第13話 決着の時
さすがに敵もいつまでも動揺してはいないようだ。やはりボスともなればそう簡単ではないのだろう。
落ち着きを取り戻したボスは、再び僕の前に大きな壁として立ちはだかった。それでも負けるわけにはいかない。この世界の未来を背負っているのだ。なんとしてもボスを打ち倒さなければならない。
ボスの攻撃を防御魔法で防ぎながら、相手の隙を探った。もちろん隙なんてほとんどないだろう。僕はすべての神経を研ぎ澄ませて集中した。すると、ほんの一瞬の時が永遠に感じられる気がした。
自分でもどういう理屈なのかは分からなかったが、すごい能力だということだけは理解することができた。
しばらくすると、かすかにコンゲルネの声が聞こえた。もっと正確に言うならば、脳に直接語りかけてきたという感覚だった。
コンゲルネによれば、さっきの能力は「超集中」というもので、通常の何万倍もの集中力を得た人だけが使えるそうだ。普通は何十年にも及ぶ修行か、臨死体験を経て初めて修得できるものなのだという。
それを僕はいとも簡単に身につけてしまったのだ。ワールド・トリッパー史上最強の逸材だと言われた。
超集中を身につけたことで、戦況がガラリと変わった。相手の動きが、いとも簡単に読めるようになった。敵のフェイントさえも読み取ることができ、文字通りに敵無しの状態になっていた。
今までずっと苦戦していたのが嘘のようだった。僕は勢いづいて、どんどん攻撃を繰り出していった。敵がひるんだ隙をついて、しっかりとトドメを刺した。
ついにボスとの一騎打ちを制することができた。それは任務を遂行できた瞬間でもあった。プラント・インテリジェンスを打ち倒して、第1の世界を守り抜くことができた。
コンゲルネが姿を現した。祝福の言葉をかけてくれた。喜びと誇らしさを感じた。母さんと通話が繋がって、すごく喜んでくれた。
その後、この世界の住民達からとても感謝された。世界を救った英雄として、絶大な敬意をもって崇められた。
住民達からさまざまな物を贈られた。最初は遠慮したものの、どうしても受け取って欲しいと言われたので、ありがたく受け取ることにした。
そして帰還の時がやってきた。第1の世界ともお別れだ。住民達は名残惜しそうに涙を流していた。みんないい人ばかりだ。最後まで手を振って見送ってくれた。
僕はトリッパー・ホールの中へと入っていった。この世界での経験を活かして、次の任務に臨みたいと思う。
元の世界に戻るまでの間、僕はさまざまなことを考えていた。
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