峰岸くん
5年勤めた会社を辞めた。仕事が嫌だった訳じゃない。他にやりたい事があった訳じゃない。でも辞めた。
会社を辞めた時、一番最初に連絡をくれたのが同僚の峰岸君。私が会社を辞めてから唯一連絡をくれた人。特別何かある訳じゃないけど、会社の中で一番仲が良かった人。
「元気? 今何してんの?」
結構ラフに連絡が来た。峰岸君とは会社だけでの付き合いで、こうやって連絡を取り合うのは始めて。会社を辞めた今は完全にプライベート。
「元気だよ~」って返した。今は特に何にもしてないけど元気だよって。そういえば部署が変わってから全然会ってなかった。最後くらい連絡すればよかったな。ゴメンね峰岸君。
家を出て、いつもの道を歩いて、周りの景色が変わった事に気づく。よく行ってたパン屋がなくなったのに気づいたのも会社を辞めてから。もう1年も前の事らしい。とても寂しい気持ちになった。無くなってたって事にじゃなく、気づけなかった事が寂しかった。もう少し早く気づいてればよかったな。そしたら何か変わったかも。ゴメンね峰岸君。君は間違いなくイイ奴だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます