第6話魔獣
「お見苦しいところをお見せしてしまいました…ぐすっ」
泣き止んだテリアは冷静になり、すぐに謝ってきた。
「良いんだよ、気にしないでくれ…
とまあ!それより君には……
「エインッ!!」
突然ネイが大きな声を上げる。
ドドドドドドッ
するとどこからか大きなものが迫ってくるような地響きが聞こえてきた。
「魔獣よ!たぶんガーウルフでしょうね、小柄だけどスピードに特化していてかなり凶暴よ、おまけに20匹はいるわね」
ネイは淡々と告げる
「ネイ様は見えているんですか?」
テリアが不思議そうに問いかける、確かにここからでは地響きだけで他には何も分からない、気になるのも仕方のないことだろう。
「ネイは数少ない妖精の種だからね、気配には敏感なんだよ。」
「余計なこと口走ってないで、早くなんとかしなさいよ」
「ほ、本物の妖精さん?」
ギロリ
「ひっ」
つぶやくテリアを横目で睨むネイ、テリアはバタバタとエインの後ろに隠れる
「まあまあ、ダメだよネイも人間嫌いだからっていきなり睨むのは、まあとりあえず魔獣をどうにかしないとな!」
エインはそう言って外に出て行った、それに続いてテリアもネイと外に出る
すると、遠くの方から魔獣の集団が近づいてきた。
しかも、本当にガーウルフだ
「わたし、知ってます。ガーウルフは1匹だけでもそのスピードゆえに討伐は騎士団に任せられている魔獣です!しかもこんなにたくさん……」
そう言っている間にもうガーウルフはエインのすぐそばまで迫ってきている。
無理だ……エインの実力はまだ分からないが今までかなりの学習を積み重ねてきたテリアにはわかる。
ガーウルフだけでも恐ろしい魔獣なのに、群れを相手にするなど、並大抵の者では無理なのだ。
「無理です!逃げてくださいエイン様!」
テリアが必死に叫ぶが、ネイと当の本人は上の空である。
「ごめん、むりかな……だってもう目の前まで迫ってきてるし………」
「いやっ!!」
エイン様がやられちゃう、そう思った矢先
ヒュッ
エイン様の姿が視界から姿を消した
「あれまあ、意外と数居るじゃんか、こりゃちまちましてたらキリが無いな」
エインはガーウルフの遥か上の空中に浮いていた。そして下にいるガーウルフにおもむろに手をかざす。
「コード・グラビティ」
その途端下にいるガーウラルフは地面にその体をめり込ませた。
下にいるテリアはその光景に驚く(ネイはあくびをする)
いきなりエイン様が空中に浮いてたと思ったら、いきなり目の前のガーウルフたちがその身でクレーターをつくっている
そこにゆっくりとエインは降りてきた
「俺もそこまで酷いやつじゃ無いからな、これに懲りたらもう襲いかかったりするんじゃねーぞ?」
そう言ってエインは指を鳴らすと、ガーウルフたちはすくっと立ち上がり、我先にと逃げ出して行った。
「エ、エイン様!すごいです!強いです!」
前のめりに言葉を伝えるテリアにエインは若干引き姿勢になる。
「お、おうありがとな」
「さっきの気がついたら空中にいたのも、もしかして転移魔法ですか!?失われた古代魔法ですよね??」
「よ、よく勉強してるんだね、古代魔法のことまで知っているなんて、でもそんなに驚くことでは無いよ…」
「す、すみません取り乱しました、でも古代魔法は難易度の問題もあり今の時代に使える人は指で数える程度しかいません、ですから転移魔法は失われた魔法と呼ばれていて」
冷静さを取り戻したテリアはゆっくりと言葉を続ける。
するとエインは少し切なそうな顔をして
「そっか、使える人はそんなにいなくなったんだね………」
「え?」
突然の呟きにテリアは固まる
そして問いかけようとした時
「あ〜もう!お腹すいた!!」
ネイが叫ぶ、
「そうだね、いつの間にか日も暮れてきたし晩ごはんにしようか」
エインがネイに続くように言葉を発すると、テリアがハッとしたように
「ネイ様!料理は私得意です!作らせてください!」
横目でテリアを睨みつつもネイは
「まずかったら容赦しないわよ、人間」
「任せてください!美味しいって言わせて見せます!」
2人で小屋に戻っていく姿を後ろから眺めてエインは優しい顔で微笑んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます