも思わない。
ただ毎日、何かを作り、のんびりと暮らしていたい。
だけど――。
自分で決めたことを忘れるつもりはない。
ユーミルを貶めた『古き貴き家門』を打倒し、できる限り平等で、できる限り公平な、誰もが平和に暮らせる世界を実現する。
それは俺自身が決めたことだ。
「とにかく。拠点に戻ったらマーニたちと相談して、本格的に二代目アルヴィース号の改修に着手するよ。リリアも手伝って」
「はいっ! ご主人様……♪」
//次回更新は 03/11(金)を予定
//一週間後になります。ご了承くださいませ
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