終わりと始まりの3日間 2日目
第4話 愛した人の名は
――次の日
「おう、もう帰るんか」
「そうやなー、仕事もあるけんな」
「そうか。これお母さんからだ。あとこれでなんかいいもんでも食え」
そういって両親は何かを渡して笑顔で見送ってくれた。実家を出てからその袋の中身を確認する。
「おにぎりとサキイカの醤油漬けか懐かしいな。え、お金・・・」
使い古された布袋の中にアルミホイルに包まれたおにぎりとかの弁当の中に現金が10000円。4つ折りで入っていた。
「ぶ。なんで弁当の中にお金・・らしいっちゃらしいけど。一周回って懐かしいわこの感じ」
「いい年こいても子供は子供ってか・・・もうすぐ・・・ぬのにな」
深い感謝とともに自分の情けない気持ちとどうしようもない運命を受け入れないといけない気持ち、いろいろな感情が交わり複雑な気持ち心境になっていく
30分ほど感傷に浸りながらバスまでの道を歩いてバス亭に着いたところで今後の予定を考える。
「今日はあいつのところに、いかないとなぁ」
バス停からバスに乗り、とある場所に降りた優理は、考え事をしながら目的地まで歩いていく。目的地までは少し距離があるが思い出が溢れてくるのでそこまで距離を感じなかった。
山ばかりの場所で、ところどころ携帯の電波の圏外のところもあり、そんな山道を歩くと都会じゃ考えられないくらいにでこぼこになった道を歩くことに懐かしさを感じながら優理はゆっくり確実に風景を噛みしめながら目的地へと歩いていった。
「着いたな・・・・ただいま」
「さち。」
着いた場所は墓地。世界で唯一愛した人の入った墓には綺麗な花が添えされていた。しばらくその場で立ち止まり、黙祷を捧げたのだった。
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