第34話 おとなのはなし。
今回取得した素材は。スライムの魔核、コボルトの牙、ゴブリンの耳、薬草と解毒草、ウルフの牙、魔物の魔石は大量だ。
とりあえず値段もわからないので、全て売ろうと考えている。鉱物とか香草などは価値もわからず、袋が重くなり他の素材が潰れる可能性もある為、今回は採ってきていない。
「ユリエスさん、お久しぶりです。」
ついに順番がきたようだ。さっきのリュナに感じた気配はなく、笑顔でいつもの素敵なリュナが目の前にいて、少し緊張したが
「はい、買取してもらいたいんですけど、こちらでできますか?」
「出来ますよ。こちらに出していただいて構いません」
「はい、この布袋の中身お願いします。」
「畏まりました。お預かりしますね」
リュナは袋を片手で軽々と持ち、違うカウンターに持っていった。優理はまた思考に入っているので気づいていないが。受付嬢が窓口を離れる事は上位の存在への確認以外では基本的にありえない。
他の受付嬢もその行動には驚いていた。後ろに並んだ冒険者もである。買取の方の担当者を呼べば済む話だからだ。
しかし冒険者もリュナに嫌われたくないので、何も言わない。“まだ”リュナには恋人はいない。美人受付嬢との新婚生活。誰もが諦めていないのだ。
静かに。急いでいる者は他に並び直し、リュナに固執しているものが何時間でも待つ気のようで、そんな対応をされた者は一体何者だろうか、周囲の者はそんなことを感じていた。
シーン・・・である。
しばらくして
「買取の結果が出ましたので、こちらが全て買い取った場合の買い取り額です。ご確認ください。」
「はい、全て売却でお願いします」
「畏まりました。それと今回の買取の分と合わせて常設依頼のクエストで処理できる分はクエストの達成報酬も追加させていただいておりますがよろしかったでしょうか?」
「はい、お任せします。」
「はい、それでは買取額が合計で3340銅貨ですね。」
「内訳といたしまして。ウルフ牙が2銅貨、ゴブリンは買取できません、別途クエスト報酬ですね。スライムの核が5銅貨コボルトの牙が2銅貨、魔石が2銀貨、薬草と解毒草は3銅貨で今回の納品の品質が良かったので最高価格での買取価格になります。」
「それと魔石の需要が最近あがっておりまして、大量な魔石の納品のお礼として特別報酬及びその他クエスト報酬額と合わせまして6銀貨3銅貨が追加報酬となります。ご確認ください。」
「はい、大丈夫です。」
「それと今回のクエスト達成で、Eランクにあがる為の資格を得ました。おめでとうございます。お疲れの事と思いますので、後日改めましてご説明させていただけたらと思いますがいかがでしょうか。」
「ありがとうございます。わかりました。機会があればまた来ますね。」
笑顔で接客をしてくれたリュナに優理は、異世界の接客のレベル高いなぁとあほな事を考えながら帰ろうとしていると
「ユリエスさん、この度は大量の納品ありがとうございました。」
「はい。リュナさんもお疲れ様です。でわ」
ありがとうございました。と満面の笑みで声をかけるリュナに周りの人や職員は驚きながら、その少年が帰るところを見えなくなるまで見送るのだった。
(まだFランクの冒険者なんだけどね・・
これくらいでは驚かないわ。私の目に狂いはない。)
リュナの目には狂いがないが、脳内は狂っていた。お花畑である。
そんな事も知らない優理は、宿で出てくる夕食の事を考えながら歩いていくのだった。
「ステータスオープン!」
ユウリ・ナカノ 【17:45】 【13300】
「やあユリエスさん! おかえりなさい! 元気にしてたかい!」
「アンガスさん、ただいまです。割と、近くで遊んでたので」
「そうなんだね! 今日のご飯はスモールバードの香草焼きとスープだよ!」
「うまそうですね、あエールもらえますか? 2杯」
「ああ、もってくるよ! 2杯?」
「ええ、一緒飲みましょう」
「誘ってくれるのかい! ありがとう!」
「おとうさんー、プリモも話したいのにー!」
「あはは!大人の話しさ!」
「そうなのねー? ふーん! はい、エール!」
「ありがとねー、プリモちゃん」
「ユリエスさん・・じゃおとうさんの代わりに仕事してくるわねー! ふーんだ」
「プリモ! 頼んだよ! ありがとう!」
「それで、どうしたんだい?」
「いえいえ、臨時収入が入りましてね少しだけ冒険しようかなと。冒険者なんでね。」
「それは景気のいい話しだ! よかったじゃないか!」
「ええ、といっても俺はソロなんで知り合いはいない。この街で話せるのは、アンガスさん、君だけなんだ」
「そそうかい? 嬉しいなあ!」
「ということで、ごにょごにょ」
「おっとそれは! やばくないかい?」
「いえいえアンガスさん、俺に付き合うだけですよ、悪いのは俺です」
「いやあ! 困ったな! でもユリエスさんの頼みなら・・」
「もしあれだったら宿の皿洗いとか手伝いますよ。こう見えて料理も出来るので、仕込みとか手伝いますし、どうですか?」
「それはなんともうーん・・・エレーヌに聞いてみないことにh」
「あらあなた? どうかしたのかしら?」
「えエレーヌ! いつからそこに!」
「あらいちゃだめかしら、私もユリエスさんと話したいわ」
「エレーヌさん、アンガスさんが僕のお祝いをしてくれるみたいで、仕事もあるのでまた今度にしようかと話してたのですよ」
「あら、いってくればいいじゃない。だめとは言わないわよ。ユリエスさんが誘ってくれてるんだから」
「そそそうかい? なら任せよっかな・・・? ほんとにいいのかい?」
「プリモちゃんにも何か送り物を考えないといけませんね。もちろん、エレーヌさんにもプレゼントさせていただきますよ」
「あらそうなの? ならあなた早く着替えていってらっしゃいな」
「おおおそうかい! わかったよ! ではまた後でユリエスさん!」
「はい、お待ちしてますね」
・・・
「ユリエスさん?」
「はい?」
「ふふ、隠さなくてもわかりますよ、プレゼント期待してますね?」
「ふふふ・・・おもしろい事を言いますね。いいでしょう。正々堂々かかってきてください。私に挑んだ事を後悔させてあげましょう。」
「ふふふ。あの人も友達が少ないですからね。たまには私とプリモと離れて遊ぶのも息抜きになると思うのは本当ですよ。だからつれてってください。プレゼントで我慢しますね」
「わかっちゃうもんなんですね」
「なんのことでしょう?」
「ああユリエスさん! 準備できたよ! エレーヌあとは任せたよ!」
「ええ任されました。ユリエスさん、主人をよろしくおねがいしますね?」
「はい。任されました」
怒ってはいないようだったが、あとが怖いのは確実だが、このイケメンに一泡吹かせたくなってしまったのだ。ちょうど支度金もそれなりにあるので、今日は男同士、普段離せない話しでもして、飲み明かすとするか
そして二人は夜の街へ消えていった
「ユリエスさん!あはは!楽しいですな!若い時を思い出しますよ!」
「悪さしてたんですねー? イケメンめ! はははリア充爆死しろー!」
「あはは! 昔の話ですよ! エレーヌに会ってからはやってなかったので久しぶりに嵌め外せて楽しかったですよ!」
「アンガスさん人気でしたね? 隣の巨乳の女の子お持ち帰りしてほしそうにしてましたけど?」
「あはは! もう少し僕が若かったらいってたかもね!」
「あほすぎておもしろいわ、あとが怖いですね? はは」
「もう! 他人ごとじゃないですよ! 一緒に怒られてください!」
「いやですよ! 僕はプレゼント頑張るので、アンガスさんはご機嫌取りと、夜の相手頑張ったらいいじゃないですかね?」
「最近はエレーヌが可愛くて仕方なくてね! 日に日に美しくなるから我慢できなくてね! プリモの弟か妹が出来てしまいそうだから仕事頑張らないとね!」
「うわー、それはおめでたいですね。俺は結婚は特にするつもりはないですが気持ちはわかりますよ」
「エレーヌは僕のだからね? あげないよ!」
「いりませんよ! 綺麗だとは思いますが、人のものとる趣味ないんで」
「じゃ今日横についてた黒髪の子とかどうなんだい? 君に興味深々だったじゃないか」
「いやーなんでですかね? そんな話してないのに」
「目にハートがついていたように見えたよ! 店に戻ってお持ち帰りしてきたらどうだい!」
「いやですよ。今日の目的は達成しましたので、楽しめました」
「目的? ま! ユリエスさんが楽しかったのなら嬉しいよ!」
「そうですね、じゃ帰りますか」
話しながら宿に戻っていく。もう遅い時間なので、宿泊客しかいない為、することはないはずだが、宿の前にはエレーヌさんが自慢の胸を腕組みで持ちあげながら魅惑の雰囲気で立っていた。アンガスは今から怒られて色々絞られるのだろう・・・
案の定エレーヌさんにクンクンされ、首根っこ掴まれて宿の中につれていかれていた。エレーヌさんが宿に入るときにこちらにウインクしてくれたので今日の夜プリモちゃんの弟か妹が出来るんじゃないかと、そんな気がした。
勝手に名前をつけてやろう。女の子ならディーネだ!!!!!!!
宿に入るのも時間をずらしたほうがいいと思った優理は、夜風を浴びながら。またふらふらと夜の商業区を歩くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます