第27話 街の問題

 ラインヴァルトと一緒に行くことを決めたが、まだ街に滞在していた。旅立つ前に色々と準備するために。


 執事のゲオルグと御者のタデウスは、盗賊団に襲われた時に壊れて動けなくなった馬車を回収して、それを街で修理していた。次に出発する時までに直すらしい。


 メイドのマイユとカキニユは、街の人達の手伝いをして駄賃を稼いでいた。それで旅費の足しにするつもりらしい。申し訳ないので、私も彼女たちの手伝いに加わり、一緒に駄賃を稼いだりした。荷物を運んだり、料理の下ごしらえをしたり。


 ゲオルグ達は止めようとしたけれど、何もしないで待つだけだと退屈だから。体を動かして、何かしら活動していたい。


 ラフォン家の令嬢じゃなくなった私は、ただの小娘だから。働くことも必要だ。


 その他に、ラインヴァルトの仲間であるアレアから簡単な医術を習った。怪我した時の応急措置が出来るようになった。


 ラインヴァルトと一緒に行くことになって、彼の仲間とは親しくなっておきたい。この先、長い旅になるかもしれないから仲良くなっておきたいと思ったから積極的に交流した。


 彼らのリーダーであるラインヴァルトは、毎日どこかに出かけていった。どうやら街の人達と話し合いを繰り返しているらしい。


 私は詳しい話を知らない。けれど、何かこの街に重大な問題があるようで、それを解決するためにラインヴァルトが協力しているようだ。気になるけれど、彼が話してくれるまで待つつもりだった。




 街に滞在して、数週間が過ぎた頃に私達はラインヴァルトに集められた。朝食の後、滞在中に使っている部屋に仲間たちが集合していた。


 これから、大事な話があるという。


「今日は皆に、この街の問題について説明するため集まってもらった。俺の情報を、ここに集まってくれた皆にも共有しておきたい」


 ラインヴァルトが集まった皆の顔を確認しながら、話し始める。私達は静かに彼の話を聞く。


「ラクログダム王国は今現在、非常に乱れている。あちらこちらで反乱が起きているようで、盗賊も増えている」


 盗賊団の噂はよく聞いた。私達も、この街に辿り着く前に襲われた。私が想像する以上に、王国には盗賊が増えているのでしょうね。


「それで、街の人達は非常に不安になっていた。そこに現れたのが、俺達だった」


 数週間前の歓迎ムードを思い出す。あの時、ラインヴァルト達が盗賊団を壊滅させて街を訪れたから、英雄として崇められていた。その前まで、街の人達は不安だったのね。


「街の人達は、俺たちの戦力を頼りにしたかった。この街に引き止めて、街を守って欲しいとお願いされたんだ」


 街の人達の歓迎ムードは、盗賊団を壊滅させるほどの実力者であるラインヴァルト達を引き止めるためだった。話を聞いて、あの時の疑問が解消される。


 それなら、ラインヴァルトは街に留まるのかしら。彼と一緒に行くと約束している私も、この街で暮らすことになる。大事な話って、そういうことね。

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