第25話 決戦前夜①
学期末前夜、俺たちはアカデミーの『視聴覚教室』で10階層のボスの討伐ログを参考に対策を立てる。
討伐の失敗を考慮して時間的なマージンを取るという安全策もあったが、
『おやおや、10階層のボスごとき一発で倒せんで、この先、冒険者としてやっていけるのか?』
そう褐色の不良教師から嫌味ったらしく釘を刺されたので、俺たちは一発勝負の背水の陣で挑むことに決めた。
ボスは『キングボア』。王の名に相応しいサイズ、攻撃力、防御力、ライフなどなどあらゆる面がバージョンアップしたワイルドボアだ。
「ポイントは〈キングスタンプ〉対策をどうするかだよな」
基本的にキングボアの攻撃パターンは〈突進〉〈かち上げ〉〈暴れる〉とワイルドボアと変わらない。たとえるなら軽自動車にひかれるのか大型トラックひかれるのかの違いだろう。
いや、それはそれで大問題なわけだが、今日までさんざんワイルドボアを相手にしてきた俺としては十分に対応可能な攻撃だと思っている。
それより警戒すべきはボス固有のアビ〈キングスタンプ〉だ。
俺たちが見守る水晶球の中で、まるまると太ったキングボアが空高く飛び上がる。直後、ズドンと着地点を中心にして波紋状の衝撃波を発生させる。
これが10階層ボスの『全体物理攻撃アビ』だ。
巨大な津波のごとき衝撃波に襲われて討伐パーティー全員のライフがごっそりと削られる。このパーティーはこれでバランスを崩して一気に壊滅してしまう。
エドが顎に手を添え唸る。
「衝撃波が広範囲なのが厄介だね。キングボアが飛び上がってから回避行動を取っていてはとても避けられそうにもない」
とは言え、対策がないわけではない。
ひとつ前の討伐ログでは【
あとは最終手段だが、レベルと装備によって物理防御をガチガチに固めるという、いわゆる『レベルを上げて物理で殴る』的なストロングスタイルもあるにはある。
当然、この作戦も時間的に却下だ。
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◆NAME:ジュノン・ジュリアス
◇JOB:【
◆LEVEL:17
◇ABILITY:〈隠密〉〈影縫:壱〉〈闇討:壱〉
◆PARTYBONUS:〈俊敏性UP〉
◇ASSET:〈投擲強化Ⅰ〉
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◆NAME:ラヴィアン・ラヴァース
◇JOB:【
◆LEVEL:14
◇ABILITY:〈サクリファス〉〈デスパレードⅠ〉
◆PARTYBONUS:〈クリティカルダメージUP〉
◇ASSET:〈両手武器強化Ⅰ〉
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◆NAME:エドウィン・エスティマ
◇JOB:【
◆LEVEL:13
◇ABILITY:〈癒しの木漏れ日Ⅰ〉〈妖精の羽ばたきⅠ〉
◆PARTYBONUS:マナ回復量UP
◇ASSET:〈回復持続時間UPⅠ〉
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◆NAME:ルルーシャ・ルブラン
◇JOB:【
◆LEVEL:11
◇ABILITY:〈楔の呪縛Ⅰ〉〈沈黙の呪縛〉
◆PARTYBONUS:〈敵の攻撃命中率DOWN〉
◇ASSET:〈状態異常耐性Ⅰ〉
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二週間、俺たちなりに努力をしたが、ここまでが限界だった。本音を言えば装備品に乏しい分、全員レベル15以上は欲しかったところだ。
まあ、嘆いても仕方がない。俺たちはこの手札で勝負するしかないのだ。
その時である。別の水晶球で討伐ログを熱心に漁っていたルルが「にゃ!」と喉を鳴らす。
「あの! 皆さん! このパーティーの作戦はどうでしょうか!」
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