第20話 休日の過ごし方
翌日、まず今日の予定を考えることにした。
まず街のサウナにはぜひ行きたい。これは絶対だ。
前世でも銭湯が大好きだった。よくレンタカーを借りて他県の銭湯に行ったりしていたな。それに連日の汚物仕事で拭いてもクリーンしてもなんか気になるんだよなぁ。森だと気にしなくてもいいんだが、エレーヌさんやプリモ、受付嬢さんたちと会う時に臭かったら嫌だしなぁ。
次に、露店の飯を食べたい。
あのよくわからないタレがかかったサイコロ状に切られたお肉とステーキ状のお肉。あれを食べたい。がっつり食べたい。
あとは、少ないけど、孤児院に寄付しにいく。
何個か孤児院はあるようだが、全部にはできないのでとりあえずここから一番近い場所にしようと決めた。
理由はいくつかあるが、子供は未来を支えていく礎だからな。見た目17歳の俺だけど実年齢は34,もう少しで35になるおっさんだからなぁ。前世ではコンビニのおつりを募金箱に入れる程度しかしてなかったし
2度目の人生、他の人より楽しませてもらってる自覚もあるので寄付をすることに決めていたのだ。
あと、教会だな。
前世では無宗教だったが、一応この世界には神が存在しているらしいので楽しく過ごさせていただいてる感謝をする意味で教会にも行きたいなぁ
でも権力と寄付の強欲な教会だったら嫌だから近づきたくないな。やっぱやめた。
あとは、ギルドの資料室だな。
余った時間で冒険者ギルドの2階にある資料室で薬草とか魔物の種類とか色々読みたい。歴史とか地理とかには全く興味ない。危なくなったりめんどくさくなったら森に帰ればいいだけだしな。
よし、そうと決まれば
「いってきまーす」
「はーい。気を付けていってらっしゃい」
あと、服買いたいな
まずは商業区から出て、都市の城門前の並木通りに向かうことにした。本日のお日柄もよく快晴。日差しも強く穏やかな風が気持ちが良く絶好のゲーム日和と言えるだろう。
しばらく歩くと大通りの方から沢山の呼び込みの声や笑い声が聞こえてきた。その声らをBGMに、人見知りの優理はもう一人の時間を満喫している為オフラインゲーム状態、周りの人を人間だと思うことすらやめていた。NPCであり、BGMだ。
沢山思い思いに出店されている露店を歩いていると、以前嗅いだいい匂いの原因であろう店が見えてきて、優理はそちらへ寄っていくことにした。
「おじさん。一個くださいな」
「おーにいちゃん! あいよ! 銅貨2枚だ!」
「はいよー」
「あんがとよ!」
「むしゃむしゃ。おじさん。この辺に孤児院ってあります?」
「あ? あるのはあるが、いったい孤児院に何の用だ?」
「寄付しようかと」
「おーそうかい。若いのに偉いなー。おじさん孤児院出身でな。俺も景気がいい時はたまに行ってんだよ。」
「そうなんだ。むしゃむしゃもうちょいちょうだい。20本くらい。」
「おーそんな食べきれるのか? 見かけによらず大食いだな! 待ってろ、今焼いてやるからな!」
サイコロ状に切られたお肉に特性のタレがかかった串肉はめちゃくちゃうまかった。何の肉かわからなかったが、少し硬いがやっぱり異世界の物はそのままでも十分に美味しいし素材の味が強いというか。これはこれからの生活が楽しくなるな。
「孤児院はこの並木通りを抜けて大通りに入る手前の道を右に入ってその奥だ。」
「おじさん、ありがとう。」
露店のおじさんに情報料の銅貨1枚と串肉代4銀貨を払ってその場をあとにする。
「おう! また来てくれよ! にいちゃん!」
おじさんに言われた通りの道を進むと、少し薄暗い通りがあり、その道をまっすぐ進むと孤児院らしき、ぼろぼろの家があった。
見た目は孤児院には見えないが、周りに子供が遊んでいるのでここで合っているのだろう。
(なんか孤児院なら人見知り発動しないみたいだな。いくか)
「すいませーーん、院長さんいますかーー」
「はーーい、院長ね。いますけど、何の用ですか?」
「はい、少し寄付をしたくて寄ったのですが」
「そうなんですねー!」
「貴女でも構わないのですが、渡しておいて貰えませんか?」
「はい~!お名前を伺っても?」
「ただその辺にいる冒険者ですよ。はい、あとこれもお願いしますね。それじゃ」
「ええ?はい!お願いされますた!え ちょ院長~」
なんか言ってたけど渡す物は渡したので、来た道を帰った。
優理は冒険者活動で稼いだ額の半分程度、20銀貨とさっき買った串肉を寄付した。
少ない額だが、前世ではコンビニのおつりくらいでしかしていなかったし、こうやって人の手に渡して有効活用してもらう。前世のように募金しても本当に戦争孤児や親のいない子の手に渡ってるかわからないものに払うのは嫌なのだ。日常品を買ったりして生活を豊かにする、生きるために、その日食べる為の少しの贅沢に当ててもらえる。それを考えると嬉しくなり、手の届く範囲でしかないが、頑張って仕事してよかったと思える優理だった。
これからも必要のないお金は寄付していこうとひそかに胸を熱くするのだった。
「次は公衆浴場にでもいこうかな」
・・・・・
こ、これが異世界クオリティ。なんてことだ・・・・。入った時からなんとなく想像してはいたんだが、そんなつもりもなくただ焦っている。
辺境都市ゼフィストにある公衆浴場は、大変人気があり、老若男女が楽しめる最高の娯楽だ。領主の政策でもあるのだが、一部公共事業のような物なので、比較的安価で楽しむ事が出来る為、一般人でも気兼ねなく何度でも来れるのだ。
優理の目の前には、汗を滴り落とさせる、獣族の女性や、人族の女性、エルフの女性、ドワーフの女性までもがいた。
(どうしてこうなった・・・)
そう、なんとここは混浴(天国)だったのだ。
自制心のスキルを全開で使用し、色欲に負けない強い心を持って、この戦いに挑んでいるのには理由がある。
そう、異世界の人には羞恥心というものがあまりないのか、あんまり隠さないのだ。
優理は汗を流して心を落ち着かせるためにここに訪れたはずだったが、今は心の暴走モード突入の前兆といった状態で、全然休めていなかった。
別のベクトルの保養が出来たので結果満足することになったのだが。
(森にはない一流の刺激だ。これだけの場所、前世を探してもそうそうないのでは?例のビーチくらいか)
公衆浴場では、男性も子供も老人もいて、みんな汗を流し気持ちよさそうにしていた。いつか自分の家を持った時には、湯舟を貯めるタイプのお風呂を作って一人で露天風呂に入ろう。そんな自己中な生き方も悪くないかなと、様々な女体を視野の端に捉えながら真顔で考えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます