【第10話】新天地を求めて

【二幕二章一節】新天地を求めて


 艦長室で、とある場所との通信を終えた俺は、マーニに呼ばれていたことを思い出して艦橋へ向かっていた。

 無重力状態の移動を助ける壁面のレバーを握り、廊下を滑るように移動していると、時折、元奴隷のクルーたちと行き違う。

 頭を下げて挨拶をしてくれるクルーたちに手を振って挨拶を返しながら、俺は艦橋に続く昇降機に飛び乗った。

 ほどなくして艦橋エリアに到着し、床を蹴って空中を滑りながら艦橋へと入室した。


「悪い、遅くなった」

「ん。待ってた。さっそく報告する」

「ああ、頼む」

「ひとまず現状の確認。アルヴィース号はテラでの戦闘で受けた被害の応急処置を済ませ、現在は辺境宙域に向かって第五宙域を航行中。だけど『古き貴き家門ハイ・ファミリア』の追撃は確実。今のままでは危険。どこかでアルヴィース号を完全修理しなければならない」

「うん。それは昨日のミーティングで話し合ったことだな」

「そう。なのでマーニは朝からあちこちのデータベースをのぞき見……コホンッ、調べていた」

「ハァ……またハッキングしたのか? 一体どこのデータベースをのぞき見たんだ?」

「内緒」

「内緒かー……」


 またぞろ危ないところに潜り込んでいたんだろうなぁ……。


「で、そこで見つけたのがここ」


 心配している俺をよそに、マーニが端末を操作してメインモニターに小惑星の姿を映し出した。


「これがどうかしたのか?」

「ん。色々と調べてみるとこの小惑星、枯渇した資源惑星で千年ほど前に権利を放棄されている。今はもう殆ど公的なデータが残っていない」

「調べたのか?」

「当然。裏も表も調べ尽くした。ブイ」

「なるほど。つまり隠れ家には最適って訳だな」

「ん。ここでアルヴィース号を修理するのが良いと思う」

「でもさー、修理って言っても先立つものがないよー?」


 マーニの報告を聞いていたブリッジクルーの一人――マーニの双子の姉のソールが妹の案に疑問を呈した。


「それは承知してる。だからジャック様は初代アルヴィース号を使って外で稼いできて欲しい。修理はマーニとお姉ちゃんでやっておく」

「まぁそれがベターか」

「それにブリッジクルーを鍛えるには良い機会。いつまでもマーニたちにおんぶに抱っこでは若干面倒」

「は、はっきり言いますね……」


 マーニの言葉にドナが苦笑する。


「事実。それに心配しなくても大丈夫。皆はもう立派なブリッジクルーとしての能力は備わっている。あとは実戦で磨くだけ」

「師匠であるマーニさんにそう言って貰えるのは嬉しいですけど……」

「ううー、エルたちにできるかなー……」

「正直、不安ニャ……」

「アハハッ、みんな心配性だなー。リリアにはジャック様と一緒に行ってもらうし、分からないことがあったらリリアに聞けば良いんだよー」

「ふぇっ!? わ、私にですかっ!? そんなの無理ですよぅ!」


 突然、自分の名を呼ばれたリリアが大慌てで首を横に振る。


「今もマーニさんとソールさんに頼ってばかりなんですから……」

「でもさ、リリア。みんないつかは一人立ちするものだよー」

「それはそうかもですが……」

「人に教えるという行為は、自分がなんとなくやっていることの理由を改めて考えるきっかけになる。リリアはやるべき」

「私にできるでしょうか……」

「大丈夫。何かあったらジャック様がフォローする」

「ああ。マーニの言う通りだよ、リリア。何かあれば俺がフォローするから一度、挑戦してみれば?」

「……分かりました。わ、私、頑張ります!」

「という訳で決定ー! みんなジャック様をよろしくねー」

「ううー、エルたちの意見も通らず、いつのまにか決定事項になっちゃったよぅ……」

「正直、不安ニャ……」

「は、ははっ、まぁ頑張るしかありませんね……」


 ブリッジ三人娘たちが項垂れていると、自動扉が開いてガンドが姿を見せた。


「おーい、ご主人よぉ、あたいたちはこれからどうやって――って、なんだぁおまえら。辛気くさい顔しやがって」


 不思議そうに顔を覗き込むガンドに、三人娘は曖昧な笑顔を返した。


「ガンド。どうかした?」

「おお、そうだった。昨日のミーティングで決まったことは理解したんだがよ。結局、あたいら戦闘部隊は今後、何をすりゃ良いんだ? ってのをご主人に聞きに来たんだよ」

「丁度、今、その話をしてたところでな。ひとまず破棄された資源惑星を根城にするつもりだ」

「へぇ、よくそんな惑星見つけたもんだ」

「うちにはスペシャリストがいるからな」

「ブイ」

「だけど修理するにも先立つものが必要な訳で。何人か連れて初代アルヴィース号で出稼ぎしてくるつもりだ」

「そうか。もちろんあたいも連れてってくれるんだろうな?」

「うーん……マーニ、ガンドを連れてっても良いのか?」


 ガンドはクルーの中でも希少なスキル『統率』を持っている。

 アルヴィース号の修理をするなら、人を効果的に率いることのできる統率スキルは大きな力を発揮してくれると思うんだけど。


「なんとかなる。今後のことを考えればガンドには空間騎兵用兵装の運用に慣れておいて欲しい」

「あれなー。何人か見繕って訓練はしてるんだが……」

「あまり上手くはいってないのか?」

「いや、それなりに上達はしてきてる。と思う。だけどどうにも使い勝手が悪いというか……」

「ふむ……」


 空間騎兵用兵装とは、宇宙空間で超接近戦を行う全高四メートルほどのパワースーツのようなものだ。

 バーニアの推進力を使って宇宙空間を颯爽と移動し、敵に肉薄して白兵戦を仕掛ける! と大々的に宣伝されてはいるが、実態はパイロットの生命維持のための装置がゴテゴテと装備されており、まるで中世の重武装騎士のような見た目をしていて、想像するほどの機動力を発揮していない。

 そういった理由から、専任のパイロットでさえ『宇宙を駆る棺桶』と自嘲している有様だ。

 しかしレーダー網を掻い潜って接近してくる兵士というのは、艦にとっては面倒な敵であるのもまた事実だ。

 そのため、ある程度の規模の軍艦には必ずと言って良いほど、対空間騎兵用に空間騎兵用兵装が配備されている。


「今すぐって訳にはいかないけど、空間騎兵用の兵装も魔改造するつもりで居るから今は我慢してくれ」

「了解。まぁ与えられた仕事はきっちりやるさ」

「それで充分だよ。って訳で、ガンドも外回り決定だな」

「おう、任せときな」

「よし。これで方針は決定した。じゃあマーニ。進路を廃棄された資源惑星に向けてくれ」

「了解」




 こうして――。

 アルヴィース号はマーニが探し出してくれた、廃棄された資源惑星へと艦首を向けた。

 隠蔽状態を維持しながらの航行だったが、そこは魔改造を施した二代目アルヴィース号だ。

 特に大きな問題もなく、二日後には資源惑星へと到着した。


 資源惑星は見たところ五十キロメートルほどの大きさだ。

 惑星地表のあちこちに穴が空いているのは、資源採掘の時にできた坑道だろう。


「この坑道を利用すれば良い隠れ家が作れそうだ」

「ん。工事は全部マーニたちでやっておく」

「頼む。で、俺のほうは外回りっと……だけど今のままじゃマズイよな」


 傭兵ギルドに所属しているジャック・ドレイク――つまり俺は、先日、『古き貴き家門』に喧嘩を売ったところなのだ。

 今のままの状態で傭兵ギルドに向かったところで、反乱罪を適用されて拘束されるのがオチだろうし、依頼を達成しても報酬を振り込んで貰う口座はすでに連中の手で封鎖されているだろう。


「その点は抜かりないよー!」

「おっ? ソール、何か手を打ってくれたのか?」

「うんにゃ。マーニがやってた」

「おまえじゃないのかよ」

「えへへー、ソールは考えるの苦手だしねー」


 ケタケタと笑うソールの横でマーニが端末を操作しながら口を開いた。


「ひとまず偽名を使って新しい市民IDと口座を作っておいた。傭兵ギルドのほうにも登録済み」

「さすがの手回しだなぁ。毎度頭が上がりません……っ!」

「ん。お礼はベッドの中で聞かせてもらう」

「えーっ!?」


 マーニの台詞に、ブリッジ三人娘が驚きの声を上げる。


「? えーっ、とはどういうことなのか説明する」

「あ、いや、えっとぉ~……」


 マーニの質問に答えづらそうに口をもごもごしたエルの横から、


「やっぱりマーニさんとご主人様はそういう関係だったんですね」


 ドナが得心がいったとでも言うように頷きながら答えた。


「ん。マーニとソールお姉ちゃん、それとリリアはご主人様のメイドとして夜のお世話もしている。ちなみに筆頭はリリア」

「そ、そうなのニャッ!?」

「はぅぅ、マ、マーニさん、そういうことは言っちゃダメですよぉ!」

「キャハハッ! 気にしない気にしないー!」


 顔の真っ赤にして焦るリリアの姿に、ソールが楽しげに笑う。


「ジャック様付きのメイド隊にはそういう役割を担う者が就く、とだけ覚えておいてくれれば良い」

「ケッ。なんだ、ちょっと良い奴だと見直してたのに、結局はそういうことするやつなのかよご主人よぉ」

「いや、その……ち、ちゃんと合意の上だからなっ!? それにめちゃくちゃ大切にしてるからな! 遊びとか無理やりとか、そんな風に手を出したことなんて一回もないぞ!」

「た、大切に……あぅ、そんな風に言ってもらえて嬉しいです……」


 ガンドへの説明を聞いて、リリアがポッと頬を赤らめたリリアの横で、


「……よぉ、マーニさんよぉ。もしかしてご主人って童貞捨てて間もないのか? なんか言ってることが気持ち悪いぞ?」


 ガンドが苦虫を噛み潰したような顔をしながらマーニに問い掛ける。


「なっ!?」


 ガンド、おまえもかっ!

 おまえも童貞を捨てて間もない俺をそんな風にくさすのかっ!?


「非童貞になってまだ数ヶ月だから気持ち悪いのは仕方ない」

「おいマーニ! 気持ち悪いってのはないだろう! せめてこう……まだ慣れてないとか、そういうマイルドな表現をだな――」

「いや普通に気持ち悪いだろ」

「ガンドぉぉぉぉぉっ!!!!! 一刀両断すんなぁ!」

「べ、別にバカにしてる訳じゃないんだぜ? ただまぁ……若干重いっていうか……気持ち悪いっていうか」

「やっぱり気持ち悪いと思ってるんじゃないかーっ!」

「そりゃそうだよご主人様ー。エルだって突然みんなの前で大切にしてるとかなんとか言われたら気持ち悪、って思うもん」

「まぁそうニャ。ガンドの言う通り、ぶっちゃけ気持ち悪いニャ」

「なんだよみんなして!」


 そんなに俺、気持ち悪いこと言ったかぁ!?


「関係を尋ねられたとき、女性としてはサラッと認めるだけにしてもらえたほうが良い、というのはありますね」

「えっ、そうなの? ちょっとドナ、そこんとこ詳しく」

「く、詳しくと言われても……まぁ、大切とか愛しているとか、そういった好意を示す言葉は、二人きりの時に聞かされるのならば嬉しいですが、他者に告げられると気恥ずかしくなりますし」

「で、でも! リリアは喜んでくれてるぞ?」

「あぅ……わ、私はご主人様から頂けるお言葉なら、なんだって嬉しいですから……」


 ポッと頬を朱に染めたリリアが耳をピコピコと動かす。

 あーかわいい。


「ま、まぁリリアさんは特別というか。特殊というか」

「この主人にしてこのメイドありニャ」

「それ! エルの思ってること的確に言ってくれたぁ!」

「おまえら好き勝手言うなぁ……」


 だけど分かった。

 みんなの前で、変に凝った表現で愛情を披露しないほうが良いということなんだろうな。

 俺、一つ賢くなった。


「――とか思ってるみたいだけどジャック様ー。それって人それぞれってのを忘れたらダメだかんねー?」

「えっ? そうなの?」

「それはそう。女は十人百色。いい加減、それぐらい分かるべき」

「えーっ……」


 なんだよもう……。

 女心、難し過ぎだろ。


「ところでよぉご主人。艦を修理したとしてその後はどうするつもりなんだ?」

「ああ。艦を修理した後は辺境宙域に向かうつもりだ」

「辺境宙域に? なんだ、辺境に潜んで一旗あげようってか?」

「潜むというより惑星に植民して国を作るって感じだな」

「はっ? 国を作る……だってぇ!?」


 俺の言葉を聞いてガンドが驚愕の声を上げた。


「そうだ。国を作って奴隷たちの受け入れ態勢を整える」


 今すぐに奴隷たちを集めるには、金もないし伝手もない故に困難だ。

 だが受け皿だけは用意しておかなくちゃならない。


「国を作って奴隷たちの逃げ場所、居場所を作るつもり」

「おいおいマジかよ……ホントにそんなことできると思ってるのか?」

「できるぞ。なぁマーニ」

「ん。辺境宙域で冒険者ギルドに登録し、未開発の惑星に上陸した後、人口五千人を一年維持し、設備の整った宇宙港を二つほど用意すれば独立が認められる。その後、銀河連邦に所属するかどうかは統治者の判断で決められる、と銀河連邦憲章に定められてる」

「という訳だ」

「はぁ~……あんた、本気で奴隷たちを解放しようとしてるんだな」

「なんだ。信じてなかったのか?」

「まあな。だけど今は……信じたい」

「なら俺はガンドたちに信じ続けてもらうように頑張るさ」

「……ああ。アタイらはいつでもアンタの背中、見てるからよ」


 そう言ってガンドは艦橋を出て行った――。



 放棄された資源惑星に上陸した俺たちはすぐに改修に取りかかった。

 ここで活躍したのが魔法を使えるようになった元奴隷のクルーたちだ。

 土魔法で穴を掘り、露出した岩盤を整形したり。

 土木作業は土魔法を使えるクルーの独壇場だった。

 岩盤を整形したあとは、『無限収納インベントリ』に保管しておいた艦艇の残骸を資材に加工して設置する。

 比較的短期間で拠点化を終えた後、マーニたちは二代目アルヴィース号のオーバーホールに取りかかった。




「と、そんな訳で俺たちは初代アルヴィース号を駆って、目立たない程度にお金を稼ぎに行かなくちゃならない。みんな、よろしく頼む」


 拠点をマーニたちに任せた俺は、久しぶりに初代アルヴィース号に搭乗していた。

 目的は拠点改修中の破棄惑星から離れた場所にあるステーション。

 フォルトゥナステーションだ。

 第五宙域と第六宙域の境目にあるフォルトゥナは、主に採掘資源を運搬する輸送船が補給に立ち寄るステーションで、その輸送船を狙って違法者たちが集まってきていた。

 もちろんその違法者を狩るために傭兵たちも集まってきており、カリーンステーションと同じような状況だ。


「でもでもご主人様ー。艦の修理のためにお金がたくさん必要っていうのはエルにも分かるんだけど、ギルドの仕事でそんなに稼げるの?」

「ミミもそこがちょっと気になってたニャ」

「その心配は分かるし当然の疑問だろう。でも根本部分の認識がちょっと違うな」

「違うのニャ?」

「ああ。金が必要なのは資材を調達するためって訳じゃない。なんせ修理用資材は『無限収納インベントリ』に確保してあるからな」

「『無限収納』……確か、何でも異次元に入れて保管できる空間魔法、でしたか」

「ドナ正解。よく勉強してるな」

「マーニさんから厳しく叩き込まれていますから……でも、そこに修理用の資材があるのなら、一体何のためにクレジットお金が必要なんです?」

「色んなものに必要だぞ。まずは食料だろ、それに医薬品やら生活用品。それにみんなの給料に――」

「えっ? お給料ってほんとに貰えるの?」

「いやいや、今までもちゃんと渡してただろ! というか、一番最初に君ら用のクレジットカードを渡しただろ! もしかしてなくしちゃった?」

「あるけど……この板、なんなのかなーってずっと思ってた」


 ポケットから取り出したクレジットカードを見つめ、不思議そうな声で呟くエルに、


「そこからかー……」


 俺は頭を抱えてしまった。


「つまりクレジットカードがなんなのか、分からなかったって訳か」

「え、うん。で、ご主人様、これってなんなの?」

「簡単に言えば君らのお財布だよ。そこに毎月のみんなの給料が振り込まれてるから。自由に使って良いんだぞ?」

「うーん、自由にって言われてもなー……エル、お金とか使ったことないし、どうやって使うかもわかんないし」

「マジか……よし。じゃあリリアにその辺りも含めて授業をするように頼んでおくよ」

「じゃあその授業を受ければエルもお金が使える?」

「ああ。それで欲しいものを買えば良い」

「うん! へへー……♪」


 クレジットカードを眺めながら、エルは嬉しそうに微笑む。


「ご主人様、フォルトゥナ・ステーション近傍に到着したニャ!」

「よし。じゃあ管制に入港許可を貰っておいて」

「了解ニャ!」

「ドナはギルドが発行している依頼リストの確認を頼む。Gランクの依頼をいくつか見繕っておいて」

「分かりました」

「で、ガンドは?」

「ガンドさんならお昼寝中だよ。エル、起こしてこようか?」

「必要ないよ。今のところガンドじゃなきゃできないって仕事はないし」

「ふーん。……サボッてる奴隷を怒らないなんて、やっぱりご主人様は変な人ー」

「仕事がないなら休んでても良いんだよ。まぁ何かあったらエルに起こしに行ってもらうから、そのときはよろしくな」

「はーい。あれ? じゃあリリアさんもお昼寝?」

「リリアには俺たちの食事を作って貰ってる。今日中にステーションに到着するし、ちょっと豪勢な食事にしてもらおうと思ってね」


 航行中は不測の事態に備えて食料は倹約するのが常だ。

 だがステーションはもう目の前なのだから、今日ぐらいはクルーたちに美味いモノを食べさせてやりたい。


「だから今日の晩飯は楽しみにしておいていいぞ」

「やった……! リリアさん、お菓子作っててくれるかなぁ」


 年相応にワクワクとした表情を見せるエル。

 そんなエルと同じように、ミミも上機嫌で鼻歌を歌っている。

 その光景を見ながら、俺はふと今までの時間を振り返る。


(実家を出てから、あっという間に半年かぁ……。時間の流れがこんなに早いだなんて、忘れていたな)


 独立し、傭兵稼業を始めて。

 駆逐艦を手に入れて、奴隷たちと出会って。

 女神ユーミルを助けて、『古き貴き家門』に喧嘩をふっかけて――。

 目まぐるしいにもほどがある。


 これから俺が。

 俺たちがどうなっていくのかは、正直なところ、何も分からない。

 だけど後悔はない。


(俺は俺の考えを持ち、俺の理想を実現するために戦う。だからさ。早く元気な姿を見せてくれよな、ユーミル)


 惑星テラに封印され、呪詛によって消滅の危機に追いやられていた、この世界を創世した女神ユーミルは、今、俺の中で眠っている。

 その復活がいつになるのかは見当も付かない。

 だが、いつか復活したときにユーミルが笑顔を浮かべることができるようにしよう。


 俺は改めてそう決心した――。


//次回、3月1日(火)19時 に更新予定

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