第2話 布団の御守を
その日から唯は学校に行かなくなった。学校に行かないことが当たり前になった。それでも毎朝起きて、ご飯を食べて生活をする。スマホは時間をつぶすのには最適で、いくらでも見たいものを見せてくれる便利な道具だった。気が済むまでネットサーフィンをし、気が向いたらゲームをし、時間になったら食事を摂り、お風呂は入りたいときに入っていた。
その生活を唯の母親は咎めなかった。母親はもう学校へ行けとは言わなくなった。母親をからは「本当は学校へ行ってほしい」という気持ちなんて微塵も感じなかった。それは唯にとってとても幸運なことだった。唯の中の「私」が揺らいでいる中、それを揺らいだままにして置いておいてくれる母親の存在は唯にとって何よりありがたかった。母親は働いていたので食事はファストフードやコンビニが多かったが、唯には気にならなかった。
寝ることには少し苦労した。昼間寝てしまったり、そもそも唯は育ち盛りの中学生だ。体力が有り余っているのにどうして寝ることができるだろうか。夜遅くまでスマホを見ながら、あぁ目が疲れたというところで寝る。今まで朝おこしに来ていた母親はすでに当たり前を求めなくなっていたので、唯は安心して夜眠ることができるようになった。
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