第30話 拠点づくりと実験
「おはよー、今日は前日のルーティーンをこなして拠点をもう少し整理するかな。狩りで討伐部位の回収もしよう」
軽く朝のルーティーンをこなし、狩りにでかける準備をした。布袋を腰につけ、こん棒メイスを装備し、短剣も腰につけて出発だ。
この辺にいる魔物は、森に住む魔物に比べると少しだけ動きが早く、違う行動をしてくることがある。
実際にここの魔物はゼフィスト北門前の草原より、少し強い魔物が生息していて、魔獣の森の魔物より少し強かった。
いつもより北西を目指して出発し、1,2時間程度進んでから定点狩りを開始した。今日は多く狩るより、狩ってからの処理までが仕事だ。
ゴブリンは耳が討伐部位、ウルフは牙だ、スライムは魔核だ。コボルトは牙になる。この世界の魔物には必ず第二の心臓と言われる魔核、魔石が存在しており、その魔核、魔石を身体から引き抜くだけでも魔物は絶命してしまう。
もし優理についていたら怖くて仕方ない心臓である。
今回の狩りでは数はこなさない為、倒したら解体し、まず魔石を採取する。
そのあと討伐証明部位を剥ぎ取り、布袋に入れる。クエストの訓練だ。
いつものように2時間ほど狩りをしたが、布袋の中身はまだ半分くらいしか埋まっていない。弱い魔物の魔石はちいさいのだ。魔物自体もそこまで大きなものもおらず、布袋はそこまで大きなものでないのにも関わらず、全然埋まらないのだ。
優理はこういう狩りをする場合、キリがいいところまでは意地でもやる。前世でも何度も睡眠時間を削ってやっていた。それから2時間が経ち、やっと袋がしまるギリギリのとこまで入ったのでキリがよくなり、拠点に帰宅することにした。
もう拠点は家みたいなものである。帰宅である。
布袋は腰につけていられないので、片手で持って、もう片方にホーンラビットとこん棒メイスを持って無事家へと着いた。
いつものルーティーンで食事をとり、風呂に入り、今日狩ってきた袋の中身を綺麗にする為、解体場へと向かった。
解体場では血まみれの耳や、牙などについてる血肉などが大量にあり、そのせいで魔核や魔石なども血についていたので洗いたかったのだ。この匂いで魔物がおびき寄せられると安心安全の拠点生活が脅かされる為。絶対行うと決めていた。
次つぎと数をこなし、牙についている血肉は短剣で綺麗に削りとり、魔核や魔石は布袋に入れて紐を固定し、川に吊るしておいた。袋ごと洗うのだ。
土魔法で掘った溝に固い木の棒を入れて土魔法で固定し、その上に石などを置いて固定をした、ホーンラビット専用の吊るし所だ。
やればやるほど、日が経つにつれ、進化していく拠点を見て優理はとても満足げだ。
綺麗に洗い終わったときはもう日が暮れていて、ライトの魔法を使用し、洗った素材を素材保管所へと並べてみた。採取した現物を見ると今日やった成果が目に見えてわかるので実感が満足感へと変わるのがわかる。
1メートル1メートルの範囲なので、あまり置けるスペースは広くないが、素材別に並べてみるといかにもな雰囲気だけは出ていたので、満足した。
寝る前に天日干しをした薬草を確認してみたが、香草とかは乾燥されて長持ちしそうな感じに出来上がっていたが、薬草や解毒層は枯れてしおれて元気がなくなっていた。これは使えそうにない。
資料室に書いてあったように薬草は鮮度が大事で生がいいみたいだ。日持ちさせるにはある程度の暗所、袋の中とか空気に触れない場所の方がいいのだろうか。
植えた薬草には変化が特にはない。数日経過を見るのがいいだろう。
ひとつ勉強になったところで、 今日も焚き木の前で眠りについた。
――翌日
朝のルーティーンと準備を終えた優理は昨日並べた保管所に何も変化がないか見にいくことにした。といっても寝ているところと近いのですぐなんだが。
昨日と変わらず存在しているものも変わりないようだ。優理はある程度は几帳面なので、なんか棚を作りたくなってしまった。地面直置きは味気がない。
アースウォールで作った土壁の内側に、棚を10センチ程度の土で作っていく。それと焚き木がなくなる可能性も踏まえて、保管所の隣に木を乾燥させて置いておけるように資材置き場を併設した。その際に強度を増す為に保管所の壁も2重にしておく。
昨日採取してきた素材を綺麗に並べなおし、魔核、魔石を入れる容器も土魔法で枠組だけ作っておいた。蓋無しで四角の箱だ。
これがいっぱいになったら街に帰ってもいいかなとふわっと考え、30センチはあるので、当分先は長そうだ とニヒルに微笑んだ。
そんなことをしていたら昼になってきたので、いつもの定点狩りの場所へいき、狩りを開始した。最初は北から始まった狩りだが、少しずつ西、南にずらして拠点から1~2時間あたりのところをルーティーンで狩っている。
正直言ってここらへんの魔物には飽きているが拠点づくりに嵌ってしまって、そんなことはどうだってよくなっていたのだ。
いつものように狩りをし、採取をし、布袋の中身を増やしていく。薬草はもういらないのでとってない。香草はポケットの中だ。
それと今回は木の枝を少し持って帰りたいのでズボンの紐でしばったり、布袋に入れたりして今日はあんまり素材が入らなそうだったが日課なので、どれかひとつだけするっていうのは優理のプレイスタイルじゃないのだ。
日課も終わり帰ってきたのは夕方日が暮れるところだ。
「遠くから見ても拠点って感じがしてきたな。このまま誰にも見られずに一生ってのはむりだよなあ」
変なフラグを自分で立てながら微笑し、拠点へと帰っていく。
今日も同じ作業をして、素材保管所と資材置き場の在庫を充実させた。
風呂と飯を食べて、夜だがまだやりたりない気持ちがあった優理はそろそろ自分の寝床作るか、と作業を開始した。
レンガ状の土を永遠と並べてその側面に少し湿らせた土を手で塗っていく。最初はコの字型に並べていく。ある程度は広めに作る予定なので、5メートル程度を目指すが、今日はとりあえず横壁をコツコツ作っていく。
夜も更けてきた時には、高さはない5メートルくらいのレンガ一面だけ完成していた。
今日はここまでにして眠ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます