第5話綺麗な瞳

「気分はどうだ?」


撫でる手を引っ込め私に優しく問いかける

「あ、あのわたし、あのあと……」


「うん、疲れが出たみたいでねとりあえずベットに寝かせたわけ」


男は笑顔で言った


(よかった、悪い人たちじゃなさそうで)


「こいつときたら、寝ているあなたを触ろうとしてたのよ!このクズ!でもあんしんして?こいつはあなたの鎖で縛っておいたから…」


「へっ?」


男性と、人と手さえ繋いだこともないテリアは顔が一瞬にして真っ赤に染まる


しかしふと手元を見ると今まで私の腕を拘束していた鎖が消えている彼女の言っていることは本当なんだろう。


「だ・か・ら!俺はこの子がうなされていたから頭を撫でようとだな……」


「女の子の体に断りも入れずに触るだなんて最低のすることよ?……それよりもあなた名前は?」


なんでだろ?少し妖精さんの視線が冷たい気もする……それよりも名前言わないと!


「わ、わたしはテリア・ラ・ワーズナーと言います、助けていただいてありがとうございます」

すると2人の目が少しばかり見開いた気がした。


「ワーズナーって王家の?」

男が聞いてくる


「はい、元……です…けど、私いらない子だったみたいで」


そう言う彼女の声はかすれ目には涙が溜まっている、すると男がいきなり私を抱き寄せてきた。

 

(へ?なに?おおおお、男の人がわ、わたしを…)


「はわわわわわわわわわ」

いままで抱きしめられたりする経験が無いテリアは顔をこれでもかと真っ赤にして変な声を上げている。


「いらない子なんて居ないんだよ、今がダメでも未来にはきっとなりたい自分になれる、だから進めばいいんだ、人は幸せになるために生まれてきたんだから」


「は、はひ!」


テリアはいきなりのことにまだ混乱しているのか、まだ顔が真っ赤なままだ


男は笑いながら言葉を続ける


「俺の名前はエインだ、そしてこっちが」


「ネイよ」プイッ


エインの呼びかけに短く名前を言って顔を背ける。


「ごめんな、こいつは大の人間嫌いってやつなんだ、でもきっと君とネイは仲良くなれるような気がするんだ」


「そうかしら?」

ネイは不機嫌に答えるがエインが力強く答える


「俺が言っているんだ、必ずなれるさ」


私はここで、ずっと疑問だったことを聞こうと恐る恐る口を開く


「お、お二人は私の目が嫌じゃ無いんですか?

みんなから始まりの魔女カレンの、悪魔の目だと言われてて、避けられてきたから……」



そうだ私は悪魔の目だと蔑まれてきたのだ、だからこそ聞きたい何せこの人たちはずっと私の目を見てそらさなかったから、初めてだったから


すると、エインはゆっくり口を開いた


「君は始まりの魔女をその目で見たことはあるかい?」


「い、いえ」


何を言うのだろう、魔女カレンが生きていた時代は今から1000年以上も前の話だ、みたことなんてあるわけもない。


「嫌なんてあるわけもないよ、君はカレンに似てすごく綺麗な目をしているし、とても美しく優しい子なんだ

俺が言うんだから間違いない!」


ニカッと笑うその人の横にいるネイはすごく悲しげで、切ない視線を送っていた。


少し男の言葉に疑問を感じたがそれどころではなかった。


「わた…しの目がきれい?」


「ああ」


肯定する男の言葉を聞いていつの間にか涙は溢れ出し、今まで堪えていたものが一気に溢れ出してきた。


「そんな、ことないです!みんな、みんな私をとおざけて!そんな目でみるなとか、目も合わせてもらえなくて!必死に魔法の練習もお手伝いだってやって認めてもらおうと頑張ってきたのに……私の目が……綺麗だなんて、そんなこと……」


「あるんだ、すごく綺麗で、好きだよテリアの目」


真っ直ぐに見つめて紡がれることばに、私はとうとう泣き出した


「うわぁぁん……








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