第7話 第1の世界

 いよいよ異世界へと旅たつ時だ。一度出発すると、その世界での任務を終えるまでは戻ってこれない。今までは母さんがそばに居てくれたが、これからはそうもいかない。1人で頑張らなければならない。

 孤独に打ち勝つ強い精神力が必要だ。これまでに培ってきた鍛錬の成果が試される。なんとしても任務をやり遂げたい。


 任務の最終目的は、それぞれの世界を滅ぼそうとする勢力を打ち倒してその世界を守る事だ。それぞれの世界では、ワールド・トリッパーのことは実在すると考える場合と、伝説であるとする場合があるらしい。世界によっては、好ましくない反応をされることがあるかもしれない。だけど、くじけることなくその世界に貢献したいと思う。

 代々にわたって受け継がれてきたワールド・トリッパーの名を汚すことがないようにしたい。責任の重みを再び実感した。








 第1の世界に到着した。数多に存在する異世界には数字で区別がなされている。コンゲルネが定めたものだ。文字通り、この世界は始まりの世界という訳だ。ちなみに、我々が住んでる世界は第238の世界らしい。少なくとも、その数までは世界があるということだ。

 第1の世界は大半を植物が占めている。4分の1は海で、残る4分の1に人間が居住している。異世界と言ってもパラレルワールドのようなもので、我々と同じ人間が居る。

 この世界では、植物の領域を侵すことは国際法で固く禁じられている。環境破壊も同様だ。共生ができるているという点において、我々の世界よりもはるかに優れている。


 今回の最終目的は植物を操って人間を脅かし、植物だけの世界にしようと企む組織の壊滅だ。そのボスはAI研究者と、彼によって発達させられた人工知能を持つ植物たちだ。それを「プラント・インテリジェンス」と呼んでいる。

 強敵だから簡単には倒せないだろう。しっかりと備えることが何より大切だ。これまでの敵の動きなど、あらゆる情報を収集して取捨選択し、活用出来るものはなんでも利用することがカギになる。


 まずは第1の世界を治める長に挨拶をすることにした。この世界では、ワールド・トリッパーは実在の勇者として語られている。必要な助けを得ることができる。

 街に入るとすぐさま、住民たちが集まってきた。みんな敬意を表しているようだ。コンゲルネの能力により、各世界の言語を理解して会話することができるようになっている。武器や防具、アイテムの調達方法など、さまざまな役立つ情報を教えてくれた。

 長老の家にたどり着くと、VIP待遇の扱いを受けることになった。それだけ頼りにされているということだ。その分だけ責任が重くなるし、何としても期待に応えなければならない。


 現時点ではまだ、プラント・インテリジェンスの勢力が街には及んでいないようだ。ただし、すぐそこまで迫りつつあるのだそうだ。急ぎ、装備を整えなければならない。

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