第7話 3日経ったので

――??







夢・・・ではないな 思考・認識することは可能だ。ということは・・・またこの場所か。

 


 子供の頃から頻繁にみていた夢との違いがあることは、夢の中で自由に遊び回った夢マイスターの優理にとってはすぐにわかった。



 理想の自分になれる数少ない楽しみの時間として夢は大好きな場所で、数少ない娯楽だったのだが・・・もう見る事はないか。




「おつかれさまです。中野優理様。」




 時間の感覚がなく、さきほどだったかずっと前だったかは定かではないが、白も黒も感覚も何もなかったはずの空間が意識を向けると突如として目を逸らしてしまうような眩い光が目の前に出現し




「私が中野様の“導き手”となる存在です」




 そこには、とても美しい?女性?のような方が後光眩しく存在していた。



「中野様の認識している限界を超えないイメージで、私の姿は形どられています。」



 なるほど? 思考はできる。身体もないから目もないはずなんだけどなー



「中野様に直接イメージを送り込んで、中野様の認識できる言葉で会話していま

す。」



 なるほど? まぁいいや、死んだってことでいいのかな



「はい、相違ございません。人間界の存在していた中野優理は死にました。」



 なるほど・・・しかしながらなんで3日?だったのだろう



「中野様が亡くなられた日は運命的に中野様が亡くなる予定の日でした。」



 なるほど? さっきからなるほどしか言ってないな



「今回中野様には3日間の猶予を与えました。今回試験的に初めての試みとなります。亡くなるまでの3日間の時間を使い、中野様がどう行動するかによって得た経験値を元に、次の転生・転移される時の参考とし、場所もですが単純な能力として付与させていただく為に、猶予期間を設けさせていただきました。」



 なるほど? って全然意味わかってないけど。しかしこの流れって・・・



「はい、その認識に相違ございません。中野様には『異世界へ転生』していただきます。」



い、いせかいてんせーーーー!?



「はい、そうです。中野様のいっていただく世界、時代、スキル、能力値などは中野様が3日間で得られた経験値を元に算出・吟味選択し、既に決定しています。」



 まじでーーーえ、好き。まじ、ちょえ



「一回こちらで待機していただいたのには理由があります。まずは中野様の精神状態が完全に燃え尽きてしまった状態で、説明もなしに飛ばしてしまうと危険があると上の方から判断されました。他には、このままの年齢、容姿で向かうか、どうゆうところに降りたいか希望がありましたらお伺いしまして来るように申し付けられております。」



 な、なるほど? えてかなんでまぁ選ばせてもらえるんだったら選ぶけど・・・




「今回の3日間の猶予は試験的に、と申しましたのは、生前に余命を知り、3日間の猶予期間を経ての転移・転生者は中野様がこちらの転生所では初めてでして、その試験の謝礼として、選んでいただこうかと考えています。その他色々なサポートもお付けするよう上の方からの通達がきておりますので、粗品程度ですがお付け致します。どうぞ遠慮せずにお考え下さい。」



 なるほど? はふふあう、落ち着いてきたぞ。いきなりすぎだ。まず異世界に転生するってことが嬉しい。死んだと思ったら次の世界、そもそも死後の世界ってあるんだな。天国か地獄に案内されるのかなーくらいにしか思ってなかったしな。3日間の猶予・・・おかげで全力で過ごせて燃え尽きて楽しい人生だったのだ。後悔はないし、感謝しかない。



 とりあえず考えるか。時間制限があるかもしれないしな。急ごう。スキルとか能力とか、いく世界とかはもう決まってるらしいので、といっても前世でも年老いてまで生き続けるような事はしたくなかったし、ぱっと遊んでぱっと死ぬ、みたいなそんな人生もいいな。異世界は楽しみだが、そんな長生きしたくないな・・・ゼロ歳からとか何もできず死ぬ可能性もあるし怖いな。34歳の今のままの身体で行ったら体力的にも見た目的にもやばそうだから全盛期くらいで行きたいな・・・20・・・17・・・15・・・


(やっぱ17歳で!容姿は向こうの人はあまり気にしないだろうからそのままで!あんまり人間と関わりたくないので比較的過ごしやすい森でモンスターも弱めのところにお願いします!人間の町は近くになくてもいいです!)



「畏まりました。私とはとある方法でしか連絡はつきませんが、上司からの勅命がありまして、いつでも見守っていますので、頑張って生きてくださいね。今度は楽しんで。」



「それでは」



 さ、さいごにおねえさまの名前を教えてくださいーー!



「ふふ、わたしの名は・・・・r」



ああああああ、聞こえなかっt ----! シュイン





「忙しない方でしたね。これでよかったのですかね。・・様。本当に・・・が過ぎると言いますか・・・ このような強い・・を与えるなんて・・・事です。それに・・・・・にこんなにも・・・なんてまるで・・・・・を知っているような・・・忘れましょう。」




「中野優理さん。」




「剣と魔法と魔物の世界。アヴァンガルデア。世界中を魔物が跋扈し蹂躙する世界。世界を管理するのが上位の存在のこの世界は特別な人物しか送還されることはありません。優理さんにとってはいいことなのか悪い事なのか私にはわかりませんが。この先貴方にとっての幸運が訪れますように。見守らせていただきますね。」





 優理は異世界転移する。この物語の終わりの始まりが終わり、始まりの終わりが始まるのだ。優理がこの世界で過ごした時間は日本時間で1万年。それが優理の心を自然治癒で修復するのにかかった時間だ。人間であるが故の限界を超えた彼は10034歳である。この事を知るのはきっとこないだろう。




 この物語はこうして、幕を開けた。

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