第032話 連鎖逸失①
「さて、どうだったかな?
第五階層の最奥。
通称『
つい先日、『
とはいえどう答えたものか――
「正直凄いですね。これならやり様によっては『
濁す必要も感じなかったので正直に伝える。
これはお世辞や社交辞令といった類のものじゃない。
戦闘能力という点においては、この世界の
確かにレベル7というつい最近までの上限レベルで第五階層を攻略するのだから、レベル的に余裕があったのは間違いない。
だけど護りに関してはアルフレッドさんが「盾役」である前衛二人に多重にかけて切らさない『
攻撃に関してはアンヌさんが味方の大技に『
俺の『
だから最初にアルフレッドさんが口にした、『
もっともアルフレッドさん達のステータスや使用した魔法、
それとかなり便利な
「天才」と呼ばれるには、それくらいの才能を持っていて然るべきだということは出来る。
まさかあるまいとはおもう。
それにもしも
質問したら、逆になんでそこまでわかってるんだと、逆に質問攻めにされそうだしなー
どうしたもんか。
「…………」
だが俺の感想に対して、アルフレッドさんが驚いたような表情を浮かべている。
いやアルフレッドさんだけではなく、アンヌさんやここまで常に無表情だったパーティーメンバーであるお姉さま方も初めて感情を表に出しておられる。
なんか変なこと言ったかな?
あんな強烈な出逢いで飛び出た台詞になぞらえることが、そんなに不思議なこととも思えないが。
「さすがは「魔法使い」とはいえたった一人の
やっぱりその表情の原因は、『
なぜそれがそこまで特別視されるのか、いまいちピンとこないがどうやらそうらしい。
一人目が誰なのか気になるところだけど、ヴォルフさんなのかな?
「ヒイロ君は、現在の
「そういうきき方になるということは、どこか
アルフレッドさんの軸足は『
さっきの戦い方からしても、それに挑むことを前提にした組み立てをしているのだろう。
冒険者界隈で異端視されつつも敬意や畏怖を抱かれているのは、不可能ごとに挑み続けているから故なのかもしれない。ヴォルフさん達『
さっきもらった
「そうだね、問答を仕掛けたいわけじゃないから単刀直入に言おうか。――私は『
「――っ!?」
一周目の
だけど『
「私が自分で経験した限りでは、
それは間違っていない。
プレイヤーであった俺だからこそ確信をもって断言できる。
確かに迷宮はそのために存在しているのだ。
正確にはヒトではなくプレイヤーをだが、冒険者たちが迷宮を攻略しているという設定がある以上、そこを舞台にプレイヤーを含めた冒険者たちが成長していかなければ確かにおかしい。
最序盤から多くの迷宮で『
ゲーム時代に冒険者プレイをしていれば、その辺の謎も解明できていたんだろうか。
「兄様は納得できないと、次にいけない方なのです」
そう言ってアルフレッドを見つめて微笑むアンヌさん。
ほんとうに兄であるアルフレッドさんを信頼し、慕っているんだな。
さっきからずっと顔が赤いのもそのせいなんだろうか。
ずっと一緒にいてそのテンションだとかなり疲れると思うんだが、それはそれで充実しているのかもしれないな。
「どこかに『
それはそうだろう。
この時代、ヒトの手が入っている遺跡、
ここアーガス島の迷宮を除いて。
「それに
「つまり、何者かの意志が働いている、と」
きちんと説得力のある思考展開だと言える。
アルフレッドさんが持ち得ぬ情報を知っている俺であれば尚のことだ。
なにしろ俺の知っている情報のすべてが、アルフレッドさんの仮定を否定の方向ではなく肯定の方向へ補強するモノばかりだからな。
「まあ、荒唐無稽としか言えない『ヒトを強化するために
そしてその大前提はこの世界における真実だということを、少なくとも俺だけは知っている。
いや俺だけじゃないかもしれないという疑惑は常に持ってはいるのだが。
「どうして――この話を僕に?」
俺の情報を得ようとするでもない。
いまのところただ自分たちのパーティーの力を見せ、俺にこの話をしてくれただけ。
どこにアルフレッドさんの利があるのか、ちょっと想定できない。
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