第6話 スクールカウンセラー

 唯の理科準備室に明かりが点いてから一週間が経った。「毎日学校に来るのはしんどいと思うから、まずは週一回から始めましょう」という古賀先生の配慮からだった。今日は二回目の登校日だ。


 一回目と同じように通用口から校舎へ入り、北側にある理科準備室まで気配を殺しながらそそくさと移動する。理科準備室に入り扉を閉めてやっと一息つける。

 「おはようございます。今日もよく来たね」

 白衣に身を包んだ古賀先生は今日も嬉しそうだ。この先生は唯を急かしたりはしないのに、唯が学校に来るととてもうれしそうな表情をする。唯にはその理由がよくわからなかった。無理やり来させることもできるだろうに。

「スクールカウンセラーの光安先生ってあったことある?」

 唯は首を横に振る。

「そうかそうか。今日は光安先生が来られているから、少し話をしようか」

 誰だろう?という唯の緊張した面持ちは古賀先生にも伝わったようだ。

「スクールカウンセラーっていう、カウンセリングをしてくれる先生がうちの学校にも週一回来てくれるんだ。しっかり話を聞いてくれて、時にはアドバイスもしてくれる。春日井が僕や他の先生方に話しにくいようなことでも光安先生には話していいよ。春日井が、他の人には話してほしくないって言えば、光安先生はそれを守ってくれる。2時間目が始まったくらいに来られると思うから。」

 そういって古賀先生は第一理科室に消えていった。


 誰だろう、話って何?、どんな人?、何を話せばいいの?。今日の理科準備室は緊張で居心地が悪かった。家族以外の人と話すのは久しぶりで、鼓動が早くなって息が上がる。とても心地のいい感覚ではない。

しかしそれでも、約束の二時間目は始まった。

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