第8話テリアの1日
おはようございます!
私テリアは、1週間前からエイン様の小屋でメイドを始めました。
「ふわぁ〜」
私の朝は早いです。朝5時半に起きて小屋の裏にある井戸にお水をつぎにいきます
お顔を洗って、歯を磨き終わったら少しお散歩をしてみます。
まだ3月なので早朝は、少し冷えます。
でもエイン様から、上着を借りてきたのであったかいです
す、少し落ち着かないですけど……
「この匂い…好き…かも」
なんだか物凄く顔が熱くなってきちゃった。
ん?綺麗なお花が有ります
このお花は見たことがありませんね
あ!
あの尻尾は!太い木のはしっこから飛び出た灰色の光沢のある尻尾がひとつ
「おはようございます!オオカミさん」
すると木の裏から顔を出してきてこちらに向ける
これは前に襲ってきたガーウルフの子供だ
足を怪我したこの子をテリアが手あてのために小屋に連れて帰った時は、エインに怒られたものだ。
あくまでもここは禁足地、レベルの高い魔獣がわんさか出る森なのだ。
しかしテリアも、年頃の女の子で好奇心も有る。
だからこそみんなが眠ってる間に全く知らな
い森を探検するのが朝の日課なのである。
ガーウルフは私に気づくと走って飛びついてきた
「きゃっ」
バランスを崩して倒れ込むとガーウルフは顔を舐めてくる
「くぅ〜ん……ペロ…ペロ…………ペロ」
「あはは、もう!くすぐったいよ」
必死に尻尾を振っているのがとても愛らしい
それをみてテリアも頬が緩む
テリアはガーウルフのお腹を撫でる
「きょ、今日もふかふかだぁ〜」
キラキラした瞳をして一心不乱に撫でているといつの間にかガーウルフは仰向けになり
身をよじらせている。
そろそろ戻ろうかと思って立ち上がり歩き出すと、ガーウルフも付いてくる
私が立ち止まるとガーウルフも立ち止まり
歩き出すとまた着いてくる
「なにこれかわいぃ〜」
ニヤけながら歩いていると、目の前が急に暗くなった。違う、影になったのだ
「へ?」
恐る恐る顔を上げると3メートルはあるであろう熊が立っていた
足が震えて動けない、オオカミさんを胸元に抱き寄せる
「あ、あなたの巣だったのですかごめんなさいでもわ、私たちを食べても、お、おいしくないですよ?」
今にも泣き出しそうな目で私は、熊さんに命乞いをします。
だってまだ死にたく無いし、やり残したことがたくさんあるのですから。
目の前の巨大な熊が腕を上に伸ばす。
ああ、きっと腕をそのまま振り下ろす。そしておそらくそれだけで私達など、簡単に終わってしまうのでしょうね……
「オオカミさんごめんね!」
しかし、いつまで経っても衝撃は来ない
目を開けると目の前には熊の手があり、その上にはりんごが2つ乗っている
さっき腕を伸ばしていたのは、リンゴを取っていたのですね
「これを私たちにくれるの?」
テリアがまだ震える声で問いかけると、
熊は上下に顔を振りそして反対の手で頭をかいている。
「あの、勘違いしてごめんなさい!熊さんは優しいのですね。いただきますね、ありがとう!」
安心で気を緩めたのか、とても可愛らしい笑顔でお礼を言うテリア
逆に熊さんは目を見開きプイッと視線を逸らしてきた。
さて、そろそろ皆さんの朝食を作らないと!
「ではオオカミさんも、熊さんもありがとうね!ご飯の準備あるから戻ります。
って、あれ?」
テリアは戻ろうとするが足が動かない、しかもペタリとその場に座り込む。
「こ、腰が抜けちゃったよぉ〜」
すると熊が私とオオカミさんを熊さんの頭の上に乗せてきました。
「熊さん、もしかして送ってくれるの?」
熊はやはり首をゆっくりと上下に振る
「ありがとう!熊さん」
そのままテリアとガーウルフは熊に乗せてもらい、途中道を教えながら小屋を目指す
「んっ!このりんごすごく美味しい!」
ガーウルフも食べながら尻尾が高速で動いていた。
「熊さんにも半分あげる!はい、口開けて〜あーんして?」
熊は素直に口を開ける、そしてそこを目がけてテリアは優しく投げる
すると熊は無表情だがなんだか体温が上がってきている気がする。
うんうん!今日もいい朝だったな〜
「まだ、この時間なら2人も起きてないし、熊さんがたちがいるのはバレないはず!」
その後、熊の足音で叩き起こされたエインに見つかり、しっかり説教された。
しかもなんと熊がテリアを庇っていたため、
エインは、目をパチクリさせながら空いた口
を30分くらい閉じられなかったそうだと
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